100.これがあの〜人に見られることがない絵画〜
「うわぁ」
飾られている数々の絵画をみて夢描が、目を小さい子供のように輝かせていた。
「この絵すごい」
「あっ!」
「この絵あの絵に似てない?」
「どの絵?」
空も、夢描の高いテンションについていけていなかった。
「てか、」
「陽葵は、一人で大丈夫か?」
司は、相変わらず陽葵のことだけを心配していた。
「大丈夫じゃない?」
「陽葵も、高校生なんだしさ」
「司の比べたら方向音痴でも無いしさ」
「別に俺は、方向音痴な訳じゃない」
「ただ、場所を覚えないだけだ。」
「それを、方向音痴って言うんじゃない?」
空は、ツッコミを入れたが
司は、聞こえなかったのか
無視をしたのか何も言わなかった。
「それよりも、天龍の顔見なきゃいけないんだろう。」
3人は、この展示会の大目玉
天龍様が、モデルとなった絵画を探しに奥へと進んだ。
──────
「うーん、」
「ないね」
絵画の数が想像していたよりも多く
容易に探すことは出来なかった。
「あっ!」
「あれじゃない?」
夢描が、指さす先には
高級感がある金色の看板があった。
そこには
『我が国の王女様のご尊敬』
という堅苦し文字が書かれていた。
「絶対にあそこじゃん」
3人は、その看板が指す矢印の方へと進んだ。
「えっ!」
「ちょっと!」
夢描は、静かな展示会にも関わらず大きな声が出てしまった。
「ごめん」
「想像の100倍ぐらいでかかったから」
看板を曲がった瞬間、目に入るのは
巨大な天龍様らしき女性が椅子に座った上半身を描いた絵画だった。
「なんだよ、」
「このデカさ」
司もびっくりしていた。
「えっ?」
「司は、この絵知らないの?」
空は、問いかけた。
「まぁな」
「俺たちは、あんまり」
「一緒にいることはなかったしな」
婚約者なのに?
という疑問は聞けなかった。
きっとその中に私たちには、理解できない思いがある気がして。
「で、司この人は天龍様なの?」
夢描は、そこそこ大きな声で言った。
「夢描!」
「誰かに聞かれたら怪しまれるわよ!」
今の言い方だと夢描は、天龍様のお顔を知らないことになる。
千国王だと変では無いだろうが
色々なところに顔が出ている天龍様のお顔知らないのは、国民としては変なのではないか。
「だって。」
「人いないじゃん」
夢描は、辺りを見渡した。
「たしかに」
「私もさっきびっくりしたけど」
ちらしにあんなデカデカと天龍様の情報が載っていたのにこの展示会に、足を運ぶ人の数は少ない。
そして、この展示会の一番の作品と言っても過言では無い
天龍様の絵画を見ようとするものは一人もいなかった。
「だから、言ったろ」
「この国では、」
「魔法が使えないものは変わり者なんだよ」
それが王族だとしても
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




