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ラフサーガ  作者: 笑太郎
一章 新たな冒険は彗星の如く
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到着、王国最大級の都

 王都を見つけたはいいが、それ以前にこの崖をどうやって降りようか悩む。

 そのまま下へ降りたら絶対に怪我してしまうだろう……あとは横から周って行くしかない。

 そうして王都へ行くために回り込もうと歩くと、足のバランスが崩れる感覚がした。


「──へ?」


 その瞬間、立っていた場所が崩れた。


「うわ!?ウワーーーーーーッ!!」


 結局そのまま降りるハメになんのかよ!?と、絶叫しながら俺は崖の下へと落ちていく。


「ちょっと待て!!このままだと普通に死──ガフッッ!」


 落下する途中で何かにぶつかり、俺の身体が止まった。


「なんだ……太い枝……?」


 どうやら崖に生えていた太い木の枝……どころの太さではない。丸太に助けられたようだ。


「ハァ……ハァ……マジでヤバかった……玉ヒュンだわ……」


 幸いここから降りるのは難しくはなかった。崖の下は軽い下り坂になっていて、大怪我する心配も少ない。


「ふう……さっきので半分以上降りれたし、もうそのまま落ちて大丈夫だろ。よっと」


 直で降りてもそこまで危険ではないと判断し、軽い足取りで下へ降りる。


「うっし、かなり危なかったけど何とか下まで来れた。ちょっとあばら打って痛いけど」


 あばら骨をさすりながら、目の前に見える王都へ向かって歩き出す。


「さあ、お邪魔するぜ……王都!!」



………………

…………

……



 崖側には入口が無かったため、わざわざ時間をかけて横の入口まで歩いた。


「まあ、普通に考えてそうよな。崖から来るのなんて俺しかいないだろ」


 そんなことをほざきながら入口の門の目の前に来た俺に、鎧を着た男、恐らく王都の兵士であろう者が話しかける。


「君、何者だ?どこから来たんだ?」


 さーて、ここでの受け答えが王都の出入りに影響するぞ……コミュ力フルパワーで行こうか!!


「俺ァワロタ。リウーナルってとこの町長さんからここの話聞いて、興味があったから来たんだ」


 良い感じっぽいぞ、兵士の表情が柔らかくなった!


「ほぉ、あっちから来たのか。見たところリウーナルの町民って訳じゃなさそうだが……もしかして冒険者か?」


「あったりィ〜、最近冒険者になったばっかなんだよ」


 本当に最近、つい昨日の話だ。


「へぇ〜、リウーナルはどうだったよ」


「いや〜最初来た時はビックリしたよ。なんせエビルウロスに荒らされ……」


 その名を口にした瞬間、兵士の顔が一瞬で強ばった。ミスったか……!?


「エビルウロス……!?嘘だろ……ここまで魔物が来ることはほとんど無いはずだ!」


 口ぶりからして、リウーナルにエビルウロス程の魔物が来ることは稀なんだろう。実際俺も王都に着くまでに一体も魔物に出会わなかった。


「いやいやこの目が嘘をついてる目に見えるか? いやマジで本当なんだ、俺が来た時にはいくつか建物が壊されてたよ。けど俺が倒したからもう大丈夫だ」


 まあ、最悪俺がいなくても町の中央に武装した町民がいたから何とかなっただろう。


「む、単体でエビルウロスを倒すとは……アンタ素人にしてはなかなかの実力者じゃないか」


「ま、運もあるけどな」


 そんなこんなで談笑していると、普通に王都内に通してくれた。


「アンタなら通しても良さそうだな。王都、楽しめよ」


「ああ、ありがとな」


 崖の上からは見づらかった王都の内部が、今お披露目される。


 十メートルくらいあったであろう外壁を抜けた先には、美しいファンタジックな建造物と笑顔で賑わう民の姿があった。


「ホントに思い描いてた通りの場所だな」


 ずっと奥には恐らく王の城……宮殿が見える。これだよこれ!冒険はこういうワクワクする物よ!!

 俺は心躍らせ、奥へと走っていった。



「うわうわスゲーな!アレは馬車か!こっちは……何だ?サーカスか?」


 非日常的な空間が全体に広がり、俺の気分はとんでもなく高揚している。


「そうだ、飯飯!腹減ってんだよなマジで」


 少し前の妄想の通り、クレープやステーキでも売ってないかと走り回る。


 売ってた。

 もはや両方売ってた。


「あばばヨダレ垂れる」


 俺はすぐ目の前にあるレストランへと入っていった。


「すみませんこのステーキください」


「かしこまりました〜」


 そうして時間が経ち、テーブルの上に置かれたステーキを貪り食う。


「う……ううっ……久しぶりに食うステーキは……最高じゃ……」


 おっと、美味すぎて軽く涙を流してしまった。変質者だと思われる前に早く食べ切ろう。

 お次はクレープ……と言いたい所だが、だいぶお腹がいっぱいだ、また後にするか。


 食事は終えたので、お次は装備。まずは装備を扱っている店を探さねば。


 そうして歩いていると、遠くからでもすぐ分かるほどの外観をした武具屋を発見した。


「デカデカと剣のマーク書いてんじゃん……」


 早速中へと入る。そこには目いっぱいの装備が置いてあった。


「スゲ〜〜……ファンタジー極めちょる」


「はっはっは、珍しいな。こんなモノに興味津々なヤツは」


 目いっぱいの装備に感動していると、店員であろうおっさんに話しかけられた。


「え?そんな珍しいもんなのか」


 こういう魔物が蔓延ったりする世界で生きている人間にとっては日常茶飯事というか、当たり前のことなんだろう。


「ああ。だから最近はあんま稼ぎが良くねェんだよ」


「勿体ねえな」


 せっかくこんだけ装備が売られてんのに買わずに戦わないで過ごすなんて勿体ない気がする。と一瞬思ったが、エビルウロスとかそこら以上の魔物と鉢合ってしまったら最悪死ぬかもしれないな。

 あれ、でもそうか、ここ王都だし騎士とか兵士とかいるもんな……使うまでもないか。

 それでも折角だし護身用として持っておくだけでも良いと思うんだけども。


「ハハハ、分かってくれるんだなアンタ。もしかして冒険者か?」


「おう、そんなとこさ」


「ほぉ〜そりゃこんなトコに来るワケだ。ウチは兵士さんくらいしか来ねェからな、装備の買い替えとかでよ」


 成る程。基本的に兵士は魔物と戦っているだろうし、装備に傷が付くのなんて日常茶飯事なんだろう。


「そっか、じゃあ何か俺におすすめの武器とかあったりする?」


「そうだな……あそこの槍なんてどうだ」


「どれどれ。お〜っ、綺麗だし軽くて持ちやすそうな……高ッッッッか!!」


 いや普通〜〜〜にお高い。十万。ほぼ全財産。当たり前だよな、包丁とかそんなレベルじゃない代物なんだから。

 そうか、買われない原因は金銭的な理由もあるんだろうな。


「ごめんちょっとこんな値段の買ったら金消し飛ぶから他の無い?」


「やかましいガキだなァ、まあ兵士じゃなくて冒険者だしあんなガチモンじゃなくてもいいか……ほれ、アレなんてどうだ」


 指された先には、包丁よりかは大きめの、いわゆる短剣が置いてあった。


「へえ、俺に丁度良いかもな。値段は……二万か!まあ全然買えるわ」


「毎度あり」


 一本購入した。短剣程度だったら俺でも扱いやすいだろう。

 防具とかも見ていこうと思ったが、どうせ十万以上行くだろうから適当な盾だけ買って店を出た。


「さて、お次は……ん?」


 店から真っ直ぐ……王都のど真ん中にあるそ(・)れ(・)に、俺は興味を惹かれた。

 デカくて高くて丸い……それはまるで水の無い噴水のような形をした台座に突き刺さっている謎の物体。

 俺はそれが何なのか気になり、ダッシュでそこへ向かう。


 段々とそれが何なのか見えてくる。

 確かに長い物だ、一見ただの棒にも見えなくはない。

 だが王都のど真ん中にわざわざそんなただの棒なんて置くだろうか?俺は絶対置かない。置くとしても伝説の剣だったり看板だったり噴水だったりそういうシンボル的な物だろ。

 ……いやまさかアレがここのシンボルだったりするのか?だとしたらめちゃくちゃ失礼なこと思った気がするんだけど大丈夫かなこれ。


 そんなことを考えていたら台座の目の前に着いてしまった。

 どれどれ、早速拝見致し──


 瞬間、轟音と共に悲鳴が鳴り響いた。


「キャアアアア!」


「お、王都に……魔物がーっ!」


「……嘘だろオイ」


 大勢の人々が轟音と真逆の方向へ走って逃げていく光景が広がる。


 頭で考えずとも台座に上がろうとした足をすぐ下に戻し、俺は背負っていたリュックを台座の下に置く。


「言っちゃ悪いけど丁度いいタイミングかもな、コイツ(短剣)を試してみたかったんだ!待ってやがれ……化け物……!!」

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