123.私たちは時間が無いの。
「まぁ、とりあえず」
「お祭りが始まるまでの」
「3ヶ月で、ある程度は鉄を集めよう。」
一が、言った。
「そうですね。」
その意見にはみな同感だった。
あの、用心深い千国王だ。
いつバレてもおかしくない。
―それに
「私たちがここに来てからもうどのぐらい経つのかな」
「1年半」
陽葵が言った。
「長いね」
そう、それが一番有効に時間を使わなければいけない原因だ。
この世界に来て約1年半が経過している。
もし、この世界と元いた世界の時間が並行しているとしたら。
私たち、3年B組は全員1年半ものの間行方不明となっているのだ。
「お母さん心配してるかな」
「おじいちゃん元気かな。」
今では大ニュースになっているだろう。
「みんなちゃんとご飯食べれてるかしら。」
「...菜々」
「兄弟多いんだよね」
「うん」
「弟2人に妹3人」
「お母さんとお父さんは」
「共働きでいつもお世話は私がしてたんだよね」
ー斉藤 菜々
大家族の長女で、あり面倒見がとても良い。
こっちに来てからは手料理を何度も振舞ってくれた。
「そうだよね」
「早く、帰りたいよね」
陽葵も、菜々の悲しそうな声を聞いて呟くように言った。
「帰るためにも」
「俺たち頑張らなきゃな!」
「大丈夫、」
「俺がいんだからよ!」
そんな2人を励ますように蓮は、いつもよりも元気に言った。
「ありがとう
「蓮」
菜々が言った。
「たまにはいいこと言うんだね」
「蓮も」
「美月?」
「お前、いつも眠そうにしてんのに」
「なんでこん時だけ」
「マイペースだなぁ」
「自分の時間を大切にしてるって言ってくれる?」
──────
「じゃあ」
「早速」
「鉱山に行く人を決めるぞ」
一は、紙とペンを出して椅子に座った。
「まずは、龍真様」
「指揮をお願いします。」
「分かった。」
「次は、流星」
「君を中心としてほしい。」
「頑張ります。」
流星は、姿勢を直して言った。
「っと、」
「この2人が行くのは決まったことなんですが」
「その他は、どうしましょうか。」
勇者である司と鑑定魔法が使える流星は絶対必要だけど。
その他に、採掘に適した魔法を持った人は誰だろうか。
「じゃあ俺が行きたい」
そう言って手を挙げたのは
珍しく直人だった。
「直人?」
みんなも驚いて思わず声が出てしまった。
「俺の固有魔法」
「岩魔法が意外と使えるんじゃないかなって思ってさ。」
直人は、少し照れながら言った。
「そうだね」
一は、直人が言った意味を考えていた。
「もし、高いところに取りたいものがあった時とか」
「邪魔な岩があったりとか」
「そういった時に」
「使えるんじゃないかなって」
この考え方は今思いついたものではないだろう。
訓練を通して、自分にはどんなことができるのか
沢山考えてきたのだろう。
「...」
一は、1拍置いてからそっと言った。
「君たちは、本当に学生なのかい?」
「えっ?」
考え方が幼稚だったか?
「なんでそんな細かいところまで」
「気づけるんだい?」
「えっ?」
「確かに直人の言う通りだよ」
「発掘をする上で時間がかかる理由は」
「周りの岩を削り鉄鉱石を探し回ることだ。」
「それを、魔法1つですぐに終えることが出来れば」
「最高の時間短縮になるじゃないか。」
一は、キラキラとした眼差しで語った。
「そ、それは良かったです。」
「ぜひ、君も鉱山に行ってくれ!」
「はい!!」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




