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流転の道  作者: Boneless
虚ろな始まり
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第十五章:「己の運命を刻むこと」

「アルコンたちが姿を消した後、死すべき者たちは、世代を重ねるうちに霊的な空白へ落ちていきました。その空白を埋めるため、自らの神々を作り出したのです。ある狂人たちは、まるで預言者のように祭り上げられました。見捨てられることへの恐怖から、自らに主人を仕立て上げたのです。」


クタドゥムシュはそう言った。


その声は、埃を被った図書館の静寂を破る古い羊皮紙の擦れる音に似ていた。重く、疲れていながらも、揺るがぬ確信を宿していた。


「真実は、ゆっくりと物語へ姿を変えていきました。そして物語は、やがて血塗られた法へ変わったのです。死すべき者たちは、アルコンたちの静かな助言を忘れ、自らの闇を神聖視するようになった。だからこそ、その千年に及ぶ耳塞ぎのただ中に現れた“人”の姿をした最初のアルコンは、単なる救済者ではなく――同時に脅威でもあったのです。なぜなら彼は、死すべき者たちが自らの手で築き上げた偽りの楽園を打ち砕く、絶対の真実そのものだったのですから。」


クタドゥムシュは深く息を吸い、語り続けた。


「もちろん、初めは誰も彼に耳を貸しませんでした。しかし、人々が彼を信じ始めた時、今度は新たな障害を彼の前へ置いたのです。創造主がアルコンたちへ与えた命は明白でした――『介入するな』。ですが、その存在は、死すべき者たちが耳を貸さぬと知った時、最初のアルコンたちのように静かに隠遁へ退くことはしなかった。創造主の古き命に逆らったのです。まず一人で都市をひとつ征服し、その後またひとつ、さらにその次も……。彼は自らを『神帝』と名乗りました。死すべき者たちに、自分の言葉を聞き、従うことを強いたのです。その大胆さは、世界の均衡を根底から覆しました。」


クタドゥムシュは、煙が立ち昇るユルトの天井、その暗闇を見上げながら、さらに低い声で続けた。


「彼に続き、隠れていた他のアルコンたちもまた、一柱ずつ姿を現し始めました。ある者は、この新たな秩序の力に魅せられ、『神』の称号を名乗り、自らの王国を統治し始めた。ある者は、最初の九柱が持っていた、あの古く静かな務めを守ろうとし、囁きによって死すべき者たちを導こうとした。ある者は、何もかもに背を向け、もはや誰にも見つけられぬ深淵へ身を隠しました。」


老人は再び視線をブミンへ戻した。その目には、自ら語る混沌の歴史が、今まさにブミンの肩へ置こうとしている重みへの理解があった。


その声は、先ほどより穏やかだった。長い旅路の終わりへ辿り着いた者のように疲れていながら、それでも揺るがぬ確信を帯びている。言葉を急がず、一語一語がユルトの静寂の中で自らの居場所を見つけるのを待っていた。


「あなた様は……その魔術から察するに、新たなる大地のアルコンでございます。そして記憶を失われていることから考えるに……先代の大地のアルコン、パンゲオンを殺されたのでしょう。」


その瞬間、ピエトロは我に返った。ゆっくりとクタドゥムシュへ視線を向ける。


受けた衝撃があまりにも大きかったせいか、その声には感情がなく、まるでもう驚くという感覚そのものを失ってしまったかのようだった。


「アルコンを……殺した? だが……そんなこと、何百もの魔術師が必要なはずだ……」


クタドゥムシュはピエトロへ向き直った。その目には、死すべき者の理屈では理解できぬ、あの古く悲しい循環への静かな親しみが宿っていた。


「その通りです、若者。通常であれば、アルコンを殺すことなど不可能に近い。生命のアルコンによれば、一人の死すべき者が単独でアルコンを殺せる唯一の方法は……そのアルコン自身が死を望むことなのです。」


その最後の言葉と共に、ユルトの空気は凍りついた。


ブミンはクタドゥムシュを見つめた。


もし自分が誰かを殺したのだとして――その者自身が死を望んでいたのなら、自分は殺人者なのか。それとも、遺志を遂げた者なのか。


心の空白は、その問いと共に初めて鈍い痛みを響かせた。


クタドゥムシュはブミンへ向き直り、続けた。


「パンゲオンは、非常に古い存在でした。我が君。およそ六百年もの間、死すべき者たちが共に調和して生きられる国を築こうとしておられた。しかし死すべき者たちの欲望が、彼の丹念に編み上げた国を内側から腐らせていったのです。おそらく、自らが何世紀もかけて追い求めた理想が、そのような姿へ変わり果てたのを見た時……もはや生き続ける望みを失われたのでしょう。」


老人は一瞬、言葉を止めた。


「アルコンは自害できません、我が君。その肉体は、自然現象のように自らの存在を守ろうとし、自身を傷つけることを拒みます。しかし、他者に殺されるための隙を作ることはできる。アルコンが死ねば、その内なる力は行き場を失わず、新たな器を探し始めるのです。そして、あなた様はあの場にいた。あの莫大な力を受け入れられるほど空虚であり、過去を捧げられるほどの意志を持っておられた。」


老人は、悲しげな微笑みを浮かべながら付け加えた。


「しかし、アルコンの座を力ずくで継ぐことに代償がないわけではありません。パンゲオンの力があなた様へ流れ込む時、あなた様はご自身の存在を、その巨大な空白へ捧げたのです。記憶は、あの途方もない力が入り込めるよう空けられた部屋のように消え去った。あなた様は彼を、その重荷から解放するために、ご自身を――つまり“何者であるか”を犠牲にされたのです。」


ブミンは考え込んだ。


パンゲオンの遺産が、手の上の透明な層の下で、まるで眠りから目覚めるように微かに熱を帯びた。


誰かを殺した。


誰かを救った。


そして、その行為が、自分を一つの記憶すら存在できない、この果てなき虚無へ閉じ込めたのだ。


「……他に方法はなかったのか?」


ブミンは静かな声で言った。


その声は、ユルトの壁を覆うフェルトへ当たり、冷たい残響となって返ってくる。


彼は少し間を置き、クタドゥムシュの目を見つめて続けた。


「彼を救う方法……あるいは、俺が記憶を失わずに済む方法は……なかったのか?」


クタドゥムシュはブミンの目を見た。


その目に宿る救いを求める痛切な探し求めを見て、老人の胸もまた痛んでいるようだった。


彼は視線を逸らし、わずかに頭を垂れながら答えた。


「ございませんでした、我が君。アルコンは死ぬことなく、その力を譲ることはできません。それは、この世界の織り目そのものへ刻まれた法則なのです。そして……もしあなた様がその力を受け取らなかったなら、パンゲオンの死と共に解き放たれるはずだった膨大なマナの爆発は、あなた様も、その場にいた全員も灰へ変えていたでしょう。その後、その荒れ狂う力は新たな担い手を探しながら、世界を焼き壊し続けていたはずです。」


クタドゥムシュは深く息を吸い、再び顔を上げた。


「あなた様は、その力を受け入れることで、多くの命を救われたのです。」


彼は、ブミンの目にあるあの荒涼とした孤独へ、少しでも意味と誇りを与えようとしていた。


「パンゲオンは、あなた様の手によってではなく――あなた様を通して死を選ばれた。我が君、あなた様は彼の殺害者ではありません。最後の願いを守った者なのです。記憶は……確かに失われました。おそらくそれは、あの巨大な力を支えるために、あなた様の死すべき心が支払った代償だったのでしょう。しかし、お忘れなきよう。記憶は過去を留めるだけです。魂は、自分が何者であるかを知っています。」


クタドゥムシュは、ブミンの手の上で揺らめくマナの層を見つめた。


「我が君……生命のアルコンも、他の誰も、本当にあなた様へ使命を強いることはできません。生命のアルコンは、ただお願いしているだけなのです。」


「……お願い?」


ブミンは尋ねた。


その声は、響きというより、一つの思考が外へ漏れ出たようだった。


クタドゥムシュはゆっくりと頷いた。


「アルコンたちの間に上下はございません、我が君。一柱のアルコンが他のアルコンへできるのは、願うことだけです。なぜなら、あなた様の意志そのものが、この世界を支える古き礎のひとつだからです。」


「考えておこう。」


ブミンは言った。


その声は、先ほどまで吹き荒れていた嵐の後に訪れる静けさのように、明瞭で揺るがなかった。


彼は深く息を吸い、続ける。


「だが……今は、助けたい者たちがいる。」


視線をピエトロへ向けた。


その目には、先ほど語られていた神性の威光ではなく、共に歩き、汗を流した旅路の中で生まれた、あの古く馴染んだ友情があった。


「こいつらを、家まで送り届けたい。」


クタドゥムシュは、その答えに驚かなかった。


むしろその顔には、ブミンの持つ“人間らしさ”を誇らしく思うような穏やかな表情が浮かんでいた。


彼は再び前へ身を傾け、敬意を込めて頭を下げた。


「あなた様の意志こそ、最大の導きでございます。我が君。生命のアルコンは、あなた様の到来を待つにあたり、時そのものに意味はないと理解しておられる。大地とは、最も忍耐を知るものですから。」


ガッロとバスティアンは、その場で互いを見て小さく笑った。


つい先ほどまで胸を押し潰していた恐怖は、再び、あの安心できる旧い友情へ姿を変え始めていた。


ブミンが何者であろうと、彼はなお彼らの旅の仲間だった。


バスティアンは、ようやく和らぎ始めた緊張を完全に解こうとするように咳払いし、クタドゥムシュへ向き直った。


「クタ……クタディミッセ殿、少しお願いがありましてな。」


クタドゥムシュは、自分の名をうまく発音できないバスティアンへ目を向けた。その顔には、言い間違いを微笑ましく受け流す穏やかな笑みがあった。


「どうぞ。」


突然全員の視線が集まり、バスティアンは少し緊張したものの、真面目な顔を崩さなかった。


「ええと……ブミン様の名は、本当はご本人が覚えておられなかったので、我々が付けたものなのです。ですが、遊牧民の慣習では、名はシャーマンに祝福されるべきものだと聞いておりまして。もし、あなたが……」


クタドゥムシュは、バスティアンの忠義深い配慮に柔らかな声で答えた。


「名を授けるのは、通常シャーマンです。しかし、家族が名を与えることもあります。」


クタドゥムシュは両手を膝の上で重ね、真っ直ぐブミンを見つめた。


「ブミンという名は、“集める者、束ねる者”を意味します。我が君。記憶がその名を囁けなかったとしても、運命が、この旅の仲間たちの口を通して、あなた様の本質を語ったのでしょう。」


クタドゥムシュは一瞬言葉を止めた。


先ほどまでの威厳ある揺るがぬ態度の代わりに、どこか遠慮がちな様子を見せる。


「もしお許しいただけるなら、私もまた、あなた様へ名を捧げたく存じます。我が君。二つの名を持つことは、この世界におけるその者の重みと、運命の大きさを示すものです。」


ブミンは、自分へ差し伸べられたその忠実で賢い手を拒まなかった。


胸の内に広がる巨大な空白が、力だけではなく、彼らが与えてくれる意味によって少しずつ満たされていくのを感じていた。


彼はクタドゥムシュの老いてなお生気に満ちた目を見つめ、静かに頷いた。


「聞こう、クタドゥムシュ。」


クタドゥムシュは許しを得ると深く息を吸い込み、その顔から遠慮は消え、代わりに古代の儀式を思わせる厳粛さが戻った。


「それでは――」


クタドゥムシュは言った。


その声は、ユルトの隅々へ静かに染み込み、すべてのフェルト、すべての塵の粒へ浸透していくようだった。


「これより、あなた様の名は“ブミン・イルキ”でございます。その意味は、“自由意志”。イルキとは、過去の鎖にも、未来への恐れにも縛られぬ者。誰もが大地の上の塵を見る。しかしイルキは、その塵の下に眠る揺るがぬ岩なのです。」


老人は、その敬虔な響きを保ったまま続けた。


「旅の仲間たちは、“ブミン”という名によって、あなた様をこの世界へ繋ぎ留めました。そして私は、“イルキ”という名によって、あなた様がこの力を振るう時、いかなるアルコンにも、いかなる神にも、さらには運命そのものにも従属せず、ご自身の道を、ご自身の意志で刻まれることを願うのです。」


ブミンは、その名が心の中へ響くのを聞いていた。


ブミン・イルキ。


その名は、唇から発される前に、まるで最初からそこにあったかのように、魂のどこかへ静かに収まっていった。


クタドゥムシュはゆっくり立ち上がり、膝についた埃を払うと、穏やかな顔でブミンを見た。


「さて、我が君……食事をよそいましょう。あなた様には必要ありませんが、旅の仲間たちは空腹でしょう。」


その言葉を聞いた瞬間、ピエトロは重苦しい空気から現実へ引き戻されたように眉をひそめた。


まずクタドゥムシュを見、それからブミンへ視線を移す。


その声には、先ほどまでの畏怖の代わりに、純粋な驚愕が宿っていた。


「待て……何だって?」


ピエトロはそう言い、それからまるで初めて彼を見るかのようにブミンへ尋ねた。


「お前……本当に食事が必要ないのか?」


ブミンは、このことを目覚めた瞬間から知っていた。


彼にとって、それは発見ではない。ただ名前の付いていない習慣だった。


呼吸が自然であるように、この“欠落”もまた自然だったのだ。


彼は、自分という存在についてのこの剥き出しの真実を、すでに受け入れていた。


感情を排し、静かで揺るがぬ声で答える。


「まあ……腹は減らない。本当に。喉も渇かないし……疲れもしない。」


ピエトロは口をわずかに開けたまま、目の前の男の皮膚の下で脈打つ、あの異質で不死なる心臓を、初めて理解したかのようにブミンを見つめていた。


一方クタドゥムシュは、何の驚きも見せぬまま、湯気を立てる椀をガッロとバスティアンへ差し出した。


ガッロは椀を両手で包み、その熱を感じながら沈黙を破った。


「若様、冷める前に召し上がった方がいいかと。」


ピエトロは目を閉じ、深く息を吸い込んで気を落ち着かせようとした。


視線が、自分の手の中の椀へ落ちる。


指先が、落ち着かぬ様子で縁をなぞった。


彼はユルトの床に敷かれたフェルト、その自分の膝元を見回した。まるで、先ほど何かをそこへ落としてしまい、それを暗闇の中で探しているかのように。


だがそこには、粗く織られた羊毛と埃しかない。


この素朴な世界の中では、自分が探しているものは見つからないと悟ると、彼はガッロとバスティアンへ視線を向けた。


二人は椀を両手でしっかり抱え、口元へ運び、そのまま頭を傾けて、熱いクルトのスープを夢中で飲んでいた。


ピエトロは再び自分の椀へ目を落とした。


しばらく、それをどう受け入れるべきか考えるように無言で見つめた後、彼もまた椀を傾け、飲み始めた。

本作の日本語版は、AI支援による翻訳工程を経て制作され、原文の文体や感情を損なわないよう人の手によって確認・調整されています。

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