1話-2「自分の名前」
前回までのあらすじ!
マネキンと一緒に死んだらいつの間にかどこかに転生してた!
以上! 短いね! 2話分だからね!
ここは地球ではない。
別に哲学とかではない。別に地球が実は丸じゃなかった的な事を言うつもりでもない。
俺は別世界に転生したのだ。
世界人口の五分の五は妄想したことがある状況。
こんなこと俺のチー友に言ったら嫉妬してくるかな? いないけど……。
とにかく暇すぎるので、前世の能力を用いて、この部屋を探索してみることにした。
最近では短い手足も思うように動き、ハイハイならできる。
ということで人のいなくなって時間を見計らい、GOだ。
まずベビーベッドから降りる。ハイハイで移動。
近くに椅子があったからそこに飛び移る。
︎︎楽勝だ。
こうも簡単に脱出できてしまうとやはり転落事故とかの危険性がわかるな。
子供ができたら気をつけよう。
部屋を見渡すと、面白いものもなく、少し殺風景な様子だった。
︎︎真っ白な壁。周りにはベビー用品が並んでいる。
転生したんならもうちょっと楽しそうなところが良かったな。
ふと後ろを見ると、窓があった。
(状況確認は大事だよな)
またハイハイで移動して、窓へ。
外を覗くと、そこには神秘的な光景が広がっていた。
いや、異様と言うべきか。
銀色の湖だ。
見たこともない美しさだった。呆気にとられてしまった。
一面の銀世界。そこに飛んでくる純白の鳥。湖の中心には緑色の島。
前言撤回だ、こんな世界に転生したできたのは少し嬉しい。
~~~
そうこうしていたら半年が経った。
一人のときに見る銀色の湖がちょっとした癒しだ。
︎︎ある時、転生して初めてあった赤髪の女性が来た。
久しぶりだな。
ていうかこの人って俺のお母さんに当たるのか?
うん。ここの言語はまだわからんけどわかるようになったら聞こう。
でも俺が転生者ってことはまだ隠してたほうが良いのか。
必死に生んだ息子が百キロ超えでハタチ超えとかちょっとショックだよな。
そんなこと考えてたら赤毛の女性に抱き上げられた。
改めて見てみてもかわいいな。女優になれるよ、キミ。
そして運ばれた先は大きな部屋だった。
俺の部屋(多分)と同じく白い壁。されど所々に金色の装飾が施されている。
︎︎こんなところあったのか。意外と金持ちの家なのかもな。
目の前には紺色の髪の男性。服は美女さんと同じく純白。顔は美形で一つ一つのパーツがきれいだ。
このへんの人は髪を染めるのが風習なのかな。
それとも生まれつきなのか……。
するとその男が俺に手を向けてきた。
そしてその手が緑色に光った。
(え?)
疑問が浮かんだ。
超能力者?
「この言語を解せるか」
男が話しかけてきた。
あれ? 日本語じゃないのに理解できる。
この男がさっきなにかしたのか?
とりあえず質問に対しては頷いておいた。
「そうか、ではこの言語を話すことはできるか?」
試しに口を開いて話そうとしたが、声は出なかった。
なので首を振っておいた。
「そうか、まあ当然だ」
じゃあ聞くなよ。と思ったが反論したら怖そうだ。
てかまず喋れないし。
「貴様の名前はヤクシャ・シュアール
名家シュアール家の長男だ」
衝撃の事実。
名家なのか、道理で家はでかいわけだ。
「そして我が名はルドラ・シュアール。貴様の父だ。
そこにいる女はレアー・シュアール。貴様の母だ」
更に衝撃の事実。
やっぱりあの美人さんは俺のお母さんか!
で、あの人がお父さんか。
少々びつくりだな
親がああなら俺も髪の毛ってカラフルだったりすんのかな。
赤色と紺色だもんな。
……と、思って髪を一本抜いたら黒だった。
ぴえん
「伝えたいことはこれだけだ。貴様はまだ小さい、訓練はもう少し後だな。では、またな。我が息子よ」
訓練ってなんだろ
走り込みとかかな。前世はデブだったから鍛えないと。
ルドラさんの言葉に呆れていると、レアーさんが来た。
そのままマイルームまで運んでくれた。
てか、ルドラとレアーか、かっこいいな。
ヤクシャ……役者……?
~~~
更に半年が経過した。
前から変わったことといえばレアーさんくらいだ。
今までは接触が少なかったが最近は二日に一回は来てくれる。
お母さんらしい行動を心がけているのだろうか。
いい傾向だな。かわいいし。
︎︎ていうかレアーさんっていくつなんだろうか。
十代でもおかしくないよな……
そういえばあの銀色の湖の新事実なんだが、あそこにはクソでかい魚がいる。
それはどうでもいいか。
俺が今気になっているのはルドラさんが発していた緑色の光だ。
腕に蛍光灯でも仕込んでいたのだろうか。
でもこの家で一度も電気をみてないんだよな。
どんだけ田舎な街なんだよ。
ルドラさんとは大きくなったら会えるみたいだし期待しておこう。
レアーさんを見習って父親らしい行動もしてほしい。
でも、訓練ってのも楽しそうだ。