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凡人な私、行動を開始する

 


 さてさて、今日も元気に学校にやってきましたよ〜

 朝ごはんもたっぷり食べて健康そのものです!!


 昨日の対策会議によって得られたアドバイスを元に行動していきたいと思います!



 そう意気込んでクラスに一歩入ると、視線が集まってきた。

 なぜだ?

 そう思ってると友梨ちゃんがやってきて



「ちょっと、その格好どうしたのよ!?何があったの!?!?」



 と言われてしまった。



「どう?目立たない様にしたんだよ!

 でも皆んな私のことガン見してくるんだよね…なんでだろうね?」


「いや、目立ってるから、悪目立ちしてるから!!

 長いスカートにおさげで瓶底メガネなんかつけてる人きたらめちゃくちゃ見るから!!」



 え、長いスカートとおさげと瓶底メガネは目立たない種族代表の地味子ちゃんの鉄板のはずなんだけどな…

 決して人の注目を集めることはないと思うんだが…



「地味な格好といえばこれでしょ!見よ、この素晴らしき地味子ちゃんバージョン明希ちゃんを!!

 みんなおかしいのでは?」


「いや、おかしいのはあんただから!」



 えー。そんなことないと思いますー。



「とにかく昨日までと同じ格好して来なさい!」


「それは、出来ない。私はこれから地味にひっそりと暮らさなければならないのだから!空気になりきって背景に溶け込むんだ!」



 そう高らかに宣言すると友梨ちゃんにため息をつかれた。



「はぁ。だからその格好は悪目立ちするんだって。空気っていうより奇抜なオブジェと化してるわよ。

 はぁ。でもあんたって変なところで頑固だからね…ただやめなさいって言っても辞めないわよね…

 わかったわ!取り敢えず三つ編みの位置を変えて、スカートの丈はちょい長めくらいにして、瓶底メガネは…

 外さないなら叩き割るわよ。視力を失いたくなければさっさと外しなさい!」


「ひっ!

 今すぐ言う通りにいたしますのでご勘弁ください!!」



 !!ちょ、メガネ叩き割るのは勘弁して欲しい。友梨ちゃんならやりそうで怖いコワイ。

 この魔王化した友梨ちゃんには私ごとき村人Cでは立ち向かうことも出来ないので素直に言うことを聞くことにした。



 そして、王道地味子からナチュラル地味子ちゃんにジョブチェンジに成功した!


 先ほどの周りからの視線は無くなったので、ナチュラル地味子ちゃんの方が私の目的に合っていたと言える。今の私は窒素8割、酸素2割の空気になりきってるよ!さすが友梨ちゃん!



「おはよう。さっきの格好なんだったんだ?面白かったぞ。」


「小宮さんおはよう。匠、面白いだなんて失礼だよ。」



 私の親友の凄さに恐れおののいていると匠と瑞樹くんに話しかけられた。

 そうだぞ匠、面白かったとか…別にウケ狙ってないから!



「瑞樹くんおはよう!ちょっと隣の人に別にウケ狙ったわけでは断じてないと言う旨を伝えておいてください。」


 匠のことは視界に入れずに、瑞樹くんにそう言った。


「だってよ。」


「いや、あれは笑うだろ。笑うなっていう方が無理な話。」



 隣の人がまた失礼なことを言って来た。



「瑞樹くん、隣の人に今度覚えてるんだなって伝えておいてください。」


「だそうです。」


「おい!なんで俺の方を全く見ないんだよ!悪かったよ!笑って悪かったって!」


「瑞樹くん、隣の人に本当に悪気があるなら美味しいケーキを奢るように伝えてください。」


「だそうです。クッキーもセットしたら良いんじゃない?小宮さんの好物らしいし。」


「本当に申し訳ございませんでした。喜んでケーキとクッキーを後ほど奉納させていただきます。」



 よっしゃ!ケーキとクッキーゲットだって!!楽しみなり〜



「瑞樹くん、隣の人に苦しゅうないと伝えておいてください。」


「だそうです。」


「それは良かった!でも、なぁ、なんでこっち見ないの?お前らしくないな。」



 何故匠のことを見ないのかって?決まってるじゃないか!



「瑞樹くん、隣の人に小宮明希はひっそりと学園ライフを送ることにするため、匠とは人目があるところではあまり関わることが出来なくなったと伝えてください。」


「だそうです。小宮さんは匠の失言を許してくれたみたいだよ。良かったね。」


「それは良かった。だが何故俺と関わるとひっそり出来ないみたいな言い方するんだ?」


「瑞樹くん、隣の人にあなたのような人見知り美形と私のような平凡女子が楽しげに話しているとやっかまれるらしい事が判明したとお伝えください。」


「だそうだよ。女子って怖いね。でもそれって匠が人見知りじゃなければ良かった話しだよね。」


「なんだよ!そんなこと言われたってな…

 これでも前よりはマシになったんだよ!!努力はしてるんだぞ!」



 確かに…瑞樹くんという立派なお友達も出来たみたいだしね!

 でもね、まだまだ全然脱人見知りできてないから!ふぁいと!!



「とにかくせめて視界にくらいは入れてくれ!」



 匠が少し悲しそうな声でそう言うもんだから私の決心は少しぐらついてしまった。



「小宮さんも大変だと思うけど、匠の相手も適度にしてあげてね。人が多いところで無理なら学校外とかなら良いんじゃない?」



 おーーっと!ここで瑞樹くんからのアシストが入りました〜

 はぁ、しょうがないなぁ。



「わかった。視界には入れるようにする。

 あと、ケーキとクッキーは一緒にお店に行ってそこで食べることにしよっか!

 でも、クラスとかではあんまり話せないかも〜」



 そう言うと匠は嬉しそうに笑った。イケメンの無邪気な笑顔とか破壊力満点だわ〜

 いや〜福眼福眼。


 この辺りで手を打つことにしますかね!このくらいなら人畜無害作戦に支障は出ないさ!!




 さてさて、今日は一限から体育で移動教室である。気を引き締めていこー!


 まず、廊下に出る前に水瀬少年または美希親衛隊がいないか確認。

 確認が取れたら素早く柱の陰に移動する。

 その後は前後左右に警戒しながら慎重かつ大胆かつ迅速に目的地(体育館)に向かう。


 おっと!危ない!!

 親衛隊を発見した。

 ふふふ。だが、柱の影にしっかり隠れているので見つかってはいない。忍者スキル発動なのです!


 お、そのまま私に気がつかずに通り過ぎて行った!良かった〜これで一安心だ。


 だが、やり過ごす事ができた安心感でその後は鼻歌を歌う勢いで少しスキップ気味になって歩く私を水瀬少年が見ていたことに気がつかなかった。







 ______________________________________________________





 そしてお昼休みの時間が来た。


 周りを警戒しながら生活するのって大変ね…神経すり減る上に体力も消耗するみたい。ペコペコにお腹が空いた。



「ご飯食べましょう。」



 と友梨ちゃんが誘いに来てくれた。いつもなら「行く行く!」と返事をするわけだが、今日からは違うぞ!



「うん!匠の机を借りて、私のとくっつけて一緒に食べよ!!」



 そう、今日からは学食には行かないのだ。

 友梨ちゃんには昨晩のうちにしばらくお弁当にして教室で食べるってメールしておいた。そしたら一緒にお弁当を食べてくれるって行ってくれたんだよね〜

 まじ、友梨ちゃん女神かも…たまに魔王化するとめちゃ怖いけどね!



 うんうん。お弁当めちゃんこ美味しい!

 これからこんなに美味しいお弁当が毎日食べられるなんて最高!!

 しかもお弁当は量が自由なので女子にしてはたくさん食べる私としては嬉しい。好きなだけ食べられるぞ!!!

 それに、友梨ちゃんとお話しながらお弁当食べるの楽しい!


 そういうわけであっという間にお昼休みは終わった。






 午後の授業のトップバッターは物理だ。祝!初物理!!である。

 たいっちゃんの授業ってどんな感じなのかな?

 体育会系っぽい物理の授業かな?体育会系っぽい物理の授業ってなんだ??


 ワクワクして授業に臨んだ。



「えー。それでは授業を始める!

 これから一年で物理をバッチリマスターするぞ!!

 みんな、頑張ってついて来てくれ!!!あの夕日に向かって走るぞ!」



 たいっちゃん基準の頑張るってめちゃ頑張るってことだろうなぁ〜

 それにしても、夕日って言われてもねぇ。まだお昼過ぎだからねぇ。夕日なんて私には見えないなぁ〜と心の中で突っ込んでおいた。

 まぁ、何はともあれ物理は考えて解くのが楽しいから良しとしよう!

 因みに私は文理系である。6割理系の4割文系だ。暗記は苦手だ。物理はあまり暗記する事が多くないと聞いたので嬉しい。頑張ってマスターするぞ〜



 たいっちゃんの授業は分かりやすかった。何故その公式になるのかがしっかりと説明されていて理解しやすかった。ただ、所々でぶっこんでくる英語に笑った。

 速さはベロシティ、加速度はアッチェルといった具合だ。説明を聞いてると、え、今何いった?となる事が多々あった。

 テストで平均点以上とれるといいな〜真面目に授業聞こう。ついでに何回英語を使ったもカウントしよっと!






 こんな感じで人畜無害アピール作戦初日は無事過ぎていった。

 これを続けていれば75日後にはわたしが美希をいじめる悪い姉という噂も消えるにちがいない!

 脱悪役令嬢した私の姿を想像できるぞ!!

 そして私に安心して学園ライフを送らせてくれ!!!


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