↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラフサーガ  作者: 笑太郎
一章 新たな冒険は彗星の如く
14/43

四天の予感と、かなり嫌な言霊

 結果は俺たちの勝利に終わった。

 「一発当てたら勝利」っていう条件で助かったよ。もし「倒れるまで終わらない」とかだったら確実に丸一日は経ってたし体力切れで俺が死ぬ。というか俺たちの体力が無限だとした所でアレは何日経っても倒せないんじゃないか?


「………………」


 条件のもとで敗北したネルファは満足そうに目を瞑っている。


「まさかこのような使い方があるとは、本当に驚きましたよ」


「ハッ!ギャフンと言わせてやったぜ」


 とはいえ、めちゃくちゃ手加減してたんだろうけども……

 ということで王の間に戻り、ミハエール王に報告をする。


「勝ったぜミハエール王!」


「早っ!?……ネルファ、お主どれだけ……」


「いえ、確かに手加減はしました。しかし、あの戦法は私自身が反応しきれなかった……彼らの実力故に、このような早さで終えたのです」


「ほほぉ、その戦法とやら、凄く気になるの……後で教えておくれよ、ネルファ」


 そうしてミハエール王の太い笑い声が王宮内に響き渡った。



◆



 修業も全て終えたので、俺達は新たな門出の準備をする。


「……うっし、全部リュックに入れた! あ、見てこれ、騎士さんに頼んで木刀収納ケース作ってもらったんだ」


 何本かのベルトで出来た簡易ケースを作ってもらった。木の板と動物の皮を縦横に重ねて作られた筒状の太めの鞘だ。形と大きさ的に見栄えはそこまでだが。


「ちなみにこれ色んな物に取り付け可能で、首の後ろの襟にも付けれるっていうね、戦闘中に木刀を背中にしまって両手が空いた状態で飛び道具とかも使えるってワケよ!」


 押し込み型の出っ張っている方の釦が付いている紐を襟から背中に通し、ケース側に付いている凹み部分に服ごと留めることによって固定できるという物だ。


「ほう、便利だな。これなら邪魔にならず快適だろうな」


 そんなこんなで準備を終え、王宮を出る前の最後の挨拶にまた王の間へと赴く。


「ネルファ、ミハエール王。今日まで色々ありがとう」


「いえいえ、それなりに楽しかったですよ」


「グッフッフ……次に会う時は魔王討伐後だろうかのう……」


 魔王を倒すまではきっと来た道を戻ることはほとんど無いだろう。それ故に、恐らく今が魔王討伐前最後の王都なのだ。


「ハハハ!そうだな、魔王を倒したらまた会おう」


「……その時は、本気で勝負しましょうね」


「ああ!今度はもっと面白い技披露してやるよ!」


 そして改めて、王宮から出る。何やらクチクだけネルファに引き止められて何か話しているようだが、様子を見るにすぐ来るだろう。

 ──さて、また武具屋寄って短剣だけ買って出てくか。



──────



 ──ワロタ達が出ていった王宮内。


 ミハエール王は何やら不安そうな顔で王宮の門の先を見据える。


「…………むう」


「どうなされましたか?ミハ……いえ、お祖父様」


 一呼吸置いて、不安げに語る。


「心配なのだよ。なんせここ最近遂に、奴(・)等(・)が動き出したようでな……」


「奴(・)等(・)? ……ああ、そうですね。しかし流石に王都付近での出現情報はありませんし、しばらく遭遇することは無いでしょう……『混砂の地』に行かなければの話ですが」


「む、そうだな」


 王は知っている。魔王がなぜ魔王と呼ばれているか。どれほどの実力を持つか、どれほどの軍力があるか……どれほどの強い幹(・)部(・)がいるか。

 それ故に、王は勇者(ワロタ)達を心配していた。


「『四天王』に、太刀打ちできるだろうか……」


 隠しきれない期待を馳せながら。


「彼等ならば……きっと。 私はそう思います」


 同じくしてネルファは確信していた。


 そう遠くない未来、彼らこそが要になるのだと。



──────



 俺達は不足している装備を武具屋で購入し、王都を出発した。


「いや〜丁度いいのあってよかったな」


 クチクが買ったそれは騎士や冒険者が普通に使うような一般的な剣。まあ雑な魔物は今のクチクにならば簡単に斬れるだろう。


「ワロタはやはりそれで良かったんだな」


「ああ!軽くて使いやすいし、なんせ俺の冒険初めての戦闘に使った武器が包丁だからな!もう慣れちまったんだよ」


 俺が買ったのはエビルウロス×3と戦ったときの短剣と同じ物だ。やはりコイツもシンプルなデザイン。一周回ってこういうシンプルなのが一番良いだか何とか言うからな!


「……結局何なんだろうな、それは」


 クチクが指すは俺の背中にケースごとぶら下がる真っ黒な木刀。


「う〜ん……いや俺もよくわかってないんだけどさ……何だろう、なんか手にめちゃくちゃ馴染むんだよな」


「うん?それは不思議だな、相性が良い……のか?」


 木刀に相性もクソも無いだろう、というのは置いといて、明らかにおかしいくらい手に馴染むのだ。


「なんか運命的なモンでもあんのかなー……木刀に運命ってよく分からんけど」


 そんなこんなで装備について雑談している俺達の次の行き先は、「ルターロ村」というところだ。

 出発する前に王都の住民に軽くおすすめの行き先を聞いてまわったのだが、満場一致でルターロ村だった。聞くにはそこは村とは言うが実際は各地から人が集まる商店街らしく、王都の次の次くらいには賑やかだとか。

 何やら王都には無かった「冒険者ギルド」なるモノも存在しているようで、俄然ワクワクが止まらない!

 ちなみにクチクはルターロ村以外の集落にある冒険者ギルドには何度か行ったことがあるらしい。


 と、次の集落に思いを馳せながら歩いていると、大きな森に入った。


「……森があるとは聞いたけどよ、ちょっと薄気味悪くてやだなここ」


「何か出てきそうな雰囲気がするな」


「やめろよマジで」


 ちょっと怖いのでクチクに身体を寄せながら歩く。


「例えば木の魔物が」


「うわ〜まあそのくらいなら」


「……例えば大きな蜘蛛の魔物が」


「それは流石に────」


 ふと横を向く。

 ──俺達は後悔した。


「あ」


 噂をすればというやつか。


「ぎゃああああああああああああああ!!」


 いやがった。本当に大きな蜘蛛の魔物が!!


「まさか居るとはな……!」


「本当に来なくていいからぁぁぁ!」


 俺とクチクは走る。とにかく走る!!

 しかし本物の蜘蛛というよりは、顔面部分だけ老人の顔のようだった。まるで悪意を持ったような気色悪い笑顔をした表情……


「とはいえ足がキメェェェェ!」


 顔まで蜘蛛だったらショック死していたかもしれないのでマシな方だ!森を抜けるため、俺達はまだまだ走り続ける。


「お?光だ!!」


 ようやく外に出られるのだと、蜘蛛から逃げる俺達は必死にその光の元へ走る。


「「うおおおおおおおおおお!!」」


 ガサガサと音を立てながら全力で外へ向かう俺達。その後ろを長い足でガサガサと音を立てながら付いてくる巨大蜘蛛魔物。



 勝者は、俺達だった。


「──っっぶねぇぇぇぇ!!」


 エビルウロスとの遭遇以上にヒヤリとした。なんとか森から抜け出し、巨大蜘蛛は去っていった……そして。


「……見ろ」


 森から抜け出した先、クチクが指した場所には──


「おおお……!」


 人々が行き交う、賑やかな街が見えた。

Q.何で王都はほぼ最大級の都市なのに冒険者ギルドがないんですか?


A.ネルファら王国騎士が王都の周りの魔物を一瞬で殲滅してしまうので、王都付近では不要だからです。というか王都は商店街や住宅街が集まったような街なので、そもそも冒険者は買い物や暇つぶしぐらいでしか寄らない。


Q.でも王都にエビルウロス侵入したじゃないですか


A.………………。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。