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惨め

 夜の河川敷に、僕と采奈だけがいる空間。


 今の僕には、その空間がどうしても耐えられなかった。



「采奈、今までありがとう。バイバイ」


 僕が踵を返そうとすると、「待ってくれ」と采奈が引き止める。



「……別にもう話すことはないだろ? 僕は、采奈の気持ちは理解したよ」


 采奈は、どうしても僕と付き合うことはできない、と頑なな態度を示したのである。


 口では色々と言うものの、きっと、僕のことを内心嫌っているのだと思う。



「……多分、道人は、僕の気持ちが理解できてないと思う」


 僕は大きく首を横に振る。



「いいや、十分。理解できてるよ。だから、バイバイ」


「道人、違う! ボクの話を冷静に聞いてくれ!」


「バイバイ」


「道人、行かないでくれ!」


 他人の告白を無下にしておいて、「行かないでくれ!」というのは、あまりにも傲慢過ぎないだろうか。


――そもそも、采奈は、そういう性格なのである。



 今までの僕は、采奈に恋をしていたので、あばたもえくぼで、そのことが気にならなかっただけなのだ。



 采奈は、傲慢で、我儘で、独善的な女なのである。



「道人、もうしばらくここに残って、ボクと一緒にいて欲しい。道人とはじっくりと話したいんだ」


「そんなの絶対に嫌だよ!!」


 僕の中で、何かが吹っ切れた。



「僕の気持ちを踏み躙っておきながら、一緒にいたいとか、ずっと友だちでいたいとか、そんなのふざけてるよ!!」


「道人、ボクはふざけてなんかない。それが本心だから……」


「そんなわけないじゃん!! 采奈は、心の広い、優しい人を気取りたいだけなんだ!! ただの偽善者だよ!! 最悪の偽善者だ!!」


 僕の口から出てきたのは、僕自身、僕自身の言葉かどうかを疑いたくなるくらいに酷い言葉だった。



「君を好きになったことが間違いだった!! 采奈、もう二度と僕に関わらないでくれ!!」

 

「道人……」


「バイバイ」


 僕は采奈に背を向け、駆け出す。


 采奈の引き留める声が聞こえたが、聞こえないフリをして、僕は走り続ける。


 そして、一度も振り返らないまま、階段も駆け上がった。

先月13日に、なろうミステリ作家オフ会をしたという話をしました。

実は、その参加者で、文学フリマに出品してみようという話になっています(まあ、僕が提案したんですけど)。


次回が11月に東京であるのですが、それは間に合わないだろうということで、2月(だったと記憶しています)の京都に出られればなと思っています。


実は、僕の妻が同人誌とか書く人なので、製本の仕方は妻に教えてもらおうと思っています。


過去作を製本化したいなと思っていまして、今のところ、僕の作品の中で圧倒的に一番読まれている「殺人遺伝子」かなとは思っていますが、もう少し考えてみます。


いずれにせよ、話が具体化したら、活動報告等でお知らせさせていただく予定ですので、何卒よろしくお願いします。

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