五十五話 「お泊まり会」
あれから、数ヶ月後。
事後二週間の時点で、野美子は陰性だとわかっていた。
優子は、大量に入れていたバイトを辞め、以前と変わらない生活を送っていた。
お金が節約ハッピー、と言う理由で同居はし続けている。
部屋は小さく、そのため距離も近いが、あれから特に何かが起こるような事はなかった。
安音や大家は、優子と野美子を察して、いい感じの配慮をしている。
無意味だが。
穂は、実家に帰っていった。
優子は今までの思い出を振り返りながら、今までと同じ生活をしていた。
「へいへいへい〜!!優子さん!!」
「んー?」
「私の青春は知らぬ間に消え去りましたが、私とも出かけてくださいよ?」
「青春?あ〜。野美子とは交際関係じゃないよ」
「え?」
「お金がないから、家賃二分の一作戦してるだけ」
「......私も混ぜてくれませんか」
「え、狭すぎる」
「小さいから!お金ないから!助げで優子ざん!!」
夜。
「わーい!」
「夜だから、静かにね稚陽ちゃん」
「......」
野美子の誘いで、稚陽は一晩泊まることになった。
「優子」
野美子は、優子を手招きした。
「布団、重なっちゃうんだけど」
「そりゃそうなるよ」
「ふ!!!」
洗面所の方から、歯磨き中の稚陽の大声がした。
「どうしたの?」
野美子が確認しに行く。
「じー、えむ......!!」
「G、M?」
「ゴ――」
「それ以上はいい」
優子は、稚陽の口を押さえて布団に運んだ。
「いやん。私のこと今から食べるの?」
「明日焼肉にすっぞ」
きゃっきゃっ。
今までの部屋にはない、賑やかな空気が、その日はあった。
全員が寝支度を終えて、布団に入ろうとする。
「じゃあ寝ますか」
「ちょっと狭いけどごめんね」
「いえいえ、大丈夫です。優子さん、そこに寝てください」
稚陽の指示で、優子は布団に寝転んだ。
「そして、私が優子さんの上に!」
稚陽は、人間掛け布団として、優子の上に覆い被さった。
しかし、小さいため、それはまるで、回転寿司の具の小さいインチキお寿司のようだ。




