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79/107

79 未希

(79)



 再生されたのは映像では無かった。

 五分程、無声音が続いた後、男の声で「こんにちは」と聞こえて突如切れた。

(何じゃ、あれは…)

 真帆は筋肉バーガーでコバやんと別れた帰り道で思い続けている。

 帽子の鍔先から覗く夏の街は壁に光を反射して眩しい。真帆は目を細める様に歩きながら、その事を考え続けていた。

 彼の言葉と共に。


 ――「いや、何かさ。お昼のニュースで風船爆発を聞いてさ、それで情報を集めたら扇町公園が場所として一番近いから、そこで何か、…事件に関するものが落ちていないか、…まぁ空で爆発したわけやから、何か落ちてるんじゃないかなと思ってね。それであそこに居たって訳さ」

 コバやんは月見バーガーを頬張りながら真帆に言った。真帆も勿論、同様にバーガーを口に頬張りながら聞いている。

 真帆は勿論、彼の推論に頷くしかない。

 自分は自宅から確かに公園にやって来たが、そんな確実な目星をつけていた訳じゃない。じゃないが故に考えれば、きっと自分は公園に行っても何もめぼしい物を見つけることなく、夕暮れ時に御腹が空いて帰るだけだっただろう。

 やはり正確に目的を持って行動する人と、しない人とでは「結果」は雲泥の差ほど違う。

 だが、それにしてもその「結果」が無声音のレコーダだったのだから、気落ちしないではない。それはコバやんもそうではないだろうか。

 彼もまたじっとそれを二度ほど聞いて、後はだんまりだったからだ。

 つまりそのだんまりを背負って二人とも筋肉バーガーを後にした。

(…ま、あ、しゃあないかもしれない)

 真帆は帽子の鍔をぐっと握りしめると夏の反射する陽射しの反射を避ける。避けてから彼女はスマホが鳴る音を聞いた。

 手に取って画面を見る。

(隼人かな…)

 そう思って相手を確認した時、意外な人物からのメッセージに真帆は驚いた。


 ――そのメッセージの相手とは…


 それは演劇科の同級生、西条未希だった。


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