表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/25

第15章 強さを数値で知るということ

アスケルトン・クレアトラッハの玉座の間。

その広大な空間には静寂が広がっていた。

珍しく警報も鳴っていない。

侵入者もいない。

巨大な怪鳥が突然養親面してくることもない。

あるのは――

玉座に座る小さなスケルトンだけだった。

「……」

ナヴィンは巨大な玉座の上で考え込んでいた。

そもそもこの玉座。

どう考えても彼のサイズに合っていない。

座っても足が床につかない。

だが本人は気にしていなかった。

今はもっと重大な問題がある。

彼の前には大量のウィンドウが浮かんでいた。

経験値。

レベルアップ曲線。

モンスター討伐記録。

ダンジョン収支。

経験値獲得量。

様々なデータが表示されている。

「うーん……」

ナヴィンは唸った。

「レベル60のモンスターを一体倒すと……」

指で計算する。

「三十万ちょっとの経験値が入る……」

さらに別のウィンドウを開く。

「でもレベルが上がるたびに必要経験値も増える……」

また計算。

また計算。

また計算。

やがて。

「もしこのままレベル60を狩り続けるなら……」

彼は結論を出した。

「百七十八体倒せばレベル124くらいになる」

静寂。

そして。

「百七十八体!?」

ナヴィンは頭を抱えた。

多い。

とても多い。

想像以上に多い。

「そんなに倒すのかよ……」

青い炎が弱々しく揺れる。

「それに……」

彼はさらに大きな問題に気付いた。

「僕、自分がどれくらいダメージ出してるのか知らないんだよな」

沈黙。

確かにそうだった。

レベルは分かる。

ステータスも分かる。

スキルも分かる。

しかし。

実際にどれだけのダメージを与えているのか。

知らない。

今までずっと感覚で戦っていた。

「これじゃ外を探索できないよな……」

禁じられた大地には未知の怪物がいる。

もし自分の火力を把握していなければ。

あまりにも危険だった。

その時。

突然システムウィンドウが現れる。


【提案】

システム設定より

『ダメージ表示機能』

を有効化してください。


「……」

ナヴィンは固まった。

数秒後。

「はぁ!?」

絶叫した。

「そんな機能あったの!?」

玉座の間に声が響く。

しかしシステムは何も答えない。

「なんで今まで教えてくれなかったんだ!?」

無反応。

「僕、何回も死にかけたんだぞ!?」

無反応。

「頭だって取れたんだぞ!?」

無反応。

「酷くない!?」

無反応。

システムは今日も冷酷だった。


急いで設定画面を開く。

そして。

あった。

本当にあった。


【ダメージ表示】

OFF


「……」

「……」

「……」

ナヴィンは遠い目をした。

最初からあった。

ずっとあった。

今までずっとあった。

「嘘だろ……」

彼は軽く絶望した。

だが。

すぐに切り替える。

「まあいい!」

ポチッ。


【ダメージ表示機能】

ON


その瞬間。

ステータス画面に新しい項目が追加された。


ダメージ:

23,400 ~ 56,730


「おおっ!!」

ナヴィンの魂火が輝いた。

「これは便利だ!」

今までは感覚だった。

しかし今は違う。

数字で分かる。

正確に分かる。

「これで狩りが楽になる!」

彼は勢いよく立ち上がった。

そのまま玉座から飛び降りる。

着地に失敗しかけた。

慌てて体勢を整える。

何事もなかったかのように咳払いした。

幸い誰も見ていない。

……と思ったが。

近くのスケルトン兵たちは見ていた。


数分後。

準備完了。

毒付きダガー二本。

スケルトン兵。

そして。

第一層で寝ているルーク。

巨大怪鳥は気持ちよさそうに寝ていた。

「ルーク」

反応なし。

「ルーク」

反応なし。

「ご飯」

ガバッ。

即座に起きた。

「……」

ナヴィンは頷く。

「やっぱりな」


しばらくして。

第一層へ到着。

ランクDへ進化したスケルトン兵たちが整列している。

以前とは比べ物にならないほど強くなっていた。

そして第二層。

スケルトンナイト。

彼はランクC+へ進化している。

圧倒的な存在感。

頼もしい戦力だった。

「よし」

ナヴィンは頷く。

「今日は経験値稼ぎだ」


ルークを第一層へ配置する。

最高の迎撃ポイント。

そして。

ナヴィンは塔の外へ向かった。

境界を越える。

すると。


【塔の外へ出ました】

【全ステータス75%減少】


「やっぱり嫌だなぁ……」

身体が重くなる。

だが。

今日は戦わない。

誘導だけだ。


周囲を見回す。

そして。

レベル58。

レベル61。

レベル63。

レベル59。

レベル65。

モンスターたちを発見した。

「よし」

ナヴィンは挑発する。

「おーい!」

怪物たちが振り向く。

「こっちだぞー!」

全員が反応した。

「……あれ?」

思ったより集まった。

「まあいいか!」

そして。

全力疾走。

怪物たちも追いかける。

地響きが鳴る。

「うわあああああ!!」

ナヴィンは逃げた。

命懸けで。


塔へ飛び込む。

怪物たちも飛び込む。

その瞬間。


【領域内へ帰還】

【ステータス減少解除】


「よし!」

狩り開始だ。


二時間後。

そこは完全な宴会場になっていた。

もちろん。

モンスター側にとっては地獄である。

スケルトン兵が前衛。

ルークが主砲。

スケルトンナイトが殲滅役。

ナヴィンが暗殺担当。

完璧だった。

モンスターが入る。

囲まれる。

毒を受ける。

殴られる。

吹き飛ばされる。

死ぬ。

終わり。

非常にシンプルである。


経験値は雨のように降り注いだ。

レベルアップ。

レベルアップ。

またレベルアップ。

ルークも強くなる。

ナヴィンも強くなる。

止まらない。


やがて。

二時間が経過した。

最後の怪物が倒れる。

静寂。

ナヴィンは床へ座り込んだ。

「疲れた……」

精神的に。

かなり疲れた。

近くではルークも寝転がっている。

ナヴィンは笑った。

「ルーク」

ルークが顔を上げる。

「疲れたか?」

ルークは即座に頷いた。

「だよな」

ナヴィンも頷く。

二人とも疲れていた。


それでも成果は大きい。

ルークはレベル78。

ナヴィンはレベル81。

大幅な成長だった。

だが。

一つだけ気付いたことがある。

レベルアップ速度が落ち始めている。

以前ほどではない。

もちろんまだ速い。

十分速い。

だが。

確実に必要経験値は増えている。

「いつまでも簡単にはいかないか……」

青い炎が静かに揺れる。

もっと強い敵。

もっと危険な狩場。

いずれ必要になる。

そして。

いつか。

塔の外へ本格的に出なければならない。

その日まで。

もっと強くならなければ。

ナヴィンは静かに拳を握った。

「まだまだだ」

彼の成長は。

まだ始まったばかりだった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    【ステータス】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


名前:ナヴィン


レベル:81


ランク:A+


称号:

【最弱のボス】

・獲得経験値400%上昇


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    【能力値】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


筋力   :76

敏捷   :96

耐久   :74


HP    :196,859 / 196,859

魔力   :84,592 / 84,592


ダメージ :34,670 ~ 78,230


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    【所属】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


アスケルトン・クレアトラッハ

ダンジョンマスター(塔のボス)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

自分で作ったステータス画面のデザイン、だんだん気に入ってきました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ