10. 扉の向こうは──誰?
「いやぁ〜」
「今日も朝が来たねぇ」
陽葵が毛布を畳みながら言った。
朝と言ってもこの家には時計がないため今が何時であるのかも分からないが、
この世界に時計という概念はあるのか?
「なんで」
「陽葵はいつもおばさん口調なの」
花は口元を少し上げながら言った。
「うーん」
「...わかんない」
「今の間はなに?」
陽葵と花の会話を聞いていたみんなはくすくすと笑っていた。
―幸せだな。
ドンドン、、ドンドン
さっきまでの幸せな空気をぶち壊すように
家中に鳴り響く
ドアを叩く音
その音は何故か少し冷たく感じた。
ただ誰かがドアを叩いているだけなのに、
「...」
陽葵が音のするドアを見ながら
鋭い目で睨んでいた。
「だ、だれ?」
未来が震えた声で恐る恐る聞いた。
「な、なに」
「びびってんの未来...」
「ただ人がノックしただけじゃん」
平気なフリをしている花の手は少し震えていた気がした。
「ほ、ほら道に迷ったのかも」
「教えてあげなきゃ」
そう言ってドアの方へと歩こうとする花の腕をガシッと掴んだのは
陽葵だった。
「まって、」
「でも、困ってる人かもよ?」
花は離してと言うように腕を振った。
「もし、助けて欲しかったら」
「ドアを叩いた後に何か言うはずだよね」
「何も言わないってことは」
「家の中の音を聞いてる可能性が高いよ。」
陽葵は、さっきとは違い真面目な声で花に言った。この森の中で人がいることも考えずらいだろう。花も確かにと言って、振っていた腕をそっと止めた。
ードンドン、、ドンドンドン
「ひっ、」
蓮も流石にビビりすぎて声が出てしまった。
そして、ごめん頭を何度も下げていた。
このままでは家の中に入ってくるのも時間の問題だろう。
そうみんなは悟った。
「...ちっ、」
「よく聞け」
そう焦ったように言ったのは司だった。
「この家には隠れ扉がある、」
少し間を開けた後、司は続けた
「準備をしろ。今すぐ、」
みんなは司が何を言っているのか分からなかった。それでも、司に言われるままに体だけは動いていた。
ードンドンドン、
「もう時間が無い、、」
透がみんなに聞こえる最小限の声で言った。
さっきまではドアからはわしていなかった
ギシッギシッという不気味な音をたてていた。
みんなは、食料や布などを持っていたが
陽葵と、花はずっとドアの方をみていた。怯えているのだろうか。
ギシッ、
ドアを押す音がピタッと止まった。
―来る
「こっちだ、」
司はみんなを連れて台所がある方へと走っていた。陽葵も、行こうとしたが走ろうとする足を1度止めて。
床に落ちていたそれを拾ってから台所へと向かった。
「おい、司」
「なんで台所なんだよ」
楓が言うように台所には何も扉らしきものはなかった。あったらいつも使っている時に気づくはずだ。
「そこの棚どかせ」
司が指をさしたのはこの家にある数少ない家具のひとつである食器棚だった。
蓮、直人、流星の3人で食器棚を横へずらした。食器棚が置いてあったところの壁には不自然に剥がれかけそうになっていた、壁紙があった。
司が前に出てその壁紙を剥がした。
剥がれて出てきたのは壁ではなく木製の扉だった。
「これ、」
「なんでこんな所にドアが?」
この前数人で家の周りを見たが外からはこんなドアらしきものはなかった。
「そんなことはどうでもいい」
「早く逃げろ」
司は急かすように扉を開けた。
扉の向こうには見慣れた森があったが敵の姿はなかった。
そして、扉の外へ1人また1人と出て行った。
「陽葵も先に逃げて」
司が陽葵に言ったが、陽葵は静かに首を振った。
司は、みんなが外に出る気でいたのだろう。
あと外に出るのは、花、夢描、陽葵、司の4人になった時。
ドォーーン
向こうの部屋から倒れる音がした。
扉が壊された。
4人は、そう確信した。
「早く逃げなきゃ」
夢描が、外へ逃げようとした時
ガタンッ
さっきまで遠くから聞こえていたはずの音が今は近くから聞こえた。
夢描はゆっくりと後ろを振り返った瞬間絶望した。
立っていたのだ、
教室でガスマスクをつけていた男たちと同じマントを羽織った。男が台所の扉の前に―
「探しましたよ...龍真様」
司は何故か顔を顰めた―
何故だろう。後戻りはできない。
そう感じたのは




