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テンション高めな98階の攻略

投稿順序を間違えてしまい内容を一つ飛ばしてしまっていました。申し訳ありません。修正済みです。

「ぜぇぜぇ……」

「はぁ……はぁ………」

「はぁ……はぁ……もぉ〜なんなのよぉー!」

「正気に戻ったか! 信じていたぞ!」


 俺たちは全速力で花畑から離れ、息も絶え絶えになっている。……1人を除いて。なんでそんなに元気なんだこの野生児は。鑑定の結果を見て背筋がぞわってしたわ。下手したら全滅するところだったんじゃなかろうか。


「しっかし、助かったぜサトシ。俺たち3人だいぶやばかったみたいだ」

「うーん、でもなんで私たちだけ?」

「俺たちがっていうか、サトシが特殊だったんじゃね?」

「鍛え方か!?」

「いや、効いてないってことはないんだろうが、思考力がどうとかあったからな。本能とか直感とかで生きてるからじゃないか? 知らんけど」

「任せろ!」

「褒めてないから……」


 馬鹿みたいな話だがそれぐらいしか思いつかないのだ。俺たちはどうしようか、こうしようかと先を先をと考えていたが、サトシは探索! DP! みたいに目の前のことに全力だからな。それに救われたわけだが。とりあえず鼻に包帯の端材を詰めてっと。


「おいおい、ヒロト何やってんだよ?」

「匂いってあったから気休めかもだが対策だよ。サトシ、インベントリからさっきの出してくれるか? 慌ててた上に物騒な文字を見て、鑑定切り上げちゃったからさ」

「む? おう、これだ」


 背丈の高い花の、根本付近にひっそりと咲いていた星形の花をサトシがむんずと取り出す。レンもよく見つけたもんだ。よし、魔眼解放(鑑定)! なんつって。


---------------------------

蠱惑の花

---------------------------

生き物を魅惑し、思考力を徐々に低下させる香りで誘き寄せる。

周囲の花畑は、惹きつけられた生き物たちのなれの果てだとかそうじゃないとか。


……

なんて物騒なものだったら怖いが、対象を眠らせて花粉をよく付着させ運ばせるためらしい。

それに便乗した花々が咲き乱れているようだ。綺麗だなー。

------------------------------------


 鑑定文を改めてみたんだろう。俺と同じようにレンがほおをひきつらせ、こめかみをピクピクしている。逆にメグミは安堵の表情を浮かべていた。サトシは……こらっ、食べてみようとするんじゃない!


「ま、まぁ、時間も余裕があるかわからないし、まだ何が出るかもわからない中眠りこけてたら危なかったから結果オーライだろ!」

「そうそう、対処方法だって見つかったじゃない」

「前の階のアイテムが対策アイテムっていうのも仕組まれた感があるよなー」

「……? おう!」


 無理やり自分自身を納得させようとしている俺とレンに、メグミは気を使い賛同してくれている。サトシ君、君はよくわかってないだろう。階層を跨いで早々肝を冷やされたが、切り抜けることができた。これで気が緩みすぎないよう、俺たちは気を引き締め階層の奥へと足を踏み入れた。


★★

「サトシ! 君に決めた!」

「うぉー!」


 俺の掛け声と共にサトシが花畑にダイブし、蠱惑の花をゲットする。


「レン! あそこにあるよ!」

「だらっしゃー! 死にさらせー!」


 メグミが鑑定で見つけた蠱惑の花に、無駄にテンション高くレンが果敢に飛びかかる。


「む! そこだ! そこそこ! 違うぞ、そこだ!」

「そこそこってどこだよ! そこか! 違う、そこか!」

「ヒロト、そこだそこ!」

「だー! そこじゃわかんねぇよ!」


 サトシの的確な? 指示らしくない指示に従い、俺は花畑に手当たり次第につかみかかる。


「女はどきょー!」

「ちょ、まだ鑑定してな……うぉ、いっぱつで見つけやがった」


 いつも慎重なメグミも突貫して花畑を攻略していく。めざといというか視野が広いというか、比較的あっさり見つけているようだ。


「アッタ! コレ。アッテル?」

「「「ぎゃーーー! 粉を喰らえー!!!」」」

「ぶほぉあ!? とったどー!」


 たまに意識が朦朧としてカタコトになってくるサトシに、幻惑蝶の粉をぶちまける。効果が薄いだけでやっぱり効いてはいたらしい。


 こんな感じで俺たちはDPを稼ぎながら奥へ奥へと向かっていった。なぜこんなテンションかって? 鼻に詰めた包帯に粉を巻きつけてあるからですよ。あれから奥へと進み始めたものの、ただ鼻を詰めただけだと、あちこちから香る蠱惑の花の香りに意識がぼーっとしてしまい、遅々として進まなかったのだ。さらに、誘い出すとあるように、俺たちの足は自然と花畑へと吸い寄せられる。嫌でも蠱惑の花をつんで進むしかなかったのだ。


 眠気を起こさない弊害として、やたらと全員がハイテンションになっているというわけ。相変わらずサトシはノー対策だが、白目を剥いてきて片言になったら俺たちが粉をぶちまけている。正直怖いので俺たちが叫びながら粉を投げつけてしまうのは許してくれ。サトシだけ詰め物しないのは、サトシの鼻息が荒いせいで詰め物がすっぽ抜けるんです。マジで。 


 ちなみに蠱惑の花以外にも、エネミーはいました。というか、いたらしい。ドロップ品に妖精の羽というものがいつの間にか存在した。


ーーーーーーーーーーー

妖精の羽

ーーーーーーーーーーー

幻を見せて惑わせ、仲間同士を仲違いさせる妖精の羽。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 妖精かー見てみたいなーなんて思っていたが、ハイテンションで花を刈り続ける俺たちの周囲にふいに現れるもんだから、蝿や蚊のようにぺしりと仕留めていたようだ。不憫すぎる。この階の設計間違えてません?


『条件を達成しました。森林階層98階のMAPをアクティベートします』


 そんなこんなやっているうちに上限DPに達したのか花や妖精は現れなくなり、俺たちは次の階への階段を見つけるのだった。

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