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80 予感

(80)




(えっ…)

 思わぬ相手に真帆は驚きを隠せない。

(ミーちゃん…?)

 と、真帆は同級生の西条未希をそう呼んでいる。

 思わぬ相手、というのは別に仲が良くないとかそう意味で言ってる訳ではない。むしろ二人の仲は普通以上に良く、とても親しい。

 何となくだが、二人には叶えたい「夢」があるというのも共通したところかもしれないが、真帆自身が芸能界で活躍している未希に対してごく普通に接していて、妬みや嫌味が無くさっぱりした性格だと言うのが余計にあるからかもしれない。

 と、なると『思わぬ』とは、それは西条未希が今連続ドラマの撮影中で夏休みに入る直前に入り、つまり今は撮影で気が抜けない程、忙しい筈だと思っていたからである。

 だから自分からはチャットをするのも控えていたのだが、そんな最中に相手から連絡が来たのだ。

 真帆は届いたチャットを読む。

 …しかし、驚きと言うのはそれ以上だった。

 読み終えた真帆は思わず声が出た。

「嘘っそ!!マジなん!!」

 真帆は足を止めてもう一度、チャットの内容を見た。


 #やぽ、真帆。

 今日さぁ、警察に質問されたんだって(笑)

 その時さぁ、居た刑事。

 実はウチの従兄妹やねん。

 名前は――角谷譲二って言ってなかった?

 さっき、コバるにもチャットしたら驚いてたわ!!

 じゃぁ、またチャットするね。

 あと月見バーガー美味しかった?

 早く撮影終わったら行きたいなぁ、そのときは真帆も一緒に行こうね。

 じゃぁ!!


 真帆は驚きの余韻を残したままスマホをポケットに仕舞った。

 その時、御腹がぐぅと鳴った。

 真帆は空腹の御腹に驚きを飲み込ませて、急いで家路へと急いだ。急ぎながら、真帆は不思議だが、何かこうしたことが自分の考えている以上に大きな事件になるのではないかと感じないではいられなかった。


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