余談その2
次郎と別れた後、薫から花子に連絡があった。
「俺山田さんのこと、ずっと好きだった」
そう薫君は花子を呼び出すといった。
裸になり泣いて飛び出して薫のもとを去り、別れたあのあと、なぜか花子は薫に呼び出されて、冒頭の言葉を言われた。
カチコーンと、花子は全身固まった。
「あ?嘘だー」
「本当」
深刻な顔で、薫はうなづいた。
「え、いつから?」
確かに花子は薫と一時いい感じになったが、桜の方がいい感じだったような?
「正直俺は山田さんのことしろ(飼い犬)のように思っていた。だからこそ幸せになってほしかった。だからこそあきらめたんだ。俺の元の恋人は空手有段者で強いから、桜に勝てるかと思っていた。だめだったけど。
確かに桜のこと大事に思っていた。桜のこと恋愛だったか恐怖だったか友情だったか、わからないけど。
こないだのことがあってああ、俺はずっと山田さんのこと大事に思っていたことに気づいたんだ」
「嘘」
いやこないだ次郎君の求婚受けちまったじゃんか。
「本当。好きだよ、山田さん」
微笑んだ薫君は本当に優しい顔で、花子はその顔に昔の薫君の面影を見た。今ももちろん薫は美しい顔をしている。けれども花子は。
正直次郎君とは友情だ。薫君に告白されてどきどきしているし、花子は薫に飛びついてあれやこれやしたいが。
「ありがとう薫君」
万感の想いが花子の中に込みあがる。
「ごめんなさい。私の初恋はあの時に終わっていたんだと思う。あれからずいぶんたって。私大人になっちゃったし、変わったんだと思う」
「そっか」
「うん。ありがとう薫君」
「ううん。俺こそありがとう。あのとき俺のこと思っていてくれて。けどまだ俺あきらめないから。考えてほしい。もう一度聞くから」
真剣な薫の目が花子の目を貫く。
「うん」
強い風が吹いて、花子はしばし目を閉じた。




