ひとときの休憩
『条件を達成しました。森林階層98階のMAPをアクティベートします』
機械的な音声が確かに次の階層への階段を見つけたことを教える。さて、進むべきがどうするか。俺は端末の時間と腹の空き具合に、何も食べていなかったことを思い出す。
「いつのまにか夕方か。昼も食べずにここまできちゃったんだな」
「言われてみれば。ここまで強行軍だったからなー」
「甘い匂いも消えたっぽいよ? 制限いっぱいまで刈ったからじゃないかな」
「よし! 飯にしよう!」
「だな。あと、粉はやっぱり多用はよくなさそうだ。なんかいつもより疲れてるって絶対」
全員が総意で休憩を選択。毛布をシート代わりにに敷くと、それぞれが出した水と保存食を食べることにした。
「そういえばさ、メグミとヒロトの保存食ってなんなん?」
「あー、出してなかったな。なんだろ。出してみるから待ってて」
レンがふと思い出したように疑問を振ってきたので、DPストアから選択する。
「私は板チョコ3枚みたい。保存食なのかな? 甘いもの好きだからいいけど」
「腹が膨れるかっていうと微妙だよな。 さて、俺は何がでるかな? 何が出るかな?」
「古いぜヒロト……」
「意外と小さいのが出たな。どれどれ」
目の前にちょこんと出たパッケージには、栄養抜群羊羹と書かれている。カロリーは高いが腹は相変わらず膨れなさそうだ。
「甘いもんばっかだなー。肉くいてぇよ肉ー」
「筋肉が……萎んでしまう」
「えー、私は別にこれでもいいけどなー」
「メグミは結構偏食だよなー」
「甘いものが好きなだけですー」
レンとサトシが嘆くが、俺もまぁまぁ甘いものは食えるので今のところ問題はない。メグミのように甘いものがあればいいってもんでもないがな。それぞれの保存食をシェアしながらとりあえずの腹を満たしていく。うーん。確かにしょっぱいもんが食いたくなるな。
「んで、この階層も50DPが限度っぽいかな?」
「そうみたい。花が5Pで、多分妖精が10P」
「対策しないと危なそうな割にしけてんなー」
「ここまでは最低限きてもらわんといけないか?」
「そうだな。対策も含め伝えようか」
「なぁ、次の階層へはどうするよ?」
レンが俺に階段を登るかどうか聞いてくると、自然とサトシとメグミも俺の言葉を待つかのように視線を向けてくる。なんでや。
「俺が決めんの?」
「「「うん」」」
「へぇーへぇーわかりましたよ。次の階へは進む。出来れば96階まで行けたらいいけど、危険度とか時間とか、端末の声とか次第だな」
「次の階はなんとなく行くだろうと思ったけどよ。端末の声次第で96階?」
レンが言葉を促してきたので。そのまま説明する。
「次の階層で拠点維持%があがらなかったら、とりあえず96階まで上がって様子を見たい。それで上がれば偶数階で%が上昇するって予想ができる。んで、やばそうだったり時間がかかりそうなら、今日で2日目だから、明後日までにはここまでの攻略情報を伝えて今後の方針を相談したいんだよ」
「まぁ、帰りはMAPがあるから戻るのは早そうだもんな」
「アヤちゃんたちは大丈夫だろうけど、全員がDPを節約してるかわからないもんね」
「オレは指示にしたがおう!」
3人の方針は俺の方針に従うということらしい。目下の悩みを共有しよう。
「俺が決めかねてるのは、昨日は拠点で休めたからいいものの、このまま進むとなると拠点外で一夜? を過ごすことになるってことだな。この階の階段前で休むか、上に登って攻略ある程度してから休むか」
「暗くならないから正直実感なかったけど、もうすぐ夜なんだっけ。野宿かー。0時に制限リセットってことはここだとまた花沸くんだよな?」
俺の意見に、レンが渋い顔で答える。そう、それが問題だ。
「目が覚めた時点で意識朦朧とか、そのまま延々と寝ちゃうとか笑えないよね……」
「ここは進むべきか?」
メグミも考えていることは一緒のようだ。粉を使っていてもいいが、一種の興奮剤のようなものなので、疲れるし多用はしたくはないんだよな。考えるのが面倒になったであろうサトシの意見が最も近いかもしれん。
「よし、このまま次の階層に進む。探索してみて危険がなさそうなら次の階で休む。危なそうなら引き返して、この階で制限まで刈り尽くして休もう。その場合は拠点までの撤退も視野にいれようか」
「りょーかい」
「さんせー」
「おぅ!」
ひとまずの方針が決まったところで、俺たちは次の階へ進むことを決めたのだった。




