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森口家の六つ子は、神様の後始末係です —龍神さまからのご指名—  作者: 織村蜜柑


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第三話「帰ってきた人」

【前書き】

前回は、拝殿の奥に現れた黒い歪みを六つ子が一時的に祓いました。

しかし、それは下流に溜まったものにすぎず、原因は北へ続く古い水筋の先にあるようです。


そこへ、三樹の依頼人から一本の電話が入ります。

「帰ってきた人」に違和感がある――。

六つ子は、その依頼人のもとへ向かいます。

黒いランドクルーザーが、森口神社の石段下を出た。

空はまだ明るい。

けれど、車内は妙に静かだった。

普段なら、五樹が何かしら喋っている。

三樹が「腹減った」と言う。

四葉が冷たく突っ込む。

六樹が淡々と刺す。

二葉がそれを宥めて、一樹が最後に締める。

それが、いつもの森口家だ。

だが今は、誰もすぐには口を開かなかった。

原因は分かっている。

——帰ってきた人が、知らない顔をしてる。


五樹が拾った投稿。

三樹の依頼主からの電話。

受話器越しに聞こえた、水音。

そして三樹の言葉。

それ、もう人じゃない可能性がある。

言った本人である三樹は、助手席で黙っていた。

運転席の一樹が、前を見たまま言う。

「三樹」

「分かってる」

「まだ何も言ってない」

「触るな、近づくな、勝手に突っ込むな」

「分かってるならいい」

後部座席から五樹が身を乗り出す。

「三樹の“分かってる”は、信用残高が足りないけどね」

「殴るぞ」

「はい出た。語彙が物理」

「五樹」

二葉が呼ぶ。

五樹は即座に姿勢を戻した。

「はい」

三樹がぼそりと言う。

「二葉には素直」

「三樹もでしょ」

「俺は違う」

「さっき手、見せたじゃん」

「……」

「ほら」

三樹は黙った。

二葉はその手に視線を落とす。

先ほど黒の核を掴んだ手。処置はまだできていない。手のひらには、薄い黒い跡が残っていた。

「痛む?」

「痛くない」

「熱は?」

「ない」

「嘘ついてない?」

「ついてない」

五樹が横から言う。

「三樹、二葉に嘘つくと俺が怒るよ」

「お前に怒られる筋合いはない」

「二葉案件ならある」

四葉が冷たく言った。

「ない」

六樹がiPadから目を離さずに続ける。

「法的にも家族内の感情論としても、五樹の主張は弱い」

「六樹、味方して?」

「事実を言った」

「六樹が冷たい」

「五樹が熱すぎる」

「言い方」

いつものやりとり。

けれど、どこかで全員が分かっている。

軽口は、空気を沈ませないためのものだ。

怖くないわけではない。

今から向かう場所には、人の姿をした何かがいるかもしれない。


一樹が短く聞いた。

「六樹、場所は」

六樹はiPadを操作する。

「依頼主の家は、下宿と中宿の境。旧道から一本入った住宅街。現在地から車で五分」

五樹がスマホを見ながら言う。

「地元投稿、増えてる。“濡れた足跡が玄関前で止まってる”“水音が壁の中からする”“帰ってきた人が喋らない”」

二葉が顔を上げる。

「喋らない?」

「うん。見つかった人、声を出さないらしい」

三樹の眉が動く。

「依頼主は、家の外に出たのか」

五樹が通話履歴を見ながら言う。

「三樹が言ったあと、メッセージが一件来てる。“外に出ました。本人は玄関に立ったままです”」

四葉が静かに言った。

「玄関に立ったまま」

六樹が頷く。

「境界にいる」

一樹がハンドルを切る。

「中に入る前に、全員で確認する。三樹、単独接触は禁止」

「分かってる」

「二回目」

五樹が言った。

「しつこい」

「心配してるんだよ」

「俺を?」

「二葉が悲しむから」

「結局そこか」

二葉が小さくため息をついた。

「五樹、今は集中」

「してるよ」

「してる顔じゃない」

「二葉には厳しくされたいわけじゃないんだけどなあ」

「じゃあちゃんとして」

「はい」

四葉が窓の外を見た。


住宅街が近づいている。

道幅は狭く、古い家と新しい家が混じっている。

低いブロック塀。古い水路跡のような細い溝。

今はほとんど使われていない側溝。

水はない。

なのに、窓の外から、微かに音がした。


ぴちゃ。


四葉が眉を寄せる。

「聞こえた?」

二葉が頷く。

「うん」

三樹が前を見る。

「近いな」

六樹が地図を見たまま言う。

「現在地、古い水筋の上。記録では、昭和初期に埋められた流路」

五樹がスマホを伏せる。

「埋めたのに、まだ流れてるってこと?」

「流れてるというより、覚えてる」

六樹は淡々と言った。

「土地が、水の通り道を忘れてない」

車内が、一瞬静かになった。

二葉がぽつりと言う。

「人も、連れてくるのかな」

誰もすぐには答えなかった。


ランドクルーザーは、古い一軒家の前で止まった。

門灯がついている。

午後の光の中では、まだ必要ないはずの灯りだ。

それなのに、玄関先だけが暗い。

まるで家の入口にだけ、夜が先に来ているようだった。

門の外に、若い女性が立っていた。

顔色が悪い。

手にはスマホ。

肩が震えている。

三樹が車を降りる。

「森口です」

女性が顔を上げた。

「あ……電話の」

「はい。依頼を受けた森口です」

三樹の声は低いが、落ち着いていた。

「言った通り、触ってませんか」

「はい。近づかないようにして……でも、あの、夫なんです」

言葉の最後が震えた。

三樹は一瞬だけ目を伏せる。

「確認します」

一樹が横に立つ。

「森口神社の一樹です。ここからは私たち全員で見ます。危険だと判断したら、すぐ離れてください」

女性は頷いた。

「夫は、朝からいなくて……昼過ぎに警察にも相談しようとして。でも、夕方になって急に帰ってきて……」

二葉が優しく聞く。

「玄関に?」

「はい。玄関に立っていました。ずぶ濡れで。でも、雨なんて降ってないし、近くに川もないのに」


五樹はさりげなく周囲を見る。

家の前の道路。

隣家の窓。

側溝。

濡れた場所。

「足跡、あるね」

六樹がしゃがむ。

門の内側から玄関まで、濡れた足跡が続いている。

ただし、おかしい。

足跡は、門の外から来ていない。

玄関の前から、急に始まっている。

四葉が低く言う。

「外から歩いて帰ってきたんじゃない」

三樹が頷く。

「玄関前に出た」

女性の顔が青ざめる。

「出た、って……どこから」

二葉は玄関を見ていた。

「水の音がします」

女性は小さく息を呑む。

「やっぱり、聞こえるんですか」

二葉が頷く。

「はい」

三樹が玄関に視線を向けた。

玄関の扉は開いている。

その内側。

一人の男が立っていた。

背広姿。

髪は濡れ、前髪が額に張りついている。

服から水が滴っているはずなのに、玄関の床にはほとんど水たまりがない。

男は、ただ立っていた。

靴を履いたまま。

家に入るでもなく、外に出るでもなく。

玄関の境目に。

顔は俯いている。


挿絵(By みてみん)


三樹が一歩進もうとする。

一樹が短く言った。

「三樹」

三樹は止まった。

「分かってる」

「三回目」

五樹が小さく言う。

三樹は睨まなかった。

それだけ、この場が普通ではない。

四葉が女性に聞く。

「声はかけましたか」

「はい。でも、返事がなくて。肩に触ろうとしたら……」

「したら?」

女性は震えた声で言う。

「水の音が、大きくなったんです」


ぴちゃ。


玄関の中から、音がした。

男は動いていない。

なのに、音だけがした。

五樹の表情から、軽さが消える。

「うん。これは嫌なやつ」

六樹が男を見ている。

ただ見ているのではない。

服の濡れ方。

滴るはずの水の有無。

立っている位置。

呼吸。

肩の揺れ。

影の落ち方。

「呼吸してない」

二葉が小さく言った。

女性が口元を押さえる。

「そんな……」

一樹が穏やかに、しかしはっきりと言った。

「まだ断定はしません。ですが、今見えているものを、そのままご主人だとは考えないでください」

三樹が女性を見る。

「名前を呼んでも返事は?」

「ありません」

「いつもと違うことは」

「……顔が」

三樹の目が細くなる。

「顔?」

女性は涙を堪えるように、唇を噛んだ。

「夫の顔なのに、違うんです。表情がないとか、そういうことじゃなくて……」

玄関の男が、ゆっくり顔を上げた。

全員が黙る。

顔は、確かに男のものだった。

写真で見れば、本人だと分かるだろう。

目も、鼻も、口も、輪郭も、依頼主が夫だと言う人物に違いない。

けれど。

そこに、人がいない。

目がこちらを見ている。

でも、見ていない。

まばたきもない。

息もない。

肌の色も、どこか水に浸かった紙のように白い。


五樹が低く言った。

「……これ、奥さんが怖がるの分かるわ」

六樹が静かに言う。

「形は本人。中身は違う」

四葉が続ける。

「戻ってきたんじゃない。戻された」

二葉が唇を結ぶ。

「声がない」

三樹が一歩前に出る。

今度は、一樹も止めなかった。

ただし、距離は保つ。

三樹は玄関の手前で止まり、男に向かって声をかけた。

「聞こえるか」

男は返事をしない。

「名前、言えるか」

返事はない。

三樹は依頼主に聞いた。

「名前は」

「……佐伯、悠人(ゆうと)です」

三樹は男を見る。

「佐伯悠人さん」

男の肩が、わずかに揺れた。

依頼主が息を呑む。

「悠人……?」

男の口が開いた。

だが、声は出ない。

代わりに。


ざあ。


水音がした。

玄関の奥からではない。

男の喉の奥から。

二葉が一歩下がる。

五樹がすぐに横へ寄る。

「二葉」

「大丈夫」

「今の大丈夫は信用しない」

二葉は小さく頷いた。

「……怖い」

五樹の顔が、一瞬だけ変わる。

二葉が自分から怖いと言った。

それだけで、五樹の声が低くなる。

「じゃあ、俺が横にいる」

「うん」

三樹は男から目を離さない。

「一樹」

「ああ」


一樹が前に出た。

「佐伯悠人さん。聞こえているなら、一歩、外へ」

男は動かない。

「聞こえていないなら、そのままでいい」

男は動かない。

六樹が低く言った。

「反応してない。音にだけ反応してる」

四葉が玄関の床を見る。

「境目から動けないんじゃない?」

「家の中に入るでも、外に出るでもなく、玄関で止まってる」

六樹が続ける。

「流れがここで切れてる」

五樹がスマホで地図を確認する。

「この家、古い水筋の上。玄関の下、ちょうど線が通ってる」

四葉が目を細めた。

「入口と水筋が重なってる。最悪」

三樹が聞く。

「つまり?」

六樹が男を見たまま答える。

「この人は、帰ってきたんじゃない」


一拍。


「水筋に運ばれて、家の入口で詰まってる」

依頼主が震えた声を出した。

「じゃあ、夫は……夫は中にいるんですか? それとも、これは……」

誰もすぐには答えられなかった。

二葉が静かに言う。

「声が、奥にあります」

三樹が振り返る。

「奥?」

「この人の中じゃない。もっと向こう」

玄関の男の口が、また開いた。


ざあ。

水音。


その奥に、かすかに声が混じった。

——たす、け……

依頼主が泣きそうな声を上げる。

「悠人!」

三樹が手で制した。

「近づかないで」

男の口が、さらに開く。

人の口としては、不自然なほど大きく。

中は暗い。

口の奥に、水面のような光が見えた。

四葉が鋭く言う。

「三樹、下がって」

三樹は下がらない。

「まだ声がある」

「分かってる。でも、近い」

一樹が言った。

「三樹、半歩下がれ」

三樹は半歩だけ下がる。

五樹が小さく呟く。

「半歩で済ませるのが三樹だよね」

六樹は男の口の奥を見ていた。

「口じゃない」

「じゃあ何」

「入口」

四葉が続ける。

「向こう側に繋がってる」

二葉の顔色が悪い。

「声が引っ張られてる」

一樹が即座に判断した。

「ここで引き抜く」

四葉が振り返る。

「危険」

「放置すれば、依頼主が触る」

三樹が低く言った。

「それはまずい」

五樹が依頼主の横に移動する。

「奥さん、こっち。絶対に玄関へ行かないで」

「でも、夫が」

「分かってます。でも今行ったら、たぶん二人とも戻れない」

五樹の声は軽くなかった。

依頼主は泣きながら頷いた。


一樹が手を上げる。

天照御垣(あまてらすのみかき)

玄関の内側と外側に、光の線が走った。

男の立つ境目を囲うように、結界が組まれる。

男の口から、水音が大きくなる。

ざああ、と。

二葉が前に出る。

咲耶浄花(さくやのきよはな)

淡い光が、玄関に広がる。

男の輪郭が揺れた。

濡れた背広の肩から、黒い水のようなものが滲む。

依頼主が悲鳴を上げかける。

五樹がそっと遮る。

「見なくていいです」

「でも」

「今は見ない方がいい」

三樹が男の正面に立つ。

「声は?」

二葉が目を閉じる。

「まだ奥」

六樹が言う。

「水音が一定じゃない。奥に引く力が強くなってる」

四葉が短く言った。

「抜くなら今」

一樹が結界を締める。

「三樹」

「分かってる」

今度は誰も数えなかった。

三樹は手を伸ばす。

男の口ではない。

胸元。

黒い水が最も濃く滲む場所。

そこへ、指を差し入れる。

焼けるような冷たさが走った。

「っ……!」

二葉が声を上げる。

「三樹!」

「平気」

「平気じゃない」

五樹が言う。

「三樹、二葉に心配かけるなって!」

「今それ言うな!」

三樹は歯を食いしばる。

掴む。

そこにあるものは、肉でも骨でもない。

濡れた糸の束のような、流れ損ねた何か。

その奥に、細い声が絡まっている。

——たすけて。

三樹の目が変わった。

「いる」

一樹が低く言う。

「引け」

「引く」

三樹は腕に力を込めた。

男の身体が震える。

口から水音が溢れる。

ざああああ、と。

玄関の灯りが点滅した。

二葉の光が強くなる。

「咲耶浄花——!」

黒い水が剥がれる。

男の口の奥に見えていた水面が、ぐにゃりと歪んだ。

四葉が叫ぶ。

「三樹、左!」

伸びてきた黒い腕を、三樹が紙一重で避ける。

五樹がすかさず言う。

「右も来る!」

一樹の結界が右側を塞ぐ。

六樹が淡々と告げる。

「奥の引きが弱まった。今なら声ごと抜ける」

三樹が吠える。

「来い!」

腕を引き抜く。

ずるり、と。

黒い水と一緒に、白い息のようなものが男の胸元から抜けた。

それは一瞬、人の形を取った。

男の顔。

苦しそうに歪んだ表情。

声にならない声。

依頼主が叫ぶ。

「悠人!」

二葉が光を広げる。

「戻って!」

白い息のようなものが、男の身体へ吸い込まれる。

同時に、黒い水が結界の中で弾けた。

玄関の空気が揺れる。

一瞬、全員の耳から音が消えた。


そして。

男が倒れた。

三樹が即座に支える。

「重っ」

「人の重さだ」

六樹が言った。

「呼吸」

二葉が駆け寄る。

今度は一樹が止めない。

二葉は男の首元に手を当て、息を確認する。

「ある」

依頼主がその場に崩れ落ちた。

「よかった……」

五樹が支える。

「まだ安心しきらないでください。でも、今は戻ってます」

三樹は男を玄関の外へ運び出した。

四葉が玄関の床を見る。

黒い水の跡が、まだ残っている。

それは、床板の隙間へゆっくり沈んでいった。

六樹が記録する。

「帰還者から黒を分離。本人の声は奥に保持されていた。玄関で詰まり、身体だけが先に戻された可能性」

四葉が低く言う。

「身体だけ戻る。声は奥に残る。最悪ね」

一樹が玄関の奥を見る。

「原因を止めないと、また起きる」

二葉が頷く。

「この人だけじゃないと思う」

五樹がスマホを見る。

「投稿、増えてる。濡れた足跡、帰ってきた人、水音。場所が北に伸びてる」

六樹が地図を表示する。

「下宿、中宿、上宿のラインに沿って反応が出てる。北側だけじゃない」

四葉が地図を覗き込む。

「この流れ方なら、まず菖蒲沢に当たる」

三樹が顔を上げる。

「菖蒲沢」

一樹が頷いた。

「まずそこを確認する」

六樹が続ける。

「その南に団子石がある」

二葉の表情が変わる。

「団子石……」


五樹が見る。

「二葉、知ってる?」

「昔、祖父に聞いたことがある」

一樹が静かに言った。

「富士山と八ヶ岳の背比べに繋がる場所だ」

空気が、変わった。

それは、ただの人探しではなかった。

ただの水音でもなかった。

ただの黒でもなかった。

砕かれた山。

乱れた水筋。

土地に残った流れ。

森口家がずっと後始末してきたもの。


三樹が立ち上がる。

「行くぞ」

四葉が即座に言う。

「その前に手の処置」

「後でいい」

「今」

二葉も言う。

「今」

三樹は黙った。

五樹がにやりと笑う。

「三樹、二葉の“今”には勝てないね」

「うるさい」

六樹がApple Watchを見る。

SNOOPYが小さく動いていた。

「処置に三分。移動に十分。菖蒲沢到着まで十三分」

五樹が肩をすくめる。

「SNOOPYが時間管理してるみたいで平和だね」

六樹は真顔で言った。

「SNOOPYは関係ない」

「でも見たでしょ」

「見た」

「認めるんだ」

一樹が短く言う。

「三分で出る」

二葉が三樹の手を取る。

黒い跡は、さっきより濃くなっていた。

二葉は何も言わず、浄化の光を指先に灯す。

三樹はその手を見て、少しだけ目をそらした。

「……悪い」

二葉は優しく言った。

「謝るなら、次はもう少し早く手を見せて」

「分かった」

五樹がすかさず言う。

「三樹の“分かった”は今日何回目?」

六樹が淡々と答えた。

「四回目」

「数えてた」

「記録した」

四葉がため息をつく。

「ほんと、森口家って緊張感が続かない」

一樹は玄関の奥を見たまま言った。

「続かない方がいい時もある」

その声に、全員が一瞬だけ黙った。

玄関の奥で、まだ微かに水音がしていた。


ぴちゃ。

ぴちゃ。


北へ。

もっと北へ。

流れは、まだ止まっていない。

【後書き】

三樹の依頼人のもとを訪れたことで、“帰ってきた人”の違和感がはっきりしてきました。


失踪、帰還、知らない顔、水音。

黒い流れは、土地だけでなく、人の暮らしの中にも入り込んでいます。


森口家の後始末は、古い水筋をたどりながら、さらに土地の奥へ進んでいきます。

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