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16pt なめられたままでは

普段の光のルーティンは紹介した。そして、取り巻きたちとの関わり方も紹介した。

ではそれ以外は特に何もないのかというとそうでもなく、令嬢であるからこそ財閥の集まりなどには参加させられ。また、家族などの遊びに付き合うなどもしている。


ただ、ごくまれにだがそこまで生易しくない事態になることもある。

彼女とて財閥の令嬢であり、その財閥の力を強めさせるほど成長力の強い会社を所有しているのだ。


「お嬢様。接近する航空機が確認されました」


「あら、久しぶりですわね。分かりましたわ。すぐに避難を」


当然命を狙われることだってある。

2月に1度あるかないかといった程度の頻度で、方法は違えど光は襲われるのである。今回は単純に航空機を飛ばしてきたらしい。


「特攻でもしかけてくるのですかしら?」


「分かりません。武装もあるにはあるようなのですが、到底こちらに効果がないような威嚇用の豆鉄砲しか確認されておらず」


「ふむ。そうなるとやはり特攻のような気がしてきますわ」


たいして武装もないらしく、航空機を突っ込ませて航空機もろとも光をつぶすという作戦であると予想された。

油断するつもりもないが、だからと言ってここまで聞く限りでは警戒する必要性も感じられない。


ちなみに豆鉄砲などと報告する部下は言っているが。積まれているのは軍用の機関銃だったりする。

それでも光たちの周囲にとっては豆鉄砲の範疇でしかないのだ。恐ろしい世界である。

さらに言えば、


「相手はいったいどんな航空機を使ってますの?並みの航空機では衝突してもヒビすら入りませんのよ?」


「報告を受ける限り大したことのない航空機にしか見えないそうです。警戒は必要ですが、下々の民はこのビルの強さというのを知らぬ者も多いですし」


「あら。そうなんですの?下々の者は無知なものが多いんですのね」


突っ込んでくるかもしれないという航空機でさえこの扱いである。一応相手はこれまた軍用の機体を使っているらしいのだが、それでも説明は豆鉄砲と同列である。

何せ等しく、このビルへ損害を出すことは不可能なのだから。


「操縦者の背後関係は洗ってますの?」


「はい。確認を取ったところまっとうな出自ではないようでして戸籍もないとのことでしたので、おそらく組織の人間かと」


「なるほど。邪魔ですわね」


犯罪組織の人間は、国すら管理する財閥から逃れるために戸籍を取らずに拠点へ潜む。

それは当然生まれた時からそうであり、基本的に犯罪者としての生き方以外を教わることはない。そのため裏切りもなく、特定が難しいのだ。


が、


「操縦者がいるということは、無人ではないということですわよね」


「ええ。そうだと思われますが」


「わざわざ使い捨てにしますの?」


「それは何とも言えませんね………」


光に問われた防衛関連を担当している者は難しい顔をした。

そういった組織の人間はずっと引きこもっているため子供を残す対象もその空間の中にいる相手の身となり、遺伝子的な問題が出やすくなっている。簡単に言えば、近親相姦で問題が起きるということだ。

では、それを組織が放っておくかというとそんなことはなく、


「誘拐が行われる可能性がありますわね。というかすでに行われた可能性がありますわ。調査を」


「かしこまりました」


足りない人員や新しい遺伝子の確保のため、各地から子供などが誘拐される。組織はそうして力をつけるのだ。

減った分増やせば、それはメリットの方が大きい。

そして、彼らの誘拐もまた慣れたものであり発見は困難。まさに組織の思い描いたような結果で終わってしまうのだ。


「私への直接的な被害ではなく、ここへ航空機を激突させたという事実で下々の者達の不安をあおるのが目的ですかしらね?」


「かもしれませんね。傷1つないと言えば多少はこちらの信用なども回復できるでしょうが、一部で面倒なことになるのは間違いないかと」


「そうですの………………これは随分となめられたものですわね」


光は自分たちが舐められていると判断した。大したリスクもなく名誉を傷つけられる相手だと思われている、と。

だからこそ、


「調査の資金を私が個人的に出しますわ」


「良いのですか?」


「ええ。なめられたままでは終われませんもの」


光は、今までたいして個人的に金を使うことはなかった。

そのため会社を運営する彼女の貯金は相当な物であり、下手な財閥の総帥よりも貯金額は多いのではないかと思われるほどだ。

そんな金額を使えば、


「………………ひ、光。聞いたよ」


「ん?何をお聞きになりましたの?お父様」


「例の犯罪組織の件だよ。アジトを突き止めて潰してまわったんだって?」


「ああ。そうですわね」


光は笑う。

彼女は誰もやろうとしなかった犯罪組織の壊滅というのを成し遂げたのだ。圧倒的な金の力で。

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