48.筋肉痛にならないで
「誰だったんだろう。」
誰かわからず怖いはずなのに何故か、不思議と怖くない。
「仲間なのかな」
きっとその人が仲間なら今以上に王に勝つ可能性は上がるだろう。
「とりあえずは」
「この世界で仲間になってくれる人を探すしかないわね」
花は、お母さんの傷が治ったことで冷静を取り戻すことができていた。
「その前に」
「全員が中級魔法を使えるようになれ。」
司が、相変わらずの冷たさで言った。
数人は、中級魔法を使えているがまだその数は少ない。
明日は、訓練になるだろうな。
王に勝つ前に筋肉痛に負けそうだ。
「じゃあご飯にしましょう。」
慎さんが微笑みながら言った。
──────
「ご馳走様でした。」
「おなかいっぱい」
陽葵は、自分のお腹をポンポンと軽く叩く動きをした。
今の、芋オンリーのご飯は少し飽きてしまってきたが、花の家族のご飯は小さなパン1つだった。
そして、それパンは一日三食食べれるわけではないのだろう。
それでも、あんなに幸せそうに食べている。
異世界に来る前の私たちはどうだったろう。
世界にご飯はちゃんと食べれない人がいることを知っている気でいたのに、目の前にあるご飯を当たり前に食べていた。
「有難いよね」
「ご飯があるって、」
陽葵は、しみじみ考えた後に言った。
夢描や、蓮、司も花の家族の食事を見ていから考えていたのだろう。
「そうだね」
「そうだな」
そう答えた。
こう思えるのは、自分たちが当たり前に食事があるからだ。
この世界はその当たり前を奪っているのが、自然でも、お金でもない
――人なのだ。
「俺、」
「もっと強くなる」
蓮は、食べ終わって自分のお皿をみながら言った。
その言葉には覚悟と固い意思が詰め込まれていた。
「私も、」
「攻撃魔法ではないけど」
「みんなを影で支えられるようになりたい。」
夢描も、自分の過去魔法を最大限活かせるように努力したいと言う思いだった。
花の家族のことがあって成長したいと思っていたのは花だけではなかったようだ。
「それじゃあ」
「遠慮は要らないんだよな」
司は、ズバッと言った。
「あれ、」
「なんか司嬉しそうだね?」
陽葵は、少しニヤニヤしながら言った。
「うるさいな」
「ニヤニヤなんかしてないよ」
司は、そういいながらそっと顔を背けた。
「ほんとかな?」
蓮は、調子に乗ったように司が背けた方へと移動しようとした。
「蓮」
「お前、中級魔法制覇するまで訓練所から出てくんな」
「ひぃぃ」
「ごめんなさい」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




