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風紀委員vs童貞

まあ言うまでもなく雅弥先輩から見た俺の第一印象は最悪だ。

保健委員長って事は…わかるよね?

悪魔のような会長の囁きの後、場は一瞬静まり返ったかと思えばその本人が流れを戻す。


「そう!経験済ってこと!」

「経験済だ、…と!」

会長が面白がった声色でそう叫ぶと雅弥先輩は目を丸くしてこっちをみた。

「あ、あの…えーと」

その顔があまりにも真剣だったので、もしかして怒られる?不純異性行為禁止とか怒られる?

と言葉に詰まって何も言えないでいると

「いつなんだ!」

「え、ええええ」

いきなり攻め立てるように問い詰められて訳が分からない。

「いつなんだと聞いている!何年、何月、何日、何時、何分、何十秒、地球が何回回ったときだ!」

「え…あの…そんな正確には覚えてないですけど…」

というか何が、何の話?!

「は?!そんな大事な日を記憶していないだなんて!君はバカか!もったいない!」

「あの…何についての話ですか?」

「初体験の話にきまってるだろうが!」

「hhhはは初体験?!」

「どうせ目先の性欲の事しか考えていないさぞかし単細胞なんだろうな!うらやましい!」

なんかこの人話矛盾してないか…要するに童貞じゃない俺がうらやましいということでOK??

しかし俺のは偽装経験済なんだけど。

やーでもここで早めに言っておいたほうが…

でもなんだか俺が経験済みってことで期待されてるみたいだし…どうしよ。

もうあのアンケートは嘘です。すみません見栄はりましたなんてとても言えない雰囲気。

大丈夫、妄想の中では何度だって経験してきたし、それなりの知識もあるはず。

第一俺が言わなきゃバレるはずないんだ。うん大丈夫!

「もー時高そんな興奮しないで!秀ちゃんが変な汗かいてるから!」

「べ、別に俺はお前の、は、初体験の話なんてどーでもいいがな!」

「うそうそー気になる癖にー!やーい時高のムッツリスケベー!」

「ちょ、お前はそんな破廉恥なことを大声で言うな!誰かに聞かれたら勘違いされるだろ!」

「ムッツリを否定するって事は時高はガッツリスケベなの?!」

「は?そうじゃない!俺はそう言うの興味ないって話してるの!」

「もー風紀委員だからってお堅いんだから!」

「お前は生徒会長なのに風紀を乱しすぎだ!」


俺の話だったはずなのにいつの間にか二人の痴話喧嘩に発展していた。

「あのー」

話しかけてみてもさっきからずっと二人でにらみ合っている。

「この二人いつもこんな感じなんだよね!面白いでしょ!」

止めようともせずににやにやしながらその光景をみている新。

「これ日常茶飯事だから慣れて」と天十郎。


「ごめんねー秀ちゃん、時高は風紀委員だから自分の性欲を抑えようと必死なんだよ!」

「ば、バカお前性欲とか言うな!俺にあるのは風紀委員としての粛清の清、清く正しくありたいという欲求、清欲だけだ!」

「うわあああああ必死乙ー!」

会長にからかわれてるというかいい遊び道具だなこの人。

でもおかげで俺の初体験の話からは話題がそれたようだ。よかった。

じゃなかったら初体験の話を妄想で語るという想像力の限界に挑戦するところだった。危ない、危ない。

さらに話題を逸らそうとずっと気になっていた話題を自分から振ってみる。


「あの会長、なんで保健室が生徒会室なんですか?」

「よくぞ聞いてくれた!それは…」

「それは…?」

この期待させるような言葉のため具合、さぞかしすごい理由があるに違いない…のか?

「なんか萌えない?保健室って!」

は?萌え?頭の中で(ハテナ)が飛び回る。

「…例えばどんなとこが?」

「白衣にナースに、白いシーツのベッドに!お医者さんごっこもできるよ時高!」

「なんでそこで俺に振る!だいたいちゃんとした理由があるだろ!」


「実はいま保健室の先生いなくてさ、だから俺たち生徒会が当番制で留守番してるんだよね」

新が説明してくれた。なるほど、萌えよりはちゃんとした理由だ。納得。

「今いない…っていうかいた事ないけどね保健室の先生なんて」

「うわー天十郎それ言っちゃネタばらし…」

「まあそんな訳で俺たち生徒会はこの保健室を任されているのです!」

キリッ!っという効果音が聞こえそうなドヤ顔で会長が話をまとめようとする。

「任された?乗っ取ったの間違いだろ!」

「冷暖房完備、冷蔵庫もあるし、トイレ・シャワーつき!テレビだってみれる!まさに生徒会室にふさわしい活動拠点なんだよここは!住みたいくらいだねここに!」

「心配しないでちゃんと保健室としての業務はしてるから」

「でも生徒会も人手不足でね!てなわけで保健委員長という役職をたてることにしたんだよ」

「こんな新学期始まって少したった中途半端な時期にね、いつもの迷惑な薫会長の思いつきで…しかもあの条件付」

ああ経験済み優遇ってやつか。企業の面接みたいな条件だよなこれ。

「保健委員長をたてて白衣を着せて正式に保健室を征服する気か…」

へーそうなんだ。大変だなこの学園も。

「人事みたいな顔して話聞いてたけど、保健委員長って佐倉のことだから」

するどいタイミングで天十郎が一言。的確なダメージを俺に与えた。

「ということは?」

「こういうことだよ秀ちゃん!!!!!」

そう言ってまた会長に無理やり白衣を着せられそうになる。

「うわ、ちょ…ま、」

なんか負けな気がする、これを着てしまったら負けな気がする!!

「だからお前らは!神聖な保健室で騒ぐなと言ってるだろ!」

俺も雅弥先輩と同様、むしろ同時に会長の遊び相手になってしまっているような気がするんだが…!


「そういえば今日野良遅いな」

「そろそろエサの時間なのにねー」

新と天十郎のそんな会話が耳に入る。ノラ?エサ?

「え!猫飼ってるんですか!?」

もしかして生徒会室で飼ってる猫とかかな。だったらいいなー…この騒がしい環境に癒しが欲しいと、もふもふしたかわいい猫を思い浮かべる。

「ま、まあ猫と言ったら猫だね。名前ノラだし…ね、天十郎」

「そうだねー、エサあげたら懐いちゃったとことか猫かも。」

なんだかまた意味深な二人の会話。猫かもって。猫かもって。え、猫じゃないの。


そんな時、またノックもせずに保健室のドアが開いた。

「あ、猫きたかも」

新がそう言ったのを聞いて思わずドアの方に身体ごと振り向く。

とそこには…まあ上の会話から察するに猫じゃなくて人間が立っていた。


「ちーす!遅れましたすみません」

ドアを開けるなりそう人間の言葉を発したその子に

猫じゃねねええええええええええ!と心の中で叫んだ。



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