表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊星の物語 ~精霊島の物語~  作者: uki yoe
第一部 精霊島の物語
20/65

噴出の土石素

俺達は土石素色に染まる世界樹へ向かう。

レスリーのいる場所からは2kmほどもあったろうか。

不思議な事に、先ほど通ってきたであろう道の側に生えている世界樹までも、何やらぼんやりと光りだしているようだ。

先ほどまでこんな動きは無かった。

世界樹達の林で何かが始まろうとしているのかも知れない。

テネアが案内する先に行けば行くほど、目的の世界樹に近づけば近づくほど、世界樹達から発せられる輝きは強くなる。

世界樹から発せられる土石素の力が増していく。


チョロッと、足元を小さな生き物が逃げていく。

と、思ったら、巨大なGもガサガサと逃げている。

巨大、デカG。

汚さは感じなかったが、ちょっとビビった。

G=台所に隠れている、茶色だったり、黒々としている奴ね。

一匹いたら、何匹いるんだっけ?

うう、俺のもっとも苦手な生き物だ。

しかしこいつら、身の危険を感じているのだろうか?

俺にそこまでの危険性は感じられない。

むしろ、清々しい気配が増しているようなのだが……。


「ユーキ、あの樹」


そろそろ見えるか。

テネアが俺に指さした向こう側。

一等、常盤色に輝く世界樹の大樹。

俺の持っている枝の元の主が、そびえ立っている。

俺達の目指した、あの世界樹がこの事態の中心である様に見受けられる。

辺り一面、常盤色の輝きが尋常じゃない。

素体の濃度が異常に高い。

恐らくこの辺一体、土壌や空気が今まさに浄化されているのだ。

清々しさに俺自身の身体も浄化されていくようだ。

頭が良くなりますように、性癖が治りますようにってお願いしておこう。

そうだ、ついでにもう一つ。

煩悩よ、今こそ退散。

……退散しねえ。

そうか、俺の煩悩、汚いものではないのか。

色即是空 空即是色。

――ユーキはレベルアップした。悟りを開いた―――

俺は俺……。

否定されない俺。

これが悟りなら、随分前から悟っていたな。

改めまして、悟り。

これからも宜しく。




世界樹から噴き出る土石素の光はさらに増してくる。

俺は今、コルニアに来て、最も強く感じる素体の力を感じている。

今、ここら一体に漂う土石素の力に、濁流のような激しささえ感じられるのだ。

言葉が漏れる。


「この力が、世界樹の浄化作用の力なのだろうか」と。


もっと弱い力をイメージしていた。

これは…土石素のこの力は、


「……圧倒的じゃないか」

「こんな世界樹は初めて見るのです」


ラーンが感心した声で答える。


「風が元気になってるのー」


サフィーは嬉しそうに飛び回っている。


「ユーキ、ここ。ここにあった枝が、ユーキの枝」


テネアが指を射すその先に、切り落としたにしては小口の滑らかさが際立っている、枝の残りがあった。

この枝は、あそこにあったのか。

世界樹が自ら切り落としたであろう、枝の一部。

俺は、手元の枝を見る。

目の前にそびえ立つ、この特別なあるじと同じように、より一層光り輝いている。

戻りたがっている?……訳ではなさそうだ。

何か、別の力を感じる。

何故、急にここの世界樹は、土石素を反応させているのだろうか。

今のこの反応に何か理由はあるのだろうか?

もしかしたら先程までいた場所で、世界樹の動きを再現しているレスカリウスと関係があるのだろうか。

俺にはさっぱり分からない。


分からないながら、世界樹の幹に手を掛けてみた。

分厚い樹皮に畏怖の念を感じる。

触って良かったのだろうか?

そう思ったら、土石素の奔流が俺の体を通り抜けた。

ドンと来た力。

土石素の奔流。

髪の毛が逆立つようなこの感覚。

俺の中の土石素が反応する。


感覚が一気に研ぎ澄まされる。

素体の波。

そうか、俺もこの世界樹の反応に同調してみればいいのだ。

俺は、世界樹に手を掛けながら思いつく。

失敗は恐れなくていい。

世界樹から流れる土石素は、俺をも包み込み世界を照らす。

この波長の流れに合わせる様に、俺に眠る土石素を発現させてやろう。

もしかしたら、ほんの少しでも、世界樹達の力の一部に貢献出来るかしれない。


思い付きで目を閉じて、世界樹の土石素に俺の中の土石素をリンクさせるよう意識を集中させる。

俺の中にある緑の一点。

俺の土石素。

その塊が、急速に存在を主張する。

世界樹からの素体に俺の素体が引っ張られて行くようだ。

膨らみ続ける俺の土石素。

力が噴出する。


思わず、声が出ていた。


「う、う、おおぉ! ――――― ぁああああああああ」


目を閉じていられない。

視界が霞む。


体がふわふわして、膝から下に力が入らない。

まだ止まらない。

まだか。

―まだだ―

まだ上がる。

………

……そして、臨界点を超えた。

そう思った。


あふれ出る土石素。

常盤色の瞳。

ツンツンに逆立つ、緑色の髪の毛。

シュワシュワとまるで音が聞こえるかの如く、体中から土石素を吹きだしている俺。

スーパー精霊人。

俺。


悪素め、俺は怒ったぞー。

――おーい――

――正気に戻れ――

誰かが何かを言っている。


ああ、俺は正気だ。

自分の変化は理解している。

その証拠に、今まで見えていなかった、世界樹の個体から出ている常盤色の全てが見て取れている。

一本一本が綺麗なまでにこの大地の奥深くまで、根を張っている。

相当広く、相当深い。

地表から見えている上の部分は、全体の三分の一といったところだろうか。

想像以上だ。

世界樹の樹がこの大地に根付いている事がよくわかる。


次回サブタイトル予告です。

~常盤色の大地~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ