はじまりはじまり
うーん……なんだか変な夢を見た。そして眩しい。目を閉じていても強い日の光を感じる。それにそよそよと吹く風も。
クキュルルル。
そして響く腹の虫の音。お腹空いたなぁと思いつつ目を開けるとそこは森の中だった。
はて? 何処だここ? 起き上がりぐるりと周囲を見渡してみるも、樹以外の物は見えない。それも壁かと思うほど太く立派な幹の樹ばかり。でっか! こんな大きい樹見たことないよ。ん? てゆーか、アレ? 樹が大きいってゆーか……恐る恐る視線を落とすと目に入ったのは見覚えのない、薄汚れたボロボロのワンピース。そしてそこから延びるガリガリの細い手足。しかもただ細いだけじゃない。なんと
「ちっちゃ!」
縮んでる! 僕の体が縮んでる! 手も足もちっちゃい! わぁ~かわいい~。
「じゃなくて! ああ! こえもめっちゃたかい! いやいやいや、どういうことコレどうなってんのコレ!?」
落ち着け~落ち着け~と自分に言い聞かせることしばし。
「いやおちつけるか!」
もちつけ、いや落ち着け僕。えーとえーと……ヤバい。何にも思い出せない。いや、さっき見た夢の内容は覚えてる。イケメンの自称神様とお茶して、異世界だなんだって話を聞いて、記憶が飛ぶとか言われて、それでスイーツ作りをすれば良いとか言われて送りだされて……
「グルルルル」
一人状況を整理していると後ろから獣のうなり声が聞こえた。嫌な予感にゆっくり後ろを振り返るとそこには熊がいた。正確には熊に似たナニか。赤い目が爛々と光り、大きく裂けた口には牙がずらりと並んでいる。オーダー入りました。ご注文は僕ですか。そうですか。
ふざけた事を考えながらも涎をダラダラと垂らしながらこちらへ突進してくる熊もどきから目が離せない。あー死ぬ。自分は死ぬ。この熊もどきに食べられて死ぬ。いや、なんなら既に死んでいる。そう思った瞬間
「グルルゥアアア!」
「グギャァァア!」
二匹の獣の声が響いた。そして目の前には白い獣がいた。熊もどきに馬乗りになっている白い大きな獣。腰が抜けて動けない僕を振り返ったそれは青い目の、口元を赤黒く染めた狼だった。
あ、死んだ。目の前が真っ暗になった。
始まってすぐに終わりそうな雰囲気ですが大丈夫です。読んでくださる皆さんにドキドキしてもらえたら嬉しいです。




