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ラフサーガ  作者: 笑太郎
二章 想像せよ、彼女の操る野望は其処へ
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砂丘のラッシュ、フライアウェイ!

軽く小突いてみてわかった。コイツは今までの俺たちの戦い方じゃ倒せない。

俺とサキは闘気での攻撃があるしリーチが短くてもまあ何とかなるだろう、とか考えていたが正直言ってこれは無理だ。


「〝闘争より穿て《ファイティングバンカー》〟!!」


「〝チャージサイフロー〟!!」


俺の放つ爆速の殴打とサキの放つ空中溜め飛び蹴り。二つの高威力技をスカルハンプの肉体に直撃させた。

普通に考えてロマリウスに少しでも通用した俺のこの技を手甲を装着した状態で放ったならばこんなラクダ相手など簡単に倒せると思う訳だ。

ただ現実はそうもいかない。毛皮の奥に衝撃が届いている感触は無く、ただ中身の入っているであろう箱の外側のみを叩いたような感触だけが手に残った。

それにスカルハンプも動じなかった訳ではなかったのだが、ダメージが入っていないのは誰が見ても明らかだった。

そしてそれに追い打ちをかけるように、スカルハンプのドクロの目から赤い光線が放たれる。


「空中じゃ回避出来ねェェ!!」


俺の悲鳴と共に、辺りに砂埃が舞い散った。









確かにセレブファイトトリオが苦戦する訳だ。図体はデカい、身体にダメージは通らない、コブのドクロからはビームを最大四つも放ってくる……バカクソ厄介だ。


「痛てて……いや、甘く見てたぜ」


「本気でやったつもりなんだけどね」


俺とサキの二人でも威力が足りなかったなんてことは無いと信じたいが、実際スカルハンプにダメージが通ってないのを見るとそうなのだろう。

ハハハ! まだロマリウスと戦ってた方が勝てる気がしてくるぜ!


「任せろ! 俺の剣ならば……『一断(ヒトタチ)』!!」


メンバーの中で一番強いであろうクチクの攻撃ならば流石にダメージが通るはず。

しかしながらも予想を裏切ってくる訳だ。


「ゴガアアアアアアア!!」


「何っ!?」


ラクダの鳴き声に近しく、それでいて化け物らしい異音を鳴らす。外見的には全くダメージが通っていないように見えたが、どうやら斬撃ならば少しは痛みを感じたようで。

突然走り出したスカルハンプは、砂丘をぐるっと一周してこちらへと猛突進する。


「狙いは俺か!」


猛突進するスカルハンプに対してクチクが剣で待ち構える。スカルハンプの突進に上手く合わせれば一刀両断することも不可能ではないだろう、恐らくクチクはそれを狙っているのだ。



「跳んっ……!?」



更に予想を裏切ってきた。体当たりでもしてくるのかと思いきやまさかの跳躍、剣の届かぬ高さに。

俺とサキが反応できないならクチクが反応できるはずもなく。

ラクダの頭が花びらのように開(・)き(・)、そこから現れた真の口腔がクチクを襲う。


「っ! やっべえ!!」


「いや、間に合う!」


俺の代わりにサキが走り出し、クチクに飛びつく。間一髪だったがそのおかげで回避に成功した。


「咄嗟の出来事で対処が出来なかった、すまない!」


「よくあることだよ! 休む暇はないみたいだし、次行くよ!!」


ここから俺たちは数十分ほど砂丘を飛び回ることになるのだった。









◆








場所はルターロ村へと戻る。


「なんで……なんで俺を連れて行かなかったんだあの冒険者は……!」


彼の名はアーノイ。半日前に冒険者ギルドでワロタと争った者である。

彼は憂悶していた。仲間がやられたというのに、四天王をこの目で見たというのに、ワロタ達が自分を連れて行かなかったことに。


「弱いからか? 俺が弱いからなのか?」


否、アーノイは弱い訳ではない。

魔物相手の戦闘力ならばワロタ達と同等か、それ以上の実力を持つだろう。


ただ、ワロタ達は考えた。性格も一つの原因であるが、アーノイが最も重要視し、心配している存在……仲(・)間(・)が、もしこの世を去っていたら。

計り知れない苦しみを味わうことになるだろう。

そんな不安を抱えた状態で連れていく訳には行かない。行くなら自分で勝手に行ってくれと。


「クソッ……! イマリカ、無事でいてくれ……」


彼女への願いは静かに、砂漠へと紡がれる。









◆








「俺が闘気だけしか使えないと思うなよ!!」


「ガギャァァァァァァァ」


くうっ、またドクロビーム……! 弱点が恐らくビームを放つ二つのドクロであることは間違いないだろう、だがデカい図体の上、接近しようにもビームが危険で難しい。めちゃくちゃ飛び回ってドクロにダメージを与えようともしたが、ギリギリ届かない。

時々脚で蹴り攻撃をしてくるのでそれを右手の木刀で受け流しつつ、左手の短剣でその脚に攻撃を加える。猛突進、跳躍して上空からの捕食攻撃はタイミングを見て横に跳ぶことで回避は容易い。

数十分も戦っていればスカルハンプの動きが完全に見えてくる。そして倒し方も思いついた。


「よし、設置完了! ワロタ、クチク、頼んだよ」


サキに準備してもらったのは闘気で作った即興の地雷。一定の範囲内で踏むと足元で小爆発を起こす物だ。


「俺たちが踏まないように気を付けねえとな!」


「そうだな、最悪足が吹っ飛ぶかもしれんからな」


「そこまで威力高くないよーー!!」


流れに沿って俺とクチクがスカルハンプを誘導し、猛突進状態まで持ち込む。

地雷がどこにあるのかはめちゃくちゃ分かりやすい。オレンジ色の円が目に見えるからな。

だがスカルハンプには認識できないはずだ。奴は魔物であるが、実質的にはただのラクダ……動物なのである。

素の知能も動物レベルであることから、地雷を認識することは現状不可能であろう。

それは一回目だからの話ではあるが。


「二回目は多分地雷が分かるようになってるだろうから、決められるのは今しかねえな」


「ああ……来るぞ!」


スカルハンプとの距離はおよそ十メートル。さあ、食らいやがれ……!


「ゴガギャアアアアアア!!」


「なっ、そこで跳ぶか!!」


猛突進してそのまま地雷に突っ込んでくれるのがベストだったが……位置がマズい!!


「うおおおおおお!! ラクダ野郎! 跳ぶなら俺のとこに落ちてこいや!!」


「ちょっ、無茶だよワロタ!!」


外れれば終わり、当たれば勝利。顔を開いたスカルハンプはそのまま顔面から地上に落下する。

それを逆手に取るのだ。


(あと一歩前に進んだら地雷が発動する……こんなギリギリのとこまで来たんだからしっかり受けやがれ!!)


タイミングは完璧。


「今だ!!」


俺は後ろへ跳び、スカルハンプの落下捕食攻撃を回避した。

そしてスカルハンプと地面が触れ合った瞬間。


「ガギャァァァァァァァッ!?」


地面が爆発した。

その反動でスカルハンプは仰け反り、横に倒れる。

隙は完全に生まれた。


「今度は食らえよ! 〝闘争より穿て《ファイティングバンカー》〟!!」


「〝チャージストライク〟!!」


「『一断』!!」


二つのドクロに一斉に攻撃が加わる。これにはスカルハンプも発狂状態だ。


「そろそろくたばれェェェッ!!」


「……いや、マズい! 離れろみんな!!」


「え?」


クチクが叫んだと同時、明らかにおかしい角度で首をこちらへと曲げたスカルハンプの口腔が光る。


まさかこれ、死ぬヤツじゃ……






そして砂漠に閃光が走った。

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