20.この国の主食は?
チュンチュン
(もちろん地下なので本当は聞こえるはずがないけど)
いつものように朝が来た。
「はぁ〜」
夢描が、ベッドに座ったまま体を伸ばしながら息を吐いていた。
「うぅ〜ん」
陽葵も、目を擦りながら起きてきた。
だが、花の姿はどこにもなかった。
「先に起きたのかな。」
花の寝ていたベッドはとても綺麗に畳まれているのを見てトイレに行ったわけではないということがわかった。
2人は、ベッドを整えて部屋の外へと出た。
ガチャッ
夢描と花の部屋は共同スペースの近くに位置する部屋だった。
「おはよぉ〜」
やはり花は先に起きていたみたいでソファーに座っていた。
「花早いね起きるの。」
夢描が、花に言った。みんなはまだ、自分たちの部屋から出てきていなかった。
「なんか、寝れなくてね」
花は少し困ったように笑って言った。
床で寝ていた時に比べれば十分過ぎるほど快適な睡眠がとれた。
が、やはり慣れないところで寝ると疲れはあまり取れなかった。
「そっか、、」
陽葵は、心配そうに花を見つめていたが花が「大丈夫だよ」とニコッと笑顔を見せた。
───────
「おはよぉ〜」
蓮が部屋から出てきた。
「やっぱりベッドで寝るのはいいのねぇ」
久しぶりのベッドで寝れたことに嬉しさを抑えきれない美月が、言った。
「皆さんおはようございます。」
慎さんも、部屋から出てきた。
「あれ?」
「司まだ起きてきてない?」
柚が、辺りをキョロキョロ見ながら言った。
たしかにさっきから司の姿が見えなかった。
「まだ、」
「寝てるのかも?」
陽葵が、「また?」と呆れながら司の部屋のドアノブに手をかけた。
ガチャッ
「司、朝だよ」
「うぅぅぅ」
ドアの隙間から聞こえる唸り声は司のものだろう。朝に弱いのは少し意外だった。
陽葵に引っ張られるように司も部屋から出てきたことでみんなが揃った。
「それでは、」
「訓練を始めましょうか」
慎さんが、言った。
「と、その前にご飯を食べましょう」
いよいよかと意気込んでいたみんなはズコーッという気持ちになっていた。
──────
慎さんが奥の物置部屋から出してきたのは縦長のふたつの机だった。
そして、人数分の背もたれのついていない椅子をみんなで協力して並べた。
「どうぞ」
にこっとした笑顔で慎さんが出してくれたのは
じゃがいものようなふかし芋だった。
「これは?」
食のこととなると目をギラギラ輝かせる直人が聞いた。
「これは、サモイ芋ですよ。」
この芋は、サモイ芋といいこの国の主食となるものだそうだ。
「皆さんの人数分出せるものが」
「サモイ芋をふかしたものしかなくてすいません。」
慎さんは、申し訳なさそうに言った。
みんなは、食べられるだけでありがたいということをこの世界で再度考えさせられていたため。そんなことがないと言って慎さんの言葉を否定した。
気を取り直してみんなは手を合わせて言った。
「いただきます」
慎さんは、慣れないのかみんなにあわせて「イタダキマサシ」と少しカタコトだった。
サモイ芋は、じゃがいもとあまり変わらない味と食感だった。
が、こんなに美味しいものが存在するのか?と感動できたのは久しぶりに元の世界を感じることができたからだろう。
「それでは魔法特訓を始めましょうか」
慎さんは、みんなが食べ終わり、「ご馳走様でした」と言ってから話した。
ここまで読んでくださってありがとうございます。またまた、投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




