彼が仲直りする話
俺は急いで職員室に向かった。
目的は勿論榎本先生だ。
真田と仲直りをする為に彼の居場所を聞く&あわよくば仲介をしてもらおうという考えからだった。
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「おお懐。丁度いいところに来た」
先生の机は相変わらず特撮盛りだった。
そして、その場には真田も居た。
「真田…」
「…懐」
名前を呼び合い、真っ直ぐに互いを見つめ合う。
俺は気まずさから、真田は罪悪感からか続く言葉は喉元で搔き消える。
「ゴホン、ここは職員室だ。同性愛には寛大だが場所を選びたまえ」
「「違いますから!!」」
ピタリと息があった、正に阿吽の呼吸。
シンクロ召喚だ。
「まぁ、ここで話すのもなんだ。場所を変えよう」
そう言うと榎本先生はスタスタと職員室を出た。
「付いていくか」
「お、おう…」
すっかり気の抜けた感じで追随する。
到着したのは…ラウンジ。
授業中のブッチをやっている訳だから当然人気はない。
榎本先生はおもむろに懐からカップ麺を取り出すとー同じく懐から取り出した水筒の白湯を注いだ。
…どんな懐なのだろう。
もしや四次元ポケットだったりするのだろうか。
当の本人は鼻歌を歌いながら酷く上機嫌な様子だが、連れてこられた俺たちの困惑度合いは凄まじい。
「先生、太りますよ」
「馬鹿者、不摂生とタバコと酒は大人の特権だ」
「ソレ、生活習慣病の元の間違いでしょ」
真田は反省文を書いた後で拗ねているのか辛辣に突っ込んだ。
「さて、何の話だったかね?」
「えーと?は?」
「懐はまだ要件を言っていないよ。言わなければ伝わらないんだ…。だから…スゾゾッ…今ここで言うしかないだろう。ズズッ、大体予想はつくがソレは懐本人が解決すべき問題だ。ゴクッ、旨いなコレ。帰りに補充して、あ、あとビールも…」
「シリアスが息してない…」
カップ麺を啜る榎本先生を視界の端に追いやり真田に向き合う。
要するにこの人はお膳立てをしてくれたのだ。人気の無い場所を提供してくれた。
つまり、気兼ねなく存分に話せと、そう言う事なのだろう。
「真田…」
「懐、すまない。俺は良かれと思って…仕出かしちまった」
「いや、お前は悪くは無いよ。俺が原因だ。お前は遠因でしかない。それにいつかはこうなってたさ、早いか遅いかの違いでしかないよ」
「…そう言ってくれると助かる」
「どうやら仲直りは終わったようだな」
カップ麺を啜りながらチラチラと様子を伺っていた先生がそう言ってカップ麺のスープを飲み干した。
「さて、仲直りした二人に質問だ。私の同級生に暇そうなWEBライターが居るんだが…ソイツのと会ってみないか?」
そんな唐突過ぎる質問を先生は言い放った。




