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オレは茶豆になりたかった
オレは茶豆になりたかった。
つまり、なれなかったということだ。
異世界転生するとチートスキルが得られるはずなのに、俺が得たスキルは【豆鑑定】。
豆に関するあらゆるものを見ることができる。
ただし、使えるのは豆に対してだけだ。
何の役にも立たなかった。
この時代では豆の栽培はほとんどされていない。
鑑定するものがない。
だから仲間たちと美味しい枝豆を栽培している。
ここは【豆鑑定】を活かした最高の枝豆畑だ。
【鑑定】
香り【A】
歯ざわり【A】
甘み【A】
硬度【A】
成長速度【A】
今ある全ての枝豆は【A】だった。
「シュウー!」
畑の向こうから声が飛んでくる。
振り返るとユイが手を振っていた。
「また枝豆見てるの?」
「見てる」
「飽きないね」
「飽きない」
ユイは呆れたように笑った。
「シュウって本当に変だよね」
「茶豆になるためだ」
「まだ言ってるの?」
「当然だ」
「私はよく分かんないなあ」
茶豆のくせに。
そう言いかけてやめた。
ユイ自身、茶豆が何なのか知らないからだ。
視界に反応が走った。
【鑑定】
ユイ・チャマメ
本質:茶豆
初めて見た時は驚いた。
世界に茶豆は存在したのだ。
なのに本人は何も知らない。
「ん?」
ユイが首を傾げる。
その瞬間だった。
視界の端に、今まで見たことのない反応が現れる。
【鑑定】
???
何かがいる。
豆だ。
いや――ただの豆じゃない。




