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第8話 色々聞いてみた

 俺は今、フランクさんとクレアさん、ディアナさんと共に一路イズミルへの道を、馬車に揺られながら進んでいる。

 と言っても、今日の夕暮れ時には着くらしいのだが。

 しかし、さすがは中世ヨーロッパ風異世界だ。尻が痛い。

 この時代のものには、バネのようなものが入ってないらしく、デコボコの道だとすぐに揺れるそうだ。

 1日でこんなに痛いのだ。3人の旅の苦痛が忍ばれる。


 まあ、そんなことは兎も角、昨日助けた彼らのことだが、夜の内にコッソリ鑑定にかけさてもらった。

 《解析鑑定》を使用して思ったが、俺の鑑定方法は少々目立つ。 

 立体ホログラムを使っているからだ。

 これを使わずに出来るかどうか、試してみた。

 普通に出来た。脳内にはっきり相手のステータスが浮かんでくる。

 なんだか少しだけ乾いた笑が出てしまった。

 これからはこっちを主流に使っていこう。



 名前:フランク・ダレル

 種族/歳:人間/37

 職業:商人

 レベル:26


 HP:164/219

 MP:380/380  

 筋力:56 

 俊敏:38  

 耐久:83

 魔力:42

 運 :77


 スキル:商業 算術 話術 礼儀作法 SP変換[運] 生活魔法  



 名前:ディアナ・ジョシュア

 種族/歳:人間/19

 職業:騎士

 レベル:19


 HP:229/229 

 MP:230/230  

 筋力:76 

 俊敏:67  

 耐久:70

 魔力:16

 運 :23


 スキル:剣術 槍術 馬術 礼儀作法 生活魔法



 クレアさんについては余り参考になりそうになかったので、今回は省略させてもらった。

 こうして見てみると、自分の能力が低いことがよく分かる。

 早急にレベルを上げるべきだろう。

 また、フランクさんのスキルのSP変換[運]についても鑑定してみた。


 

 スキル:SP変換[運]

 SPをを運にも振ることができる。



 これを見て、すごいレア、若しくはチートスキルだと思った。

 なぜなら、運のパラメーターは本来上げられるものではないかだ。

 運は人が生まれてから死ぬまで変わることはない。 

 しかし、この人はSPを運に振ることが出来る。

 しかも職業が商人。どれだけの大企業の社長なのか分かったものではない。

 惜しむらくは、俺の持つステータス操作を持っていなかったことだろう。


 恐らくだが、俺以外のヒトでも見えていないだけでSPをちゃんと持っているのだと思う。

 その証拠がこのスキルと、フランクさんの運の値だ。

 正直、普通の人間が持つレベルではないだろう。もう少ししたら俺に匹敵するくらいだ。

 加護を持っていてもおかしくはない。


 俺が助けた人は、予想よりもすごい人らしい。


 今度は、ディアナさんについてだ。

 この人はスキルについては特に変わったことはない。

 だが、職業がちょっとやばい気がする。


 騎士って。

 それって普通、王様とかに使えるものじゃないの?

 こちらの世界では、自称騎士や野良の騎士なんかがいるのかもしれないが、この人は礼儀正しいし言葉遣いも少し偉そうというか、気品を感じる。

 そんな人が一緒にいる商人さんっていったい・・・・・。


 俺が助けた人達は、俺が思った以上に地雷のようらしい。


 そういえば、騎士であるディアナさんがついていながら、どうして山賊――こちらでは賊のことを山賊と言うらしい。つい盗賊という言葉を使って怒られてしまった。――に捕まったのか聞いてみた。

 なんでも、馬車が停止した直後の油断を突かれたらしい。

 イズミルの街に早く着こうとして少し急いでしまったそうだ。

 数日、数ヶ月続けての道程だったと言っていた。かなり疲労が溜まっていて、そこを突かれたのだろう。

 本来は、そんなことはしなんだろうが何か理由があるようだ。

 まあ、高確率で地雷臭がするので聞かないが。


 彼らについては、こんなものでいいだろう。

 他にも、ディアナさんに御者台で――恩人に御者の真似事などさせれられないと言われたが、周囲の警戒やウルのこと等もあり御者代に乗せてもらった。そのウルは呑気に馬車と並走している。――色々聞いてみた。

 村出身で学がないこと、そしてそれが嫌で出て来た。なんて設定を信じてくれたようで、いろんな事を教えてくれた。


 まず、この国のこと。

 この国は、キャヴェルラッシュ王国と言うらしい。

 イズミルの街は、王都に次ぐ街で、別名商業都市イズミルと呼ばれているそうだ。

 他にも、教会や神のこと、人間以外のこと、魔物のこと等だ。

 特に気なったのが、冒険者のことだ。


 ディアナさんは、今はフランクさんのところに専属契約という形で雇われていると言っていた。

 嘘はないだろうが、それだけには感じられない。


 まあ、そんなことは関わらなければ関係ない。そして俺は関わらない。

 そんなわけで冒険者だ。

 冒険者は主に何でも屋らしい。街の中のこともそうだが、街の外で薬草を取ってきたり、魔物を殺したりして生計を立てている人種だそうだ。

 当然、生死に関係する仕事も山のようにあるので、給料はその時々らしいが。

 他にも、ダンジョンに潜ったりもするらしい。


 ダンジョン、だ。

 ゲームや漫画で有名なダンジョンがあるみたいなのだ。

 ちょっとワクワクする気もするが、今はまだ弱い。それに何の準備もない。

 今すぐ行くのは、時期尚早すぎる。自重が肝心だ。


 さて、そうこうしている内に、イズミルの街が見えてきた。

 思ったよりデカい。そう思っても仕方がないだろう。

 街の周囲には、ぐるりと高い城壁が囲んでいてまるで、威嚇されているかのようだ。

 城壁の周りには堀が掘ってあって、魔物がすぐには入れないようになっている。


 そんな街が、正確に言えば城門が近づいてくる。

 ハッキリ言うと、俺は今こちらに来て以来、ウルと出会ったとき並に緊張している(言いすぎか)。

 何故緊張しているかと言えば、神様が言っていた不審者パターンにならないか心配している。

 俺は、この世界にとって異物だ。

 レベルだって低いし、こちらの常識も持ち合わせてない。

 そういったことが、俺を不審者と見られないかと不安にさせる。


 さりげなくだが、ディアナさんに聞いてみたがこう言われた。


「確かに君1人だと少し怪しかもしれないが、今は私たちがいる。

 君に受けた恩もあるし、私たちが君の保証人になろう」


 そう言ってくれた。

 やはり、怪しいのかこの格好。

 今の俺は、ジーパンにパーカーといういたって普通の格好なのだが、地球では普通でも異世界では違うらしい。当たり前か。

 当初の予定では、格好が目立つことは、問題の一つで薄汚れれば目立たないと考えていたのだが、いい意味で予定が狂ってしまった。

 ディアナさんの言葉を聞いて、大分緊張がほぐれた気がして心臓の音が小さくなった。

 

 そしていよいよ難関だ。

 城門にまでついた。

 人の行列が目の前に出来ているのは、検問のためのものだろう

 この列に並んでいればいづれ入れるそうだ。


「よし、入っても問題ない。次!」


 愈々、俺達の番だ。


「身分証の提示と、馬車内の開示をよろしいですか?」


「もちろんです。私の名はフランク ダレルと申します。

 ただ彼は身分証を持っていませんが大丈夫ですかな?」


 そうフランクさんが説明してくれた。

 恐らく、俺とディアナさんの話が聞こえていたのであろう。

 というか、やはり有名人なのか。


「おお、あの有名な。

 もちろんですとも、フランク殿の知人なら問題ないでしょう。

 しかし、規則で真実の石板に手をのせることになっております。

 よろしいですかな?

 それと、後ろの魔物はフォレストウルフですな。

 あの魔物はいったい」


 きた、そう思い答えた。


「はい、問題ありません。

 ついでに、そいつは俺の使い魔です。

 攻撃しなければ、人を襲ったりしないので安心してください」


 実は、行列に並んでいる時からすごい注目されていたのだ。

 ただ、ウルが何もせずに俺達について来ていたので誰にも何も言われなかったのだ。


「そうか、君の。

 それは将来有望なテイマーだな。

 では、この石板に手を翳しなさい」


 そう言われて言う通りにする。



 名前:リョウタ・ミカゲ

 種族/歳:人間/15

 職業:調教師テイマー

 レベル:3


 HP:120/150 

 MP:600/600  

 筋力:25 

 俊敏:42  

 耐久:23

 魔力:60

 運 :30


 スキル:MP回復速度上昇(上) テイム 体術 生活魔法 



 よし!うまいこと《偽装》が効いてる!

 絶対にこういうことがあると思って前もって考えた甲斐があったようだ。


「よし、特に怪しいところも、犯罪を行ったこともないようだ。

 問題ありません、お通りください」


 見事に、騙されてくれた。

 因みに、どうやって犯罪者を見分けているのかと言うと、真実の石板に手を翳すと犯罪者の場合、真実の石板が赤く発光するらしい。俺の場合は普通に白色だった。


「助かりました、ありがとうございます」


「うむ。ようこそイズミルへ!」


 そうして、俺たちは馬車に揺られなが街に入る。

 夕焼けの中で見る、異世界の街イズミル。

 そこは、俺内心とは打って変わって、騒々しく生に満ち溢れている。

 その光景は、俺の記憶の1ページに刻まれるほど美しいものだった。

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