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第一村人発見(される側)

「ーーっ!…あれ?しんでない?」


どのくらいの間死んでいたのか、もとい、気絶していたの分からないが唐突に目が覚めた。

良かった。命は無事だ。それに下着も無事だ。濡れていない。下着が無事であれば命も無事だといえるし、下着が無事でなければ命も無事ではないと言える。

おっと、それよりも


「くまもどきは!?おおかみは!?」


慌てて周囲を見回すが何もいない。熊もどきも、白い狼もいない。

夢…の訳ないよね。だってなんか服が生臭いし獣臭い。ひとまず脅威は去ったみたいだけど、いつまでも此処でじっとしている訳にはいかない。分かっているけれど、一歩も動けない。

ほんとに何なの。縮むし、狂暴な熊もどきに襲われるし狼まで出るし。

ここまで来たらあの夢が夢じゃなくて現実なんだと、受け入れるしかない。とはいえ、これからどうすればいいんだよぉぉ


「ひぃっぐ…う、うぁぁぁん!」


座り込んで泣きじゃくっていると後ろから足音と人の声が聞こえた。


「おい!!大丈夫か!?」


バッと振り返ると大柄のイケメンがこちらへ駆け寄ってくる。ひ、人だぁぁぁ!!


「ぶあああああぁ!!」


我ながらひどい泣き声で必死に立ち上がると、あっという間にイケメンが目の前に来た。


「大丈夫か!?怪我は!?…なさそうだな」


うわぁぁぁん!ごわがっだよぉぉぉ!

イケメンはギャン泣きする僕に声をかけながら手早く顔や体を調べてほっとしたように息をついた。


「良かった…もう大丈夫だ。大丈夫だからな」


そう言うと僕をぎゅっと抱きしめて、落ち着くまでずっと大丈夫だと声をかけ続けてくれた。


◇◇◇


しばらくして。ようやく涙がおさまった。

お待たせしましたお兄さん。さぁ助けていただく準備が整いましたよ!おっとその前にちゃんとお礼を言わないと。挨拶は大事ですからね。命の恩人(予定)にたいしては特にね!

とにかくこのイケメンこそ救世主、逃す訳にはいかない!この手は離しませんよ!何があろうとも!

イケメンの服をしっかりと握りしめひとり誓いをたてる。


「あり"がとごじゃます」


「ああ。喉が渇いただろう?水を飲むといい」


イケメンはそう言って、腰のポーチから水筒を出した。

お水!いただきます!

あっさり誓いを破り服から手を離す。いやだって喉渇いてるんだもの。

もう一度お礼を言いありがたく飲ませてもらう。

僕には少し大きい水筒を支えて飲むのを手伝ってくれた。ワイルドな見た目に反して優しい人だ。僕の中でイケメンの好感度が爆上がりだ。


「んっく、んっく…ぷはぁ…」


「全部飲んでもいいぞ」


「んーん、もうだいじょぶ」


「そうか、俺はジン。お前は?自分の名前は言えるか?」


水を飲んだ事で、少し余裕が出てきた。水筒を返すと、名前を聞かれた。


「…わかんにゃい…」


「分からない?」


意味が分からないというような顔で繰り返された。

デスヨネー。でも、異世界だの神様だのなんて話はする訳にはいかないよね。信じてもらえるとは思えない。

ので!ここは記憶喪失という体で押し通す!唸れ!僕の役者魂!ないけどそんなもん!


「…なまえも、ここがどこなのか、どうしてここにいるのか、なんにもわかんにゃいでしゅ」


うるうるお目々で全力アピールですよ!目薬はどこですか!

イケメンは今度は何も言わなかった。驚いたような混乱したような怒ったような顔で唸った。イケメンはどんな顔でもイケメンだね。


「…分かった。ひとまず、お前を保護する。研究所…俺の仕事場まで行くぞ。ここからそう遠くないし、医者もいる」


やったー!ありがとうございます救世主ジン様!一生ついていきます!バンザーイ!

脳内で感謝の躍りを捧げていると抱っこされた。

おおぅ、ちょっと怖いなこの高さ…

思わず首にしがみつくと背中をポンポンしてくれた。やだイケメン。


「そのまましっかり掴まってろ。少し飛ばす」


「あい!」


ええ、離しませんとも!何があっても!絶対に!誓います!(2回目)

返事するのと同時にジンさんは走り出した。

が、『飛ばす』発言は比喩でもなんでもなかった。

いやぁぁ!早い!早すぎ!怖いぃぃ!

ビュンビュンと過ぎてゆく景色に目を回した僕は意識を飛ばした。



天の助け、新キャラです。お好みのイケメンで脳内再生を楽しんでいただけると嬉しいです。来訪に感謝します。ありがとうございます。

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