ep48 卯の花
……四月。
司令部(会社)が課す「社交という名の局地戦(歓送迎会)」の連続により、我が兵站は壊滅的打撃を受けた。
私は、最高級燃料(金麦)を断念。甲類焼酎という名の「安価な高濃度アルコール」を炭酸水で薄め、濃縮麦茶をキャップ一杯……日々の神経を麻痺させる戦術へ移行した。
「……今日の配給は、豆腐屋で確保した『おから』だ」
高タンパク、低脂質、そして何より「驚異的な安値」という名の低価格装甲。
私はこれを「卯の花」へとコンバートすべく、調理プロトコルを開始した。
炒り、煮る。……だが、私の戦術には致命的な欠落があった。
実食。
…………。
「……重い。……大豆の質量が、ダイレクトに口腔内を制圧してくる」
そこには、私が知っている「惣菜の卯の花」という名の軽やかさは微塵もなかった。
私は即座に、故郷の母上司令官へ電文(LINE)を送信。
返信は、一発の光子魚雷のように私のプライドを貫いた。
『あんたバカねぇ。……卯の花は、あらゆる具材の出汁を吸わせるための「器」なの。出汁も具もないおからは、ただの粗いきな粉よ』
……無念。
私は、卯の花が実は「贅沢な出汁の集合体」であることを、この年になって初めて知った。
艦長、一生の不覚。……しかし、私はまだ「300g」という名の、未処理の白き砂漠を抱えている。
「……落ち着け。……敗北を認めた瞬間、戦いは終わる」
私は、甲類焼酎を喉に流し込み、次なる「おから処理作戦」の立案を開始した。
▼今回の失敗報告(Failure Report)
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【投入資産】 【コスト】 【備考】
・おから(500g) : 50円 (圧倒的コストパフォーマンス)
・母への通信料 : プライスレス (説教付き)
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【残存戦力】
・おから:約300g
・甲類焼酎:ボトル半分
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