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62/78

ep62 ベーコン

……一八〇〇(ヒトハチマルマル)。


私は、標高一,六〇〇メートルの大気に、サングラスを外して正対した。


「……風が、乾いている。……これだ。……これが、私が求めていた『宇宙の温度』だ」


眼下に広がる、夕焼けに溶ける諏訪湖のパノラマ。

都会の喧騒と湿度は、もはや光年単位の彼方に置き去りにしてきた。


私は、手早くキャンプギアという名の「野営拠設ユニット」を展開。

今夜の兵糧は、究極の二極化。

銀河の定番食材「もやし」と、現地調達した「高原の厚切りベーコン」という重装甲ユニット。

私は自慢のスキレットに、その分厚い肉塊とシャキシャキの補給物資を投下した。


ジューッ……!!

溢れ出すベーコンのエネルギーをもやしが吸い込み、黄金の輝きを放つ。

これを青と金の燃料(金麦)で流し込む。


「……うーまい! ……これだよ、これ。……複雑なフルコースなどいらん。……この一点突破の火力(旨味)こそが、宇宙船乗りのディナーだ」


夜が深まるにつれ、霧ヶ峰は「天然の冷蔵庫」へと変貌。

私はアルカディア号の居住区に移動し、自作のメッシュ装甲(網戸)をセット。

窓から入り込む、凛とした大気の流れが、火照ったままだった私の生体ユニットを優しく冷却していく。


「……九千八百円の燃料代は、たしかに痛い。……だが、この風一吹きで、お釣りが来るというものだ」


私は、車窓から見える星空を眺めながら、安らかなる深い眠り(コールドスリープ)へと落ちていった。

 ▼野営拠点・定着報告(Camp Establishment Report)

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 【現座標】     : 長野県・霧ヶ峰キャンプ場(標高 1,600m)

 【外気ステータス】 : 極めて快適(天然冷蔵庫モード)

 【夕食(兵糧)】  : 厚切りベーコン & もやし炒め

 ──────────────────────

 【観測データ】

 ・ベーコンの厚みは、そのまま「明日への活力」に直結。

 ・自作網戸の防御力(虫除け)は概ね良好。

 ・ハッカ油の記憶は、この涼しさにより完全に上書きされた。

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