62.龍真の過去
「先代の勇者は俺の」
「父親だ。」
「えっ?」
みんなはあまりの衝撃な事実に困惑した。
「だって勇者に選ばれるのは血縁関係ないって」
以前、司が勇者について詳しく教えてくれた時があった。
その時には、確かに勇者に選ばれるのは王族や貴族などといった血縁やずっと同じ一族に継がれるようなものではない。と教えてもらったのを思い出していた。
「あぁ」
「その通りだ。」
司も、自分の以前の説明を否定しないため合っているのだろう。
「でもなんで?」
「偶然だろうな。」
確かに、血縁は関係ないが親子で100%ならないともいえない。
「でも、司のお父さんと国民に対するあの言い方は関係があるの?」
空の言い分も納得できる。
勇者は国を守る、つまり国民を守る、言わば最終兵器とも言えるだろう。
「それは、」
司は、少し止まった後
司は、床に座り
ゆっくりと口を開いた。
「親父の帰りを待って」
「母親と夜ご飯を用意していた。」
「親父が、森で魔獣の量が増えたから」
「いつものように森は討伐に行っていたんだ。」
──────
「龍真、これ運んでくれない?」
龍真のお母さんが出来上がった料理が入ったお皿を渡しながら言った。
今日は2日前に任務のために森へ行った龍真のお父さん龍司が帰ってくる日なのだ。
「でも、遅いわね」
お父さんの帰りを待ってできた料理を並べている。
だが、予定していた時間を遅れていた。
「どこで道草食ってんだよ親父」
「もう、6歳の子供がなんてこと言ってるのよ。」
今日は、お母さんの機嫌がいい。
勇者というのは稼ぎがいいみたいだ。
だが、両親は広い家に住むことがあまり好きではないようだった。
そのため、3人で狭い家に住んでいた。
「龍真、」
「これ食べる?」
母親は龍真にオレンジのような果物を見せた。
「食べる」
6歳にしては少し冷めた声で答えた。
「わかったわ」
お母さんは包丁を、持って切ろうとした。
だが、丸い形だったためうまく刃が通らなかった。
「きゃっ」
包丁がお母さんの手から滑り落ちた。
「かあさん!」
龍真は焦って届くはずもない右手を前に突き出した。
それでも―
「氷魔法――」
「氷結」
届かない
はずだった
龍真の右手からは固有魔法では無い氷が作りだした。
なぜ、風魔法ではない氷魔法を口から出たのは分からなかった。
そして、その氷は包丁がお母さんの足に刺さる前に止めてくれた。
「えっ?」
そして、その場は凍りついてしまった。
風魔法と氷魔法が使えるということは、
龍真は、勇者に選ばれたということだ。
「....龍司?」
そして、新しい勇者が誕生したということは
つまり
―前の勇者が亡くなったというわけだ。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




