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能力者探し

 少年が友人らとファーストフード店に入ったのを見て私も入り、近くの席に座った。

 明るい場所で見ると、少女のように可愛らしい顔をした少年だった。私が尾行したことが分かったら誤解されるかもしれない。慎重に行動せねば。


「オープン」

 鑑定魔法を発動させ、少年の能力を再確認する。

 

 ──能力者、魔法量はかなり多い。召喚魔法が使える。成長スピードは早く伸び代は未知数。魔法にはロックが掛かっていて最近使用した形跡はない。


 ロックが掛かっている? 過去には魔法を使っていたようだ。

 長い間鑑定魔法が使えなかった私と同じ状態なのだろうか。

 

 召喚魔法といえばテイマーだ。魔物図鑑のドラゴン説明で「テイマーに召喚される種もある」という説明文を読んでどれほど心躍らせたか。「ドラゴンは美少年が好き」という記述もあった。

 幼少期「ルカは可愛い」と言われたため、自分もテイマーになれたらドラゴンを召喚したり乗ったりできるんじゃないかと期待した。

 テイマーはガランでは珍しい存在で、噂には聞いたが見た事はない。少年の能力の高さならドラゴンも呼び出せるようになるだろう。その姿を見てみたいと思った。しかしそれは望んではいけないのだ。


「ミクト」の他に「ケシンくん」とも呼ばれている。

 制服を調べると璞高校のものだった。


 璞高校、ケシンミクト。

 頭の中で何度も復唱し、店を出てから急いでメモをした。

 

 

 ミクト少年を見つけたことで、他にも高レベルの能力者がいるのではないかと思った私は、次の日から毎日徒歩で帰宅した。平日の業務時間以外は街中を歩き回り、休日は人出の多い場所に行っては手当たり次第、能力鑑定をした。

 しかし彼のような逸材には出会えなかった。

 探す範囲を広げてみようかとも考えたが、近辺に絞って見つからなければ諦め時だと自分に言い聞かせた。……諦めるとは、何を? 考えるのが怖い。

 

 ミクト少年を見てから20日ほど経った。

 歩き疲れたのもあり、自宅近くの図書館へ行くことにした。大学に隣接した大きな図書館だ。


 目的を忘れて新書コーナーを見ていた時、雲水兄さんのような銀髪の青年が視界に入ってきた。

 細身で長身という後ろ姿も、若い日の雲水兄さんと似ていると思った。


 鑑定魔法を発動させる。

 息を呑んだ。能力値が……とんでもなく高い!

 

 ──能力者、魔法量は計り知れない。あらゆる魔法がマスターできる。類まれな知性と導きを持つ。成長スピードは早く伸び代は未知数。魔法にはロックが掛かっていて最近使用した形跡はない。


 素晴らしいとしか言いようがない。興奮で手が汗ばんできた。

 このマルチな能力は戦闘でかなり役立つだろう。私の知識が足りず何者なのかが分からない。魔法使いの一種なのだろうか。

 

 彼もまた、過去に魔法を使っているが今はロックされているという。

 これは偶然なのか。


 探していた本が見つかった様子だ。この後図書館を出てしまうだろう。その前に彼を知るヒントが欲しい。

 手にした本に「四季報」という文字が見えた。就職先を探しているのか。

 迷うより先に体が動いた。


「あの、私は璞市役所人事部の阿羅漢としおと申します。璞大学の学生さんでしょうか……就職先にぜひ璞市役所も検討の内に入れてください」

 

 懐から名刺を出して渡した。

 いくらなんでも唐突すぎる。何が何だか自分でも分からなかった。引き止める方法としては相応しくなかったかもしれないが、市役所に優秀な能力者が来てくれるのはありがたいとも思った。

 

「お名刺ありがとうございます。私は璞大学に在籍している慈眼是親と申します」

 うやうやしく名刺を受け取り、名乗ってくれた。

 柔らかい物腰と品のある容貌、醸し出す雰囲気からも特別な人であると感じた。

 

 璞大学、ジガンユキチカ。

 また何度も復唱し、忘れないようメモをした。


 雲水兄さんに会いたい。

 自分の能力のことと、鑑定した2人の能力者のことを伝えたい。

 この胸の高鳴りと不安と焦燥の全部をぶちまけてしまいたい。

 

 その晩、何十年かぶりに兄さんに連絡を取り、数日後兄さんの待つオキザリス本部を訪ねることになった。


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