ヒロの正体
そのあと聞いたヒロの話しは驚くべき内容だった。
ヒロは、小学校低学年のころからコンピューターのプログラミングに興味をもち、中学校に入るころには、どのようなアプリケーションやソフト、AIですら自作できるほどの腕前になっていた。
それだけでなく通信系についても天才的な才能を持ち、政府のどのような機密情報であっても、ハッキング、それも決して発覚することない方法で完璧にハッキングをすることができるという。
そのようなヒロからすれば、女子校の生徒情報を入手することなど寝ていてもできるぐらいに容易いということであった。
このヒロの協力を得ることができるようになったことは、オレにとっては本当に幸運と言うほかなかった。
本来なら、自分の足と時間を使って、探すしかなかったものが、わずかな時間で探し出すことが可能になったのだ。
というか、このヒロの力を借りることなしには、そもそもオレの目標の実現可能性は限りなくゼロに近かったに違いない。
次の日から、オレはヒロの協力を得て、西ブロックにある全女子校の制覇に取りかかった。
ヒロが調べてくれたデータ―主として女子生徒の写真入りプロフィール―を見てオレが好みの女の子をセレクトし、その女の子をナンパしに行くのだ。
ナンパする場所としては、さすがにその女の子の通う学校やその近所にまで行くのは気が引けたので、その女の子の立ち回り先にした。
ただ例外的に、その女の子の通う学校で催しがあるときには、その催しに行ってナンパすることもあった。
こうして、オレは次々と西ブロックにある女子校を制覇していった。
ただ、そうやって自分好みの女の子をいくらナンパしても、オレは、そのナンパした女の子のことを好きになることができなかった。
そう簡単には『運命の女性』には出会えないでいた。
そして、ナンパをした女の子たちにはたいへん申し訳なかったが、どうしても好きになれないものは仕方がない。
オレに好意をもってくれた女の子たちには、オレの女友だちになってもらうということで勘弁をしてもらっていた。