# 374. ガルーナ・コロニーでの休暇/ベルダ編
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少しずつ面白くなっていく…と思います!(精進します)
ベルダは、医療具買収犯の件のあと、暇を持て余していた。
「コロニー散策でもするか…」
と普段着に着替えて、宿を出た。「私に近寄るな」と言わんばかりに、腰元にナイフをぶら下げている。
ベルダは「かわいい」と「綺麗」の中間くらいの顔立ちで、異性に声をかけられることも少なくはない。ただ、そのほとんどが鼻の下を伸ばした腑抜けた連中ばかりなので相手にしていないのである。
(そんなんじゃ、この先の未来なんて救えない…)
ベルダはいつもそう思うのであった。
ドミニオン・シンジケート出身の彼女にとって、太陽の光は若干眩しく感じられるが、ネイト達との交流によって徐々にではあるがその眩しさを克服しつつあった。
ドミニオン・シンジケートの人間は全てが悪な訳では無い。ベルダのように何も知らずに生まれ育ち、戦闘経験をつまされてアサシンとなるものも居るが、ご飯を作るだけの人間も居る。もちろん勉強家も居て探索者になってこの世のすべてを知りたいという人間だっている。
しかし、そういうことをしたければ「手痛い出費」をしてドミニオン・シンジケートを抜ける必要がある。
ベルダの場合、イースタン・リージョンのオロパス・コロニーでネイト達と出会い、ドミニオン・シンジケートから抜けたい一心でネイトに懇願した。工作員であることも包み隠さず話し、これ拒否られたら首をくくるつもりくらいの覚悟でいた。
熱心な思いがネイトに通じたのか、ネイトはベルダを仲間に引き入れて、より一層ドミニオン・シンジケートとの壁を厚くしたのであった。
そんなベルダが、繁華街へ行こうとLRMに乗っていたときである。
乗客の誰かがこう言った。
「このコロニーにも、ドミニオン・シンジケートが潜伏しているらしい。なんでも、レッドブーストを売りさばいているらしいぞ」
「そうか、道理で最近だらしのない連中が増えたと思ったら、レッドブーストを摂取したからか!」
レッドブーストとは、お手軽に「ハイ」になれる赤い液体の麻薬のことで、飲んだり血管注射したりなどで体内に取り込むと、素晴らしい高揚感を感じ取れるらしい。ただ、それは本人の心の中の話であって、周りから見たら「口からよだれを垂らして力なく壁にへたり込んでいる気味の悪い人間」にしか見えない。
「こんなに住みやすそうなところにまで、奴等の魔の手が襲ってくるとは…」
ベルダはネイトにその旨を話した。
「…というわけなんだ。可能ならレッドブーストの売人だけでも吊し上げたい」
「わかった。全員が動けるわけじゃないから、ベルダとその次に隠密行動に長けているアマリアのふたりで売人を叩いてくれ。俺達はその後ろを守る」
「わかった、よろしく頼む」
こうして、ベルダは少し探りを入れて、売人のアジトを突き止めた。バレていないと思っているのか、ドア1枚隔てた所まで来ても気が付かないようだった。
突入部隊がベルダとアマリアのふたり、後衛部隊がネイト、キャシー、リコ、ロニーとなった。後衛は、売人の逃げ道を塞ぐ感じで配置した。エヴィは休息中で、ドクターはこのときだけエヴィを診て、エッダをあやす。早苗はこのような任務に向いていないと判断して呼ばなかった。
ベルダの合図でアマリアとともにアジトに踏み込む。部屋の中には大人が4名いて、今丁度売上の勘定をしているようだった。
「何奴!」
と男の一人が武器を摂ろうとした瞬間、
「フェイズシフト…当て身」
とひとりを瞬時に無力化。
続くアマリアもナイフの柄の部分をうまく使い、気絶させる。
残りのふたりはもう無理だと怯えてただひたすらに降伏し始めた。
「ネイト、終わった。逃げるやつは居ない。来てくれ」
逃走経路に位置していたネイト達は、売人のアジトへと入ってきた。
「この4人だ。呑気に金の勘定をしていたぞ」
そうか、ガードには通達済みだ。しばらくしたら来るだろう。
「こういうのは久しぶりだったけど、案外体が覚えているものね!」
とアマリア。エッダを産んでから、激しい運動はあまりしてこなかったのだ。
倒れている工作員の横には、明日売るつもりだったのだろう、レッドブーストの束が並べられていた。
「こんなもののために…」
ベルダは怒りに燃えていた。この赤い液体のせいで年間数千人が命を落としている。
蹴り崩してやろうかと思ったが、大事な証拠だ。堪えて工作員と共にガードへと引き渡そうと思いとどまった。
通達から数十分後、護送車が到着する。
「ご苦労さまであります!」
とネイト達に言葉を投げる。
「こいつ等をしっかりと取り締まってくれ」
「承知しました!」
「あとこれもだ、厳重に保管もしくは処分を頼む」
とレッドブーストの束を渡す。
「承知しました!」
続けて、
「この者たちは、情報を吐き出させたあと、禁固刑もしくは数年間の重労働に飛ばされるかと思います!二度とこの者たちを野放しにはしません!」
「よろしく頼む」
寝言うとがそう言うと、ガードは深く礼をしてから護送車に乗り込み、コロニーへと戻っていった。
「俺達も戻ろうか。休息日なのに全然休息じゃないな」
と言ってしまってネイトははっとする。
「いや、そういう意味じゃないんだ、有意義に過ごせればそれでいい」
と言い直した。
「俺達もコロニーに戻って休もう」
そう言って、各自ビークルに乗り込み、コロニーへ戻った。
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