舞い散れ、異形の双髑髏
閃光が走った。
だが、閃光の正体はスカルハンプの口腔から今にも発射されそうな極太ビームではなかった。
「何をしているんだ? 私に勝てるはずじゃなかったか?」
「ハスナ? なんでここに!?」
閃光の正体は、全力で砂丘を駆け抜けてスカルハンプの口腔に双剣を突き刺したハスナだったのだ。
「ガギギ……ギャガアアアア!!」
「なるほど耐えるか……なら、その気色の悪い開いた口……裂くまで!」
ハスナがバツ字に双剣を構え、それを解くように勢いよく振るう。
花びらのように開いたスカルハンプの口腔は根元まで裂かれ、今にも千切れ落ちそうだ。いやグロ!!
「今のうちにドクロをくり抜くんだ!」
ハスナのその叫びに動揺する俺たち。くり抜くってまさかサザエ的な感じにくり抜くの!?
「ちくしょう、サキこれ使え!」
「それでくり抜けって!?」
サキは投げナイフくらいしか武器を持っていないのでくり抜く方法がほぼない。だから一旦短剣を貸して俺は木刀でこの巨大ドクロをくり抜いてやるぜ!
「マジでサザエの身とかをくり抜く感覚でやるんだな!」
「しかし、だいぶ固いぞ……」
てか木刀だと刃の部分が普通の刃物より太いから全然ダメだわこれ!!
とかやってる内にスカルハンプがまた動き出しそうだ。
「んしょっ…………って、ドクロの目が光り始めてる!」
「ヤベェ! 早くくり抜かねェと……クチク! てこの原理!」
「いや剣だとダメだ、刃が折れる!!」
「スカルハンプの報酬金で新しく買ってやるから! あと一応ムカデの素材で稼いだ金もある、頼む!」
「ええいままよ……!」
指示通りにクチクが剣をスカルハンプのボディとドクロの間に突き刺し、てこの原理を使ってドクロを動かす。
「どうせなら私だって……!」
それに続いてサキも短剣でクチクと同様てこの原理を使う……ってその短剣俺のォ!
ちくしょう木刀じゃ隙間に刺し込めねェ、だが見守っておくだけってのも嫌だし仕方ないので素手で行こう!
「必殺、ハンドスコップ!」
俺のハンドスコップが功を成したのかは定かではないが、それと同タイミングで遂にスカルハンプのドクロの一つをくり抜くことに成功した。
ついでにクチクの剣も折れてしまった。ドンマイ! 次はもっと良いやつ買おうぜ。
「よし!! けどもう一個残って……あれ?」
「オォォォォォ……」
もう一つの巨大ドクロをくり抜く必要もなく、スカルハンプの肉体はくり抜かれた一つの巨大ドクロを残して塵と化した。
「なるほど、一つくり抜けば生命維持が不可能になるんだな」
「その通り、奴の本体はあのドクロ。それが片方でも無くなれば消滅するんだ」
クチクの考えをより説明づけるハスナ。そう考えるとスカルハンプは攻略法さえ分かっていれば倒しやすい敵だな。
「ねえハスナ、このドクロって売れば素材になるよね!」
「もちろん。最近は供給が少ない筈だし二万ワラにはなると思うな」
「マジか! じゃあ依頼報酬プラスドクロでかなり稼げんじゃねェか! クチクの新しい剣だって余裕で買えるぞ!」
「ああ……ひとまずは安心だ」
俺の装備も武器以外に何か追加できるかもしれないな。いや〜ハスナが来てくれてよかったぜ。
「加勢に来てくれてありがとな、ハスナ」
「はははっ、たまたまさ。ヒルド兄さんに言われた通り、本当に私より強いのなら……今度はあんな魔物など簡単に倒してほしいな」
「ハッ、上等!」
無事スカルハンプを討伐して素材も手に入れた俺たちはまたハスナと別れ、闘争より穿てを二度放った痛みなど忘れてルンルン気分で冒険者ギルドへと帰還するのだった。
………………
…………
……
「どうも、勝者です」
「慎め」
ごめんなさい。でも他の冒険者が避けてたあのスカルハンプを倒して無事に帰ってこれたんだし多少調子に乗ってもいいでしょうよ。
報酬も受け取ったしちょっとだけお金持ち気分! そしてお待ちかねの装備更新……!
俺は少し前に壊した氷海蒼晶の短剣の後釜に、ボントールの鍛冶屋に巨大百足の素材を一部使ってもらい、サウゼンテダガーという短剣を作ってもらった。だからか刃物にしてはちょっとメカメカしい気がする。てかサウゼンテって千と百足をそのまま合わせただけか。やっぱ百足ならぬ千足だな。
更に今回はもう一つ、籠手的な鉄のアームカバーを購入した。エビルウロスとの戦いで使った盾の感触が忘れられなくて、代わりと言ってはなんだがコレを購入した訳だ。盾も籠手も前腕で防御できるし似たようなもんだよ。
クチクは一般的な剣士が使うであろう直剣よりは少し豪華な、壮銀の直剣を購入した。前使ってたやつよりだいぶ強そうな雰囲気だ。
サキはクローを購入した。メインの戦い方が殴打プラス闘気とかのサキにはうってつけだろう。……それで殴られたらと思うと玉ヒュンだぜ。
ってか遂にサキもメインで刃物を使えるようになったのか……いいね、どんどん戦力が上がってきてらあ!
装備更新も終えてボントールへと戻ってきた俺達はまたヒルドの元へと赴いていた。もう夜だし寝泊まりする場所も見つけなくちゃならないしな。
「うむ、実はこの先に隠し扉があるんだッ! そこを開けると地下へ行く道が開き、居住区に繋がるッ! そこで夕食や宿を取るといいッッ!」
「戦闘員ばっかりで一般民とか全然いないなって思ったら地下に居住区あったんだな」
定期的にタリオーラから攻撃を受けてるらしいし、まあそれが最適だろうな。
ってことで腹も減ってるしさっそく居住区へレッツゴー!
………………
…………
……
『新発売のハンバーグ、いかがですかー!』
『明日は双六賭博だよー!』
『今日は特価さ!!』
なんだァ? 地上とは違ってめちゃくちゃ賑やかだな、ルターロ村レベルかそれ以上はあるんじゃないか? 賭博とかあるし。
「とりあえずお店探そっか! 何食べよっかな~」
ここへ来て最初にその発言が出る時点で相当空腹なんだろう、という訳で近くの店に入り、料理を頼む。
とりあえずトマトソースをかけたステーキを食べて幸せになりました。ごちそうさまでした!
なんかバカみたいな値段した気がするけど気にしないでおこう。
後は今後テンプレになるであろう寝床探し&睡眠。念入りに調べて丁度良い部屋を見つけて泊まった。
よし終わり! 閉廷! 以上! 皆解散!!
『プライダル・ドラピリア』出現まであと三日。
解錠砲防衛戦開始まで、あと二日。
ちなみにハスナがスカルハンプ戦に加勢できた理由ですが、タリオーラの拠点の偵察の帰りにたまたま寄ったからってだけです。




