19 出張
あれから何事もなく1週間経ち、平和だな〜と思いながら仕事してるとメーカーの展示会出席の話が出てきた。
知っててスルーしてたんだけどなぁ。
宇都宮とか遠いし、試しにみんなに聴いてみようか。
・・・案の定誰も行かないし、私が行くしかないか。
4日後なんで急なんだが仕方ない。
「クリス、出張なんだけど行くか?」
「もちろん、川さんの行くとこに付いていきますよ?じゃないとサポート&監視出来ないじゃないですか」
当然のように返事をしてきた。
ごめん、言い方が悪かったみたいで言い直す。
「クリス、どの姿で付いてくる?」
「人間サイズで行きたいんですけど、いいですか?」
「そのサイズだと疲れないのかい?」
飛んで肩にでも乗っておけば楽だろうにと思って聴いたんだけどな。
「その姿じゃ普通に会話出来ないでしょ?それに疲れないし。
折角の旅行なんだから普通に楽しみたいです」
クリス、最初の頃はそんなんじゃなかったと思うが。
「今回は新幹線で行くから7時間程掛かるけど、それでもいいか?」
「もちろんですよ、楽しみです」
ああ、そうなんだ・・・今まで退屈な監視役だったんだろうな。
「それじゃ、4日後に一泊二日の予定でいくから。
それと、2日目はメーカー展示会なんで参加中は妖精バージョン不可視で頼むよ。
15:00まで拘束されるから今回は観光とか無理そうだけどさ」
「了解です、観光は別の機会にお願いします」
「解った、それでよろしく」
「それじゃ、いまから準備しときますね」
・・・何を準備するんだろ?データから具現化するのを選ぶんかな?
「何を準備するん?荷物とか無いだろ?」
「嫌だなー、気分的なものですよ・気分的な」
「あ~それからなるべくなら出張に行く上司と部下という設定で頼むよ、スーツっぽい格好でよろ」
「解りました、なるべくそのような格好にします」
出張当日、今日は現地に行くだけなんで午前中会社に行って昼前から移動。
新宮中央駅まで同僚に送ってもらい、今日はそのままJRのみの旅。
飛行機でも良かったんだけど帰りがね、東京から羽田空港まで夕方近くに移動はきついかなと。
新幹線だったら博多から乗り換え1回で目的地まで着くし、逆も同様だし楽なんだけど時間が掛かるのがネック、それは仕方ない。
始発だから自由席に二人で座ってそのまま6時間程の旅なんだけど、一人じゃないから今回は楽かな。
クリスも見事にスーツ系の格好でまとめてきた、サーチ力半端ないな流石だなと思ったよ。
これなら上司・部下で出張の旅に見えるはず。
駅内で駅弁買って乗り込んだんだけど、、、
「クリス、駅弁食うんだね、、、というか食えるんだな」
今まで食ってたの見たこと無いからちょっと意外だった。
「食べても食べなくてもいいんですが、せっかくなんで食べようかと思って」
「そうなんですか・・・普段も普通に食えばいいのに。別にそのくらいの経済力あるんだけど」
「前向きに検討いたします」
なんかよく判らんな、まあいいか。
そこから5時間程二人でしゃべりまくったり、途中寝てたりしてたけど何事もなく無事に
東京へ着いた。
これで終わりではなく、東北新幹線に乗り換え1時間程の旅へ
ちょうど帰宅ラッシュのようで人が多い。
福岡と比べると倍以上の感覚に感じる、実際それ以上かもしれないけど。
新幹線も意外と混んでてやっぱり多いんだなぁと思っていると変なのが現れた。
ちょっと、というよりもかなりチャラそうな奴らがクリスに話しかけてきた。
「ねえねえ、どこから来たの?今日暇?」
クリスはガン無視している
「無視すんなよ、俺とちょっと付き合ってよ」
なんかしつこいな、このチャラ男。
と思いながらボ~っと見ているとなんかこっちに突っかかってきた。
「何見てんだよ、オッサン」
「何見てんだといわれても彼女は私の部下なんだが?何か用なんかい?」
ちょっと強めに言ったんだけど、くだらないプライドがあるのか更に突っかかってきた。
屑にも後に引けないと思うことがあるのだろう。
ちょっと半笑いで
「相手にされてないんだから他の軽そうな娘に声掛けたら?」
と言ってしまった所、チャラ男君がちょっとイラついたのか声を荒げて更に突っかかってきたところにクリスが
「カスはカスらしくゴミ箱に収まってなさいよ」
廻りの乗客ちょっと笑ってた。
さすがに分が悪いのか睨みつけるように悔しそうに去っていった。
もう会うこと無いと思うけど、ああいうのはしつこいからなぁ。
ちょうど宇都宮に到着するころだったんで降りる準備をしますか。
やっと着いたよ、夕方18:00過ぎになっていた。