第24話 意地とプライド
俺は前夜祭にて【プリティージュエリー】とは挨拶済。そのときは3人とも感じが良かった印象だ。だから、今回の交渉はスムーズに事が運ぶだろうと予想している。
「エイトと言ったな。今後の方針については何となく理解はしたが、そんなに9人で挑むほどの魔物がこの島にいるとは考えられないが」
「このルービック島を甘く見過ぎだ。なぜこの島なのか!? なぜここが選ばれたのか!? 考えたことはあるか?」
自己紹介が終わり、パーティーのリーダー同士である俺とクラウスは協議していた。
「クラウスさん、大丈夫ですよ。エイトさんは変なところマニアかってくらい変に物知りなんです」
「私達も振り回されては、よく驚かされてますよ。フフッ」
「……確かに。君達が急に現れたときは驚いたな」
「話を戻すが、この【R.A.F】は1週間を戦い抜く中で、後半になるにつれて、ルール上ポイントが伸びにくくなる」
「そりゃあまぁ、確かに。同じ食材や魔獣を狩ってもノーカンになるからだろ!?」
いつの間にか、俺達リーダー同士の話に全員が興味津々になって耳を傾けていた。
「このルービック島には今後の勝敗を分ける隠しモンスターが存在する」
「な!? 本当かそれは??」
「ああ、たぶん間違いない。俺の読みでは最低でも、陸、海、空とそれぞれにいると考えている。それを上位のチームが発見する前にたたく」
前世で何度か観戦したときに、たまたま目撃したとは言い出せない。
「確証はあるのか?」
「ああ。海のモンスターだが、昨日だいたいの位置は確認した」
「勝算は?」
「この6人に加えて【プリティージュエリー】が加われば80%はあるだろう」
と、あえてカッコ良く100%とは言わない。胡散臭くなるからな。本来なら俺1人でも相当良い線はいくだろうが、ここは面白さを重視する。
「気に入った。腕も治してもらったついでだ。君達に付いていくよ」
話がまとまり、そうこうする内に新たにテントが見えてきた。ここに彼女ら【プリティージュエリー】が拠点にしているのだろう。
ん?
よく見るとテントのすぐ近くで黒服冒険者が1人、休憩をしていた。
近くまで行くと、それとは別に中から人の気配が感じられた。
「ここは女性陣に任せよう。中で何があるか分からないからな」
「任せて下さい」
中にニーナ、リエリー、レベッカの3人が入って行くと、しばらくして戻ってきた。
どこか3人とも暗い表情をしている。
「エイトさん…………大丈夫でした! 皆さん中へどうぞ」
「ニーナ、お前も中々やるようになったな」
「えへへへ」
緊張と緩和。冗談を織り交ぜられるほど余裕があるということは、思った通り交渉は上手くいきそうだ。
中に入るとお菓子やら雑誌が散らかっていて、まるで引きこもりニートの部屋に間違って入ったかのような錯覚をさせられた。
「えっと、エイトですが、皆さんはここで何を?」
「何をって、マネージャーが顔が売れるから出ろ出ろとしつこくて。でもやっぱりやってみると面倒で……へへっ」
話を聞きいて整理すると、最初は真面目にしていたがだんだんと面倒になっていったらしく、今日に至っては3人共テントから出てすらいないらしい。
アイドルって華やかなイメージがあっただけに、ちょっと想定外だ。
【プリティージュエリー】は赤、青、黄色を担当する3人組のエルフでアイドル兼冒険者だ。それぞれ宝石の色で呼ばれていて、黄色のトパーズジュエリーことパーズさんが1番しっかりしていた印象だ。
「あの、後3日だけでも頑張りません? みんなで協力したりキャンプしたり、あと狩りたいモンスターもいますし」
俺はパーズさんに、めちゃくちゃ下手で話しかけた。ここににきて計画が狂いたくない。
「まぁ、私はどっちでもいいんだけど……」
パーズは髪をぽりぽりと2度かくと、左右をチラチラと確認する。
「って言ってるけどどうする? ルビー、サファ?」
「それって簡単?」
「私らになんかメリットでもあるわけ?」
めんどくせー、こいつら。
こっちが下手に出たことを良いことに、小娘が調子に乗りやがって。
俺は情けなくも、それぞれ3人に見せ場を作れることを条件に協力を要請した。尚且つ、俺達6人は前座的ポジションで構いませんとまで言い切った。
「はぁ〜、まぁいいわ。そこまであんたが言うなら」
「あ、あ、ありがとうございますぅぅううう」
俺は意地とプライドを捨てて、何度もお辞儀した。他の5人がドン引きしてようが構うことなく、何度もお辞儀した。
「いつもこんな感じなんですか?」
「はははっ……エイトさん」
何はともあれ、【世界のバリスタ】と【プリティージュエリー】の2チームを引き入れることに成功した。
活動しやすいよう、その日の内に俺達の拠点へとそれぞれ引越しを完了させた。その際、ニーナは大車輪の活躍をみせた。
「レベッカさん、例のもの出来ましたか?」
「急いで描いたからけっこう苦労したわ。バリスタ大と中と小の図面、要望通りに出来たわよ」
仕事が早くて助かる。
苦労した1日だったが、何とか俺がやりたかったとこまでいくことができた。
【R.A.Fポイント順位(3日目時点)】
順位 チーム名 点数
──────────────────────
1位 →【勇者降臨】 55点
2位 →【バーリトゥード】 51点
3位 →【最大出力】 34点
4位 →【ウーバークロウ】 32点
5位 →【エイトヒーローズ】 25点
6位 →【世界のバリスタ】 19点
7位 →【プリティージュエリー】 18点




