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10、一宮一家の謎

そんな事件が起こっての翌日。

俺はゆっくり起き上がってから準備をして家を出てから分かれ道で八鹿と別れて登校しようとした。

そして俺は目の前に真凛が居る事に気が付いた。


「おはようさん。何の用だ。真凛」

「...おはようございます。...その。お姉ちゃんを信じてくれてありがとうございます」

「俺は奴にも強く言ったけど信じた訳じゃない。まだ何も解決してないからな」

「...一宮勇人が貴方を狙っているのは事実です」

「ああ。奴にも聞いた」

「一宮勇人は容赦なく攻め込んできます」

「何が目的かも分からんけどな」

「いえ。目的は分かります」

「え?」


俺は顔を上げてから真凛を見る。

真凛は「...彼の目的は貴方に嫉妬しているからですよ」と答えた。

は?嫉妬?

俺は訳も分からないまま真凛を見る。


「その頭脳が妬ましいんだと思います」

「...俺にそんな頭の良さは無いんだが」

「人間関係などが妬ましいんでしょうね」

「なんでそんな事になるんだよ...って感じだな」

「彼は嫉妬深いんです。...私...同じ中学校でしたから」


その言葉に見開いてから「そうなのか」と聞く。

すると真凛は「はい。彼は性格的に許さないものは何でも許しません。超えようとします。可哀想な人なんです」と答えた。


「それはつまりテストで良い成績を取った奴を超えたいみたいな感じか」

「ですね。とにかく一番に拘るんです」

「...」

「多分親御さんの影響です」

「求められるのは一番。そういう感じか」

「そうですね。...頭おかしいです」

「...成程な。家庭環境はあまり知らなかったから」

「ですね」


そして真凛は苦笑してから真剣な顔になる。

「貴方も狙われてます。恐らく」と真凛は言う。

俺は「だろうな」と言いながら溜息を吐く。

それから「俺はそういう感じは興味無いんだ」と真凛を見る。


「ですね。...分かります」

「...なんとなく分かった。一宮も...性格がおかしい事は」

「はい」


俺は「行こうか」と言う。

すると真凛は「はい」と言いながら一緒に歩き出す。

それから歩いてから学校に行く。



学校に着いた途端に(おはよう)とメッセージが入った。

それは奴からだった。

瀬本である。

俺は(なんだ)と聞く。


(昨日はありがとう)

(そうだな。言っておくが)

(わかってる。真凛から聞いた?)

(ああ。そこそこには)

(うん)

(...お前もう大人しくしろよ)

(うん)


俺はメッセージを読みながら教室に向かう。

それからドアを開けると「おはようさん」と声がした。

顔を上げると智和が居た。

俺は「よお」と言う。


「...聞いたぞ。昨日の事」

「誰から聞いたんだ?」

「いや。知り合いが目撃してな。大乱闘だったらしいな。公園で」

「そうだな。恥ずかしい限りだわ」

「一宮と瀬本は説得できたか」

「瀬本は取り返した」

「え?」

「...一宮はもう駄目だ。奴はサイコパスだ」

「...そうなんだな」


智和は「アイツ噂で聞いたけど頭おかしいらしいな」と言ってくる。

俺は「ああ。一番に拘るらしくてな。...懲りねぇよ」と肩を竦めてから鞄を机に置きつつ智和を見る。


「俺はあいつは許さない」

「...だろうな。...俺も協力するよ」

「それから真凛から聞いたんだが...」

「...何をだ?」


俺は智和に全て説明する。

すると智和は「...そうなのか」と言いながら眉を顰める。

それから「奴の狙いがお前なら...瀬本は巻き添えって事か」と言う。

俺は考え込みながら「だろうな」と返事をする。

その言葉に智和は「最悪だな。何でもかんでも一番を狙う気か」と複雑な感じを見せる。


「...一番だけが全てじゃない」

「それは分かる。...一番だけが全てじゃないしな」

「気持ちが悪いよな」

「執着心がキショい」

「...親の影響にしても...というか自分の事も表に出しているだけじゃないか?」

「そうだろうな。満足感を得たいだけだろう」

「うーん。化け物だな」


そう話しているとドアが開いた。

それから「...仁」と声がする。

その姿に俺は驚く。


「何の用事だ」

「...一宮勇人の事に関してこれから先の事」

「...それは?」

「情報を...私が集めた情報を共有したい」

「...」


俺は静かに瀬本を見る。

するとそんな瀬本に「俺も同席して良いか」と声がした。

智和が眉を顰めて立っている。

その言葉にびくびくしながら「う、うん」と返事をする瀬本。



休み時間になってから俺と智和と瀬本は中庭に移動をする。

それからベンチに腰かけた。

そして「で」と智和が切り出す。


「どういう情報を?」

「...実は彼には妹さんが居るんだけど」

「そうなのか?」

「その妹も頭がおかしいの」

「...」


全く変な奴らばかりだな。

そう思いながら俺は「どういう風に頭がおかしいんだ」と聞いてみる。

すると瀬本は青ざめながら「...私に対して威圧的な態度を取ったり...その。家族を貶めるとか言ってきて...」と言う。

俺は「...」となりながら「なにかどっかの悪の組織かよ」と溜息を吐く。


「...一宮一葉いちみやかずは。中学生だけど頭おかしい。策略家だと思う。兄を慕う」

「まさかと思うが付き合っている訳じゃないよな。血が繋がっている癖に」

「それは無いと思うけど」

「現にそれがあったら気持ち悪いな」

「だろうな」


そして話をしながら情報を聞き取る。

すると瀬本は震えながら「私、これからも仁に情報を渡すから」と言う。

俺は「...そうか」と返事をする。


「仁。本当にありがとう」

「...お前の事はまだ信頼出来ないから。その情報も信頼出来ない。だけど見極めて行こうとは思うから」

「...だな」


俺と智和は瀬本にそう答えながら瀬本を見る。

瀬本は「それで充分です」と答えた。

とにかく今は...一宮勇人の情報が欲しいな。

そう思いつつ空を見上げた。

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