迫る捕食竜、明かされる『操像』
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もう夜だし埒が明かないのでとりあえず冒険者用の宿を取った。
「あー……まあ別に部屋は同じでもいいよ」
「いやホントすまん!」
ちなみに一部屋しか空いていなかったので、俺達は全員同じ部屋だ。
「なんか旅行みたいだねえ」
「まあ実際旅みたいなモンだしな」
旅行というか旅、旅というか冒険……ああ頭痛くなってきた。俺は布団に潜るから後は頼んだぜクチク。
「電気消すぞ」
「「はーい」」
いやもうアレだな、今日だけで色々ありすぎたな……ネルファとの実戦、魔蜘蛛からの逃亡、魔蜘蛛との戦闘、悪樹との戦闘……そして四天王との戦闘。あれ、これ全部12時間以内でやってね??
こう見えてまだ一昨日の修業の筋肉痛が残ってるんだよなぁ〜……流石に疲れたし……もう寝たろ。
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「起きろぉッ!!」
「べぶぁっ」
おいやめろサキ!!いくら起きないからって毛布をブン取るなんて非道が過ぎるだろ!!
「……昼になる前に起きてもらわないと困るんだ」
「いやあ、寝る子は育つって言うだろ?」
はい、言い訳です。
まあ予定があるならそりゃ早く起きなアカンやろって話で。早速支度をして冒険者ギルドへと向かう。
「プライダル・ドラピリア……通称『捕食竜』、真名は『ドラピリア・アージャル』」
昨日見たあの張り紙を詳しく見てみると、様々な情報が載っていた。
まずそもそもコイツは一体何なのか。コイツは言わば地域ボスとやらで、その地域の主となる魔物のようだ。月に一度出現するらしく、その日が来るまでにその地域の冒険者は万全の準備を整えておかなければならないとのこと。
まあ流石に四天王ほどじゃないと思うが……とんでもなく強いのは確かだろう。
「昨日ギルドが騒がしかった理由、分かったよ。何やら予定より出現日が早くなったらしくて……」
サキが言うにはどうやら本来はもう少し先の日に現れるようで、今回早まったのは異例らしい。
「ふむふむ、赤いドラゴンのような姿で、腹部が膨らんでいる……なるほどな」
一部の冒険者には「メタボドラゴン」とかいう蔑称が付けられてるとか。まあ……想像しやすいな。
とまあそんな感じでそのメタボドラゴンがあと四日で出現するのは分かった。
それよりも。
「あの、流石にそろそろ悪樹のぶっとい枝手放したいんだけど」
早く受付が空いてくれないとマジで困る。これ割と重いんだよ。
そんなことを思っていると、何やら横から。
「ッチ……オイオイ何だァ?木のブレスレットってよぉ!雑魚も雑魚、初級じゃねぇかぁ! 早くお家帰ったほうがいいんじゃねぇの?」
すげえウザい典型的なクソ冒険者が突っかかって来た。
「あー、いやいや、これは木に見えるだけでホントは錆びた金なんだぜ。アーユーアイフシアナ?」
「そんな嘘が通用すると思ってんの? ガキはこんなトコで油売ってねーでミルクでも飲んでろよ!!」
「面倒くさ!! 俺が担いでる枝が見えねえのかよ、これ結構重いんだぞ。ちなみに油ってどこで売ってるか知りませんか」
「あ? そのただ太いだけの枝がどうしたって言うん……」
フラグ回収!! と言わんばかりにザワザワと、周りが騒ぎ始める。
『は?おいアイツ……木のブレスレットって初級だよな……何で中堅冒険者推奨のメーラスウッドの枝なんか持っているんだ……!?』
『えっ、待って? しかも背中にぶら下がってるケースの中にあるのって、王都にあった勇者の剣じゃない!?』
『それよりあの突っかかってる男、この間まで仲間がいたはずなんだけど……』
「へ? 何言ってんだ、冗談だろ!?」
超運よく周りの冒険者に持ち上げられ、目の前のアホは自分の立ち位置を理解したようだ。あの時咄嗟に悪樹の枝拾っててよかった……!!
「おーおー見るか?実物」
「なっ、やめろ! 来るな! 近付くなァ!」
………………
…………
……
「……すまなかった」
「よろしい」
コイツあくまでも立派な冒険者である証の紅のブレスレット付けてんのにそういうことするのはちょっとな、とか思いながらも許す。
「どうして何の関係もないワロタにいきなり突っかかって来たのか、説明してもらおうか」
「うっ……」
顔が怖いぞクチク、もう許したんだからもう少し優しくしてやっても……
「し、して…………」
え? なんだ聞こえなかったぞ。
「もう一度頼む」
次の瞬間、俺達は想像を絶する発言を聞くことになる。
「四天王に!! オレの仲間がやられたんだよ!! だからムシャクシャしてて……!」
四天王。それは今の俺たちにとって、リージョンボスなるプライダル・ドラピリアなどどうでも良いレベルの存在。その単語を、まさかまたすぐに聞くことになるとは。
「四天王って、いや……まさか……!」
「ちょ、ちょっと待てサキ」
アイツとは限らない、アイツは余程のことが無ければ満足するまで相手を絶対に逃がさない性格だ。だから何か違和感があるっていうかしっくり来ないっていうか。
「教えてくれ、それはいつの出来事なんだ!?」
「一昨日、つい一昨日だ! アレは……あの女は……! わざとオレだけを無傷で逃がしやがった……!」
成る程やっぱりな、聞いて確信した。
「……その四天王の名前は?」
彗獣の肆、ロマリウスは言わば闘争本能に従い、割と戦いを楽しむタイプだった。何せ俺が色々攻撃しても「面白いねぇ……!」とかで済ましてるからよっぽどだ。
だがこの男から聞いた四天王はロマリウスと違って少し気味が悪いと言うか……もっと嫌らしい性格のようだ。そして何より性別が違う。
つまりその四天王はまた別……!!
「『操像の参』タリオーラ……!!」
砂と土の混ざる地を支配せし、傀儡操る彼女は笑う。
四天王の話ごとに章が切り替わる予定で行きます。




