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203.昔のこと

「私が魔法を使えなかったのは」

「本当なの」

「でも、それは昔のことでね。」


「昔、」


「うん」

「ほら、私のお母様は」

「隣国の姫でさ。」

「その国の人は、魔法が使えない代わりに」

「武力に長けてたの。」

「だから、私はお母様のそういったところを受け継いだと言われてたの。」


陽葵のそう話す顔は少し苦しそうに見えた。


「でも、ある日」

「突然ね」

「魔法が使えるようになったの。」


「なんで?」


「それは、分かんない」

「ただ、国王は倒したいって」

「心の底から願ったら」

「いつの間にか」


本当に分からないのだろう。


「でも、天龍は魔法を2つ使えるのか?」

「そんな勇者みたいな」


健一が、質問をした。


「いいや、」

「天は、もっとすごい」


その答えを何故か司が答えた。


「天は、七つの固有魔法が使える。」


「えっ、」


そんなことが可能なのだろうか。

それが本当なら陽葵は、最強なのではないか?


「なんだよそれ」

「チートじゃん」


蓮が、驚きのあまり引いた声で言った。


「そんなことないよ」

「色々問題点も多いよ」


「だから、陽葵は魔力量が他の人よりも多いの?」


花は、今までの陽葵の魔力量を思い出した。


「多分そうだと思う。」

「きっと、固有魔法の分」

「体内に保存できる魔力量が比例してるみたいでさ。」


そうなら、あの桁違いの魔力量にもうなずける。


「そんなの、」

「ズルいって」

「頭も良くて魔力量も多くて」

「固有魔法も七つとか」


蓮は、今にも泣きそうな声を出した。


──────

「聞いてもいい?」


空が、陽葵に聞いた。


「いいよ」

「答えれる範囲で答えるから。」


陽葵は、優しくそう言った。


「なんで、陽葵は千国王を倒したいの?」


空は、躊躇いながらも言った。

きっと、この質問は深く天龍について知ることになると思ったからだ。


その答えで、天龍は今までどんな思いで生きてきたのか分かってしまうような。


「それは、」

「あの人が私を産んだからかな。」


それは、答えになっているのか?


「私は、産まれてしまったから」

「しなくてもいい苦しみを味わった。」

「正直ここにも近づきたくなかった。」


「ここって、」

「終契監獄?」


「うん。」


陽葵は、一瞬真顔になったあと言った。


「ここには、何回も来たよ。」

「無理やりね。」


「な、んで?」


「私に魔力がなかったから」

「あの人は、私を利用しようとした」

「だから、私をここに入れて」

「1ヶ月分のご飯を置いて」

「扉を閉める」

「そして、1ヶ月後扉を開けて」

「私が生きていれば」

「それは、まだ利用できるということ」

「もし、」


『死んでいたのなら』

『それは、利用価値が無いもの』


「えっ?」

ここまで読んでくださってありがとうございます。

次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。

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