第二十七話:ヒロセと、悪役令嬢の狂気4
「ここだよー。ヒロセー」
ちみっこ妖精の案内で俺たちはスラちゃんの誘拐現場にやってきた。
人通りの少なそうな小道で、俺たちの住んでいるマンションがすぐ近くに見える。日が暮れかけている今も人通りはないけど、日中もあまり人が通りそうではない。
う~~~ん。これだけ人通りが少ない道だと、誘拐現場を見ていた人は果たしているのだろうか?
「ちみっこ妖精、スラちゃんが誘拐されたとき、他に誰かいなかったか?」
誰か見てなかったかな? と、ちみっこ妖精に俺は聞いてみた。
「いなかったよー。いつも歩いているときも人あまりいないし、あの時もわたちとスラちゃん二人だけだったー。それをうしろから。うぅ。。スラちゃん。。」
ちみっこ妖精は悲しそうにスラちゃんの名前を呼ぶ。
なんとかしたいけど、どうしたらいいんだ? 俺は思わず悔しくて握りこぶしをつくってしまった。
「シア、何かスラちゃんを助ける方法はないか?」
シアは魔族だ。何か魔法的な何かでスラちゃんの居場所をつかめるかもしれない。こんな時の魔族だのみだ。頼むぞシア。
「う~~~ん、ですわー。世の中には微細な魔力の流れを探知できるほどの超級魔法使いがいると聞きまわー。でも、残念ながらわたくしにはそんな繊細なことできないですわー。わたくしにできるのは、魔法をぶっ放すことぐらいですわー」
やはりそうか。。クワを振り回している時点でそうだと思っていたけど、魔法でもそんな感じらしい。。
しかし、、微細な魔力の流れを探知できるほどの超級魔法使いか。。俺にはそんな知り合いいないよな。
う~~ん?
う~ん?
んん?
んんん?
そういえば、すごい魔法使いを自負している幼女エルフがいたような……。
!?
いた。そういや、タマがいた。
あの幼女エルフならなんとかなるかも。。
確か魔法のマーカーを俺につけて場所を特定したとかなんとか言っていた。
そんなことができる魔法使いなら、もしかすると、微細な魔力の流れを探知してスラちゃんの居場所を特定できるかもしれない。
あれだ。あれ、警察犬の魔法使いバージョンだ。
「よし、俺に当てがある。今日はマンションで休んで明日会いに行くぞ」
「明日ですのー?」
「ヒロセ、明日―?」
「ああ、明日だ」
「ちみっこ妖精も疲れているしな。ゆっくり休んで、明日作戦開始だー」
「「お~~~~~~~~」」
ちみっこ妖精とシアには先にマンションに帰って休んでもらい、俺はちょっと寄り道をして幼女エルフ タマへの取り次ぎを冒険者ギルドに依頼してから帰宅した。
俺はタマみたいなストーカー魔法を持っていないので、どうやって連絡とろうかと思っていたけど、そういえば冒険者やってるのじゃーとタマが言ってたのを思い出した。
それで冒険者ギルドに取り次ぎをお願いしたのだ。
冒険者ギルドに取り次ぎを頼んだ時に、「え? あの幼女エルフのタマとお知り合いで? ごにょごにょ」と受付の人が言ってたけど、あいつ何かしたのか?
まあ、ドラゴンと知り合いなくらいだしな。。
よし、スラちゃん救出作戦、決行だ―。
◇
ヒロセたちが翌日に備えてマンションで休んでいるころ、高飛車お嬢様にさんざんムチ打たれた下っ端ブラザーズが小言をこぼしながらニアの街を歩いていた。
「アニキ―、体中ムチでぶたれて痛くてかなわねーや」
「うるせー。おまえのせいで俺までお嬢さまにぶたれただろうが」
下っ端アニキはそう言って下っ端子分の頭をげんこつでたたいた。
「あいたっ。アニキ、ひでーや」
「うるせー。今回はムチでぶたれるくらいで済んだが、、あのお嬢様の恐ろしさはこんなもんじゃねえ。これまで仕事をしくじった奴らがどんな目にあってきたか……」
仕事にしくじった奴らの末路を思い描いて、下っ端アニキはブルブルと体を震わせた。
「分かってるよー。俺だってあんな恐ろしい目にはあいたくねー」
「分かってるなら、ちゃんとしやがれってんだ」
下っ端アニキはもう一度下っ端子分にげんこつする。
「あたっ。アニキー、やめて下せえよ。いたたた」
「たくっ。まあいい。それより、しくじったわりにはなかなか報酬がよかった。飲みに行くぞ」
「やったぜ、アニキ。今夜はさんざん飲みましょーぜ。お嬢様の怖さも忘れたいってもんだ」
「よし、ねーちゃんがたくさんいる店でもいくか?」
「いきましょーぜ。げへへへへ」
下っ端ブラザーズはげへへへと笑いながら夜の街へと消えていった。
このあと、下っ端ブラザーズはムチ打ちのうさを晴らすように、おねえちゃんの店で飲み明かすのだった。




