ep37:未完のサンドイッチ
……翌朝。
私は、事象の地平線から脱出しつつ、習慣的に枕元のソックスを確認した。
「……フッ。……サンタという名の補給部隊は、私の座標を見失ったか」
だが、直後に呼集ベル(チャイム)が鳴り響いた。
銀河の宅配業者が届けてくれたのは、私自身が発注した迎撃用装備――「エンタープライズ号」のジグソーパズル。
「……よし。これで大晦日の『孤独なる防衛戦』の準備は整った」
続いて、昼の兵站確保。
私は昨日製造した「紅茶鶏」を、精密なスライス(薄切り)に。
食パンに、辛子マヨネーズという名の「攻撃的な潤滑剤」を雑に塗布。
「……あ、……キュウリを切り忘れた」
私は、一本残っていたキュウリをまな板へ戻すことを拒否した。
「……不要だ。……サンドイッチを口に放り込み、同時にこのキュウリを直接咀嚼れば、口腔内で再構成される」
実食。
…………。
……美味い!
辛子の刺激、鶏の紅茶の香り、そして野性味溢れるキュウリの食感。
口腔内で完璧に同期したサンドイッチを燃料に、私はアルカディア号のエンジンをかけた。
「……これより、司令部(会社)へ。……休暇前の残敵掃討(仕事の片付け)を開始する」
晩飯の紅茶鶏の残りを冷凍ポッド(冷凍庫)へ格納することを決意し、私は戦場へと、力強く抜錨した。
▼今回の作戦費用報告(Mission Expense Report)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【受領資産】 【価値】 【備考】
・エンタープライス号パズル : 3,500円 (自分へのクリスマス賞与)
・紅茶鶏サンド : 0円 (昨日の戦果を再利用)
──────────────────────
【合計コスト】 : 3,500円 + 年末までの労働力
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【作戦評価】
「キュウリをそのまま齧る」という、時短かつワイルドな補給術を確立。
仕事納めに向けた精神状態は極めて良好。
次なる課題は、大晦日までにパズルの「外枠」という名の防衛線を構築すること。




