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彼らが悪巧みする話

トライアンドエラーは最大の武器であり最大の敵である事を俺たちは知った。


「…おい、懐。取り敢えずプロットできたぞ」


「ん…。タイトルは大体上位にアジャストしたけど全然ダメだ」


さて、今の状況を説明しよう。

プラナリアチャレンジを終えた俺は即座に真田の家に転がり込み、作品の打ち合わせをしていた。

榎本先生からはトライアンドエラーでしか勝てないと宣告され、それでも「やってやんよ!!」と高を括っていたのが大体ここら辺。

先ず、俺と相性の良さそうなジャンルを見つける為に考えうる全ジャンルのプロットを製作しようと考えた。

そこから先は地獄だった。

見よう見まねでそれっぽそうなものを書き並べ、全てを精査した上で先の展開の描きやすさ、筆の速さを推測。

次第に重くなる目蓋をエナドリで無理矢理こじ開け、モチベ上げとストーリー勉強の為に名作エロゲーの鑑賞会が始まり、文字通り精も根も尽き果てて今に至る。


「あー、今やあの廃テンションが懐かしい」


「言うなよ…眠たくなる」


「だよなぁ、月並みだけど至ると眠気が来るのを忘れてたわ。動物の本能が今は憎らしいわ」


眠い…もう眠いんだパトラッシュ…。


「もうこっから投稿ロラするか?」


力のない声が部屋に染み渡るようだった。

投稿ロラ、それは俺たちの最後の手段。

投稿サイトに全ジャンルを順に投稿してPVで大体の人気を判断してその中から五本程度に選別、他の全作品をエタらせて選別先に集中するスタイルだ。

だがーこれは決して褒められたやり方ではない。

刹那的で俗物的な戦法だ。

そもそも小説投稿サイトは投稿サイトであって物語の面白さを測るツールではないのだ。いや、そういった側面は確かに存在するがそちらをメインに据えるのは何ともよろしくない。


それに…。


「エタったりこっちの意図が透けると見向きもされなくなるしなぁ…」


そう、見られる事を前提とする作戦は『てめーのなんか見てやらねーよ』で簡単にカウンターされる。


「なぁ、懐。やっちゃえ日⚫︎って言葉知ってるか?」


「何だ?さっきのエロゲーの話か?」


「それバーサーカーな。じゃなくてよ、結局のところポイントの水増しが罷り通るのが可能な辺り中々キツイよな」


やっちゃえ⚫︎産か。

確かにやらなければ始まらないが…。


「今現在複垢無しで、俺の垢一つ、お前の垢一つ。ブックマークが2PT換算だったか。評価がマックス10PT一人につき最大12PT毟れるだろ?例えばここのプロットを二分割して懐が10部、俺が5部担当しておけばそれぞれ別の作者名で割りかし安全に12の相互取れるよな?」


「ただ、相互の12PTって数は決して多くはないね」


「いや、ここをよく見てみろよ」


真田が突き付けた携帯の画面には日刊のランキングが表示されていた。

やはり一位は一日で取るポイントは多く、相互したくらいではどうにもならないと思った。


「んで、これだ」


「え…っ!?」


そのランキングは一位が50PT程度だった。


「嘘だろ?一位は一位でも恋愛とかの一位とじゃ、かなり開きがある…」


「その他のジャンルだ…」


その他のジャンル。

俺が最も敬遠したジャンルだ。

理由は『ジャンルの特異性が無いこと』。違うか、『ジャンルで設定されながらジャンルらしいジャンルが確立されていないから』だ。


ジャンルでゲシュタルト崩壊しそうになるがそこをググイッと抑える。


「その他ってさ、アレなんだよ。…全部ゴッチャ混ぜなんだ。一位は書籍化作品だから超えれないとしても日刊五位以内だったらランクイン出来る可能性が高い」


「となれば、『ランキング五位以内に入ると突然評価される法則』に入るのか。PVと感想目当てならこの作戦も…ずっこい事この上ないけど有効かな」


と、言いーそれを最後に記憶が途切れた。


睡魔に勝てなかったようだ…。

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