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48/63

ep48 卯の花

……四月。


司令部(会社)が課す「社交という名の局地戦(歓送迎会)」の連続により、我が兵站は壊滅的打撃を受けた。

私は、最高級燃料(金麦)を断念。甲類焼酎という名の「安価な高濃度アルコール」を炭酸水で薄め、濃縮麦茶をキャップ一杯……日々の神経を麻痺させる戦術へ移行した。


「……今日の配給は、豆腐屋で確保した『おから』だ」


高タンパク、低脂質、そして何より「驚異的な安値」という名の低価格装甲。

私はこれを「卯の花」へとコンバートすべく、調理プロトコルを開始した。

炒り、煮る。……だが、私の戦術には致命的な欠落があった。


実食。

…………。


「……重い。……大豆の質量が、ダイレクトに口腔内を制圧してくる」


そこには、私が知っている「惣菜の卯の花」という名の軽やかさは微塵もなかった。

私は即座に、故郷の母上司令官へ電文(LINE)を送信。


返信は、一発の光子魚雷のように私のプライドを貫いた。


『あんたバカねぇ。……卯の花は、あらゆる具材の出汁を吸わせるための「器」なの。出汁も具もないおからは、ただの粗いきな粉よ』


……無念。


私は、卯の花が実は「贅沢な出汁の集合体」であることを、この年になって初めて知った。

艦長、一生の不覚。……しかし、私はまだ「300g」という名の、未処理の白き砂漠おからを抱えている。


「……落ち着け。……敗北を認めた瞬間、戦いは終わる」


私は、甲類焼酎を喉に流し込み、次なる「おから処理作戦」の立案を開始した。



 ▼今回の失敗報告(Failure Report)

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 【投入資産】    【コスト】 【備考】

 ・おから(500g)  :  50円  (圧倒的コストパフォーマンス)

 ・母への通信料   : プライスレス (説教付き)

 ──────────────────────

 【残存戦力】

 ・おから:約300g

 ・甲類焼酎:ボトル半分

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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