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くいかえし  作者: Kot
アルメリアな感情
14/89

14.楽しいだろう?

明日も投稿します。19時半頃予定です。



ゴーデンの街を出て、リベルテは王都郊外の宿屋にいた。


「一部屋借りたいんだけど」


 カウンターにいる受付の店員は、まだ若い青年が子連れと言うのも違和感を覚えたが、それよりも、その子どもの拒否の仕方に驚いた。両足を突っ張り男を拒否し、蹴りを繰り出す。

のけぞるほどの体勢に店員は心配になり、声をかけた。


「あの大丈夫ですか?」


「大丈夫、反抗期なだけだから」

 男は笑みを作りそう答え、受付から鍵を受け取り部屋に向う。

 

「ちょっと、暴れないで!」

階段を上る最中に聞こえる声に耳をそばだ出せ、受付の女性はこう言った。

「親子揃って、イケメンね」


 

当然その声は暴れる彼を制すのに手一杯なリベルテに聞こえはずもなく、慌ただしく部屋に入った。


 目覚めてすぐに暴れ出した彼は、幾度となくリベルテのて手から逃れようと蹴りを繰り出す。

その両腕には、金色の魔術語が刻まれており、彼に魔術をつかはせない様リベルテがほどこした物だ。

 

「やっぱり、君、戻ろうと思えば元の姿に戻れるね」

 今だ暴れる彼の顔を、両手で挟み込み、魔力を視る。

リベルテの想定では、一晩経てば元の姿に戻るだろうと過程していた。

だが今もなを姿が戻る事がない、しかも元々大量の魔力があるのに、一度魔力を使っただけで、眠ってしまったのは、恐らく、彼自身が、“魔女の弟子”の魔術が解けない様に、固辞する方向に魔力を使っていたからだろう。

「理解できない、全て終わったら、君は自由になれる、追われることもなくなるのに、無駄な事をせず僕に協力してよ」


 彼から手を離すと、すかさずリベルテから逃げる。彼は、辺りをキョロキョロと見渡したり、腕についている魔術語を引っ掻くなどするが、効果がなく、やがて、床に座り込んだ。ボーッと元いた街の方角を見つめる姿に、リベルテはさらに理解に苦しんだ。


エグレゴアの本部は王都の中央、貴族のタウンハウスが並ぶ中にある。

その始まりは一人の貴族が魔術や魔力の扱い方を市井の物たちに伝授するため、自身の邸を学び屋として開いた。当然、貴族からは反感を買ったが、次々と新たな魔術を開発し魔術道具の製作にも貢献したため、国王から表彰された。

そこから次代の当主から次の当主えといくにつれて、学び屋ではなく、研究組織へと変わっていった。

同時に当主権限で動いていた組織は、最も優れた魔術師を総帥とし、今では、国で一二を争うほどの組織になった。リベルテの父親もそうで、現代ではも彼一人しか扱うことの出来ない魔術がある。


 ルガール魔術そう命名していた。元々は誰も解読できなかった古代の魔術書に記載されてあった魔術を読み解きさらに応用し、リベルテの父親が開発した。全部で七つあるそれは、どんなに経験を積んだ優れた魔術師でも、会得す事ができなかった。


 しかし彼の息子であるリベルテは知っている、七つある内、四つは未だ開発途中の段階にある事を


 白髪の男から身を守る際に使った、防御壁、今まさに彼の魔術を封じるのに使った。魔力抑制陣、これらもリベール魔術であり、そのどれもが黄金に輝きを放つのが特徴的だ。


「はー、隠しやすいと言えばそうだけど、やっぱり戦力にならないと困るな」

リベルテは片手で頭を押さえ項垂れる。


目的は、総帥の失脚とエグレゴアの解体、そのためにまず彼らの過ちを公にしなければならないが、貴族者が多く在籍しており、その上、国からの信頼も厚い組織だ。自分一人が騒いだところで、揉み消し、更に下手に動いて見つかれば、もう身動きが取れなくなる。


次はないのだ、リベルテがとる行動は一つ、元凶である、グエン総帥や臣下を殺害し、王国騎士団に自分の罪と同時に組織の暴挙を叫べば、必ず内部の捜索は徹底的に行はれるはずだ。


父親たちが繋いできた組織を終わらせるのは、心苦しいが、そうしなければもっと被害者が出てしまう。

「父さん大丈夫だよ、僕が終わられるから」

弱々しい声でリベルテは言った。

 


彼の正面に歩みより目を合わせためしゃがむ。

「エグレゴアから逃げているんだ、父親に情があるとは思えないけど、殺しは僕がやるから、君は手助けをして欲しい、ある程度制圧出来たら、君は自由だ」


目の前を塞がれたからか、彼はリベルテを見た。目があったのはこれが初めてかもしれない。

赤い瞳は古来の魔力が多い物の特徴、その瞳が何より可能性を秘めていた。


「お願いだ、これは君のためにもなる、彼女の元に安全に戻りたいだろう?」

「……」

無言の返答、はなから答えは期待していない。是が非でも彼には付き合ってもらわなければならない。


二人は突然、上を向く

 

「やっぱり王都に入ったら早いな」


 建物の真上から感じる魔力はリベルテに覚えのある物だった。


視線を出入り口の方向に向ける。扉が開く音はしなかったが、その男は白いフードを深く被り、顔が見えない。

「あんたが来たか、」


 リベルテは魔術を放つ、蜃気楼の弾丸は男の防御壁に阻まれたが、すかさず拘束魔術を発動する、こちらに来れないよう、床や壁に現れた魔術陣から現れた鎖がリベルテ達と男を遮る。


リベルテは彼の腕を掴み立ち上がらせる。転移魔術を使おうとしたが、遮られたのがわかる、部屋全体的に結界がしかれ、外と遮断された。


下から刃が出る、思わず彼の手を離してしまい、もう一人現れた刺客に魔術を撃とうとするが、

動きを阻害されていた男が鎖の壁を破り、リベルテに刃を向ける。黒い刀身の剣はびっしりと魔術語が書かれており、幾つかの文字が光を放つ、リベルテは防御壁でそれを防ぐが、相手の力が強く動きを封じられてしまった。


もう一人の刺客が彼の腕を掴む、無抵抗の彼は、敵と共に転移させられてしまった。

「ックソ!」


リベルテは渾身の蹴りを男の腹に打ち込む、魔術以外の攻撃をしてくるとわ思わなかったのだろう、男は微かによろめいたがその硬さにリベルテもよろめく、その隙を男が、見逃さず剣を下から上に斬り込んだ。すんででかわしたリベルテ、微かに切れた頬から血が滲む。

 

男の剣の魔術語が更に光、リベルテの血から魔力を得て、刀身から炎が上がる。

 リベルテは突風を男に向けて放つ、炎の向きが男に向かうが、意に返さず男はリベルテに向かう、フードが脱げ露わになったその顔は切り傷の跡が多く、不適な笑みは、いつ見ても不気味だと感じた。


「アヒヒヒヒィッ!お前!面白いことし始めたなぁ!つまらない奴だと思ってたのによぉ!」

 ギン!と音を立てて攻撃が繰り出され、リベルテの出した防御壁を粉砕する、飛びのき回避するが魔術を放つ隙なく攻撃が来る、


仕方なくリベルテは黄金の防御壁を張る、当然男の攻撃を防ぎ男は更に笑みを深めた。


「これか、ゴアにいた時はお目に掛かれなかったが!」

ギンッギンッ!と何度も剣で斬りつける、更に魔術を込めた剣撃を喰らわせるが、防御壁は破壊されることわない。 

「ヒヒッいいね、面白い、面白いぞ!!」


男は更に大きく振りかぶる、隙を見逃さずリベルテは防御壁を解くと同時に体をわずかに横にそらせ、蜃気楼の弾丸を男に向かいはなつ、勢いを付けた刃は弾丸には対応できず、男の体に直撃する。


男は吹き飛び壁に衝突するが、弾丸は体を突き抜けることはなかった。

「はー、面倒くさいなほんと」

「ヒヒッ、でも楽しいだろう?なぁ!!」


男が距離を詰めてくる、リベルテは魔術を発動する、文字通り風を斬り、弾丸をいなし、再びリベルテにその刃をとどかんとする、リベルテも防御壁を出すが、男の剣は防御壁には届かず、天井から伸びた拘束魔術に縛られ、勢いを殺される、リベルテは隙だらけの男の腹に両手を翳し間近で魔術を発動する。


 真上に強く吹き飛んだ男、魔術を食らった腹の部分が破け、その地肌には魔術語が刃物で切り書かれていた。

「本当に気持ち悪いな!」


 リベルテは何発も魔術を打ち込む、やがて、部屋を覆う結界魔術がとぎれリベルテは魔術を使うのをやめた、天井にめり込んでいた体は床に叩きつけられる、男はピクリともせず、白目を剥き口から血を流していた。

「ふー、やっとか」


 リベルテは懐から金貨を出して。部屋の床に置く、家具はメチャクチャになってしまったことに申し訳無く思い、男と共に転移した。

 

 

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