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プロローグ
花見の季節がやってきて、桜広場は今年も花見客で賑わっている。
私は場所取りをしている場所を探して、辺りをきょろきょろと見回していた。
「おーい夢ー、こっちー」
声のした方を振り返ると、ユウナが手を振っていた。私は天文サークルメンバーのいる場所まで駆けていく。
「やっと来たかー、この寝ぼすけさんめ」
ユウナが悪戯っぽく笑うので、私も「ごめんごめん」と謝りながら笑う。
私は靴を脱いでブルーシートの上に座り、桜を見上げる。
「はい、夢」
「あ、ありがとう」
ユウナが紙コップにお酒を注いでくれたので、それを受け取る。
友達がいて、皆がいて、悲しいことも忘れて騒いで、笑う。
きっとアムの記憶に残っていた光景も、こんな風だったのだろうと、今ではそう思う。
これは、私が中学2年生のときに体験した、たった3日間の物語。
一生忘れることのない、雪城 亜夢という少女と過ごした、3日間の物語。




