表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/38

第30話  待っていた変化


三月になった。


けれど


アルベール様は、まだ現れない。


手紙の言葉を信じて、リリア様は毎日、窓の外を見つめていらっしゃる。


――遠くからでも、その姿を見逃すまいとするように。



そして、ある朝のことだった。



「アンナ……見て。」


リリア様に呼ばれ、私は窓辺へと駆け寄る。


そこには――、


ヒヤシンスの球根から、小さな芽が顔を出していた。



「リリア様……!」


思わず声が弾む。


「芽が……、芽が出ています!」


「ええ……。」


リリア様がほっとしたように微笑む。


「ようやく、出てくれたわ。」


アルベール様のヒヤシンスが、ついに芽吹いたのだ。


リリア様は、そっと鉢を包みこむ。


「待っていれば……咲くものもあるのね。」


静かに、そう呟いた。


小さな芽に、そっと手を添えるその姿に、


私は――、


これから訪れる春を、信じずにはいられなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ