第二十八話:ヒロセと、悪役令嬢の狂気5
「ヒロセ、ポテチぶりじゃな」
「そうだな。ポテチぶりだな」
翌日ギルド前に行くといつものローブ姿でタマが立っていた。あいかわらずの幼女エルフっぷりを見せている。
「それよりどうしたのじゃ? ギルド便が急に来て、明日の朝に会いたいなんて。突然すぎるのじゃ。しかも、ちんまい妖精に、そっちのは魔族か? と一緒とはな」
タマは首をこてりと傾げて聞いてきた。銀髪の髪がさらりとながれる。
「ちょっと急ぎ手伝ってもらいたいことがあってな。こっちのちんまいのはちみっこ妖精で、そっちの魔族はシアだ」
一緒に行動する仲間だ。一応、自己紹介をしておく。
「よろしくねー」
「アナスタシアでシアですわ。よろしくですわー」
「ふむ。ちみっこ妖精にシアとな。よろしくの。わしの名前はタマじゃ。ニアの街の冒険者ギルドに所属する魔法使いじゃ。それで、急ぎの用とはなんなのじゃ?」
首を傾げたまま俺のほうに目を向けてタマが聞いてくる。
「そうだな。仲間のスライム、スラちゃんが誘拐にあったんだけど、情報がなくてな。魔法が得意なタマなら、スラちゃんか誘拐犯の魔力の流れを追えるかと思ったんだけどな」
「なんじゃと、、それは一大事じゃな。。それで、誘拐場所はどこなのじゃ。もしかしたら、誘拐犯の魔力の流れが残っておるかもしれぬのじゃ」
「なんとかなるのー?」
パタパタとタマに近づいていき、ちみっこ妖精が少し希望をにじませた顔で聞いた。
「この超級魔法使いに任せておけと言いたいところじゃが、すまぬが、分からないのじゃ」
タマはすまなそうに目を伏せて、ちみっこ妖精に言った。
「え~~~」
「なんとかならないのか? タマ」
「なんとかならないとは言っておらぬじゃろ。ただな、魔法のマーカーをつけてお主を追跡した時とは違って、魔力の流れをつかむのは難しいのじゃ。簡単にできるなら、お主にマーカーなんてつけないのじゃ」
「それもそうか……」
閃光を出したり、俺にマーカーをつけたり、空を兆速で飛んだりできるタマにも難しいことがあるんだな。。
「魔力の流れをつかむには誘拐現場に行かないと始まらないのじゃ。連れて行くのじゃ」
「よし、分かったぞ。こっちだ」
タマを連れて俺たちは再びスラちゃんの誘拐現場に向かったのだった。
~しばらく歩いて~
「ここだぞ」
俺たちは再びスラちゃん誘拐現場に戻ってきた。
「ふむ。ちょっと待っておれ。魔力の流れを見てみるのじゃ。いでよ、杖」
そう言ってタマが左手を前に差し出すと、いつのまにかその手に一本の杖を握っていた。
そして、タマが目をつむって集中を始めた。
瞬間。。
銀髪のタマの髪が逆立ち始め、、ローブも風に吹かれたようにパタパタと揺れ始めた。
ものすごいプレッシャーが俺たちにたたきつけられる。
「ヒロセ、あの幼女エルフ。とてつもない、魔法使いですわ。魔族の国でもあれほどの使い手はなかなかいないですわー」
「ヒロセー、こわいよー」
……、さすがにドラゴンと知り合いなだけあるな。ただの年季の入った幼女エルフかと思っていたら、魔族のシアをも認めるほどの実力とは。。
そんなことを考えていたら、
「うむ。分かったのじゃ」
タマはふんすーと鼻息あらく言った。
気が付いたら、先ほどのプレッシャーは消え去っていて、タマの左手からは杖も消えていた。
「分かったのか?」
「分かったのじゃ。スラちゃんの魔力は追えなかったが、おそらく誘拐犯じゃろう。そやつらの魔力の流れは追うことができたのじゃー。ラッキーだったのじゃー」
「え? 分かったのー?」
ちみっこ妖精がワクワクといった感じでタマに聞いた。
「誘拐犯の居場所が分かったのじゃ」
「わーい、やったー」
「やった、ですわー」
やったぞ。目撃者がいなかったからスラちゃんを発見できるか分からなかったけど、誘拐犯の居場所が分かったなら、そこから何とかたどれるかもしれない。
俺たちはしばらくタマを囲んで、やったーと喜びあっていた。暗闇に一筋の光がさしたときだった。
誘拐犯め待ってろよ。スラちゃんを必ず取り返してやるぞ。
「ヒロセ、スラちゃんが戻ってきたら、お仕置きじゃぞ」
「なんで?」
「さっき、わしの年齢のことを考えてたじゃろ?」
「……」
やったぜー。100ポイントいきました。
これも、小説を読んでくれている皆さんのおかげです。
ついでにブクマもよろしくお願いします。<(_ _)>。




