# 14. 帰還
翌朝。
特に何事もなく目覚めることができた。
どうやら、モンスターは近づいてくることはなかったようだ。
「おはよう!」
「おはよう…」
ネイトはまだ眠いのか、手で目をこすりつけている。
朝ご飯のレーションを食べ、早々にテントの撤収作業を行った。
この時代のテントは、2ステップ制を採用していて、1ステップ目で広げたい場所に水平展開、
2ステップ目で垂直、つまり高さ方向に自動的にポールなどが展開する仕組みになっている。
撤収するときは逆の操作をやれば良い。
また、素材は「適温素材(Ideal Temperature)」というもので、外気温によらず、だいたい23度くらいの室内温度を保つようになっている。
形状は、彼らの使っているワンポール型のほか、ボックス型、ドーム型、トンネル型といったものがあり、使用する環境や好みで選ぶことが殆どである。
身支度を済ませ、あとはビッグフットに戻るだけとなった。
(報告が終わったらM.A.C.S.を貰える…)
ネイトは喜んでいた。
工業区の修理工をしながら、いつの日か自分で所有するM.A.C.S.に乗りたいとずっと考えてきたからだ。
それが、探索者登録をしてからわずか数日で念願のM.A.C.S.を入手できる。
これ以上ない喜びを感じていた。
期待を胸に、二人はビッグフットへ戻るのであった。
4時間後、特に敵襲もなく無事に帰還することができた。
エレベーターを降り、HoMEへ急ぐ。
「緊急クエスト完了の報告に来たのだが」
「いらっしゃいませ、スパークルスプリングスの方々ですね。
はい、緊急クエスト、無事完遂おめでとうございます!
ダンジョン内で倒した敵と、報酬のM.A.C.S.をあわせてお受け取りください。
討伐報酬は合計12,000ヴェル、報酬のM.A.C.S.はHoME指定のハンガーにてお受け取りください!」
「わかった、ありがとう」
「やったね!」
シュートダウントラッキングシステムから討伐情報が読み込まれ、
二人のパーソナルハンドヘルドコンピューターに入金が行われる。
一瞬で済むため、あまり実感はないが、確かに12,000ヴェルほど増えていた。
「順調だね!」
「ああ、そうだな。
俺はこの後M.A.C.S.を少し見てくるが、キャシーはどうする?」
「私は人間装備屋行って、装備を新調してくるよ!」
「わかった。気を付けてな」
「ネイトこそ!
勢いで『外』に行かないでね!」
「ああ、わかってる」
キャシーはそそくさと、その場を後にした。
「よし、M.A.C.S.と顔合わせだ」
ネイトはハンガーへ向かった。
M.A.C.S.はメタルセル球体部のハンガー(格納庫)にある。
工業用はともかく、犯罪防止のため、戦闘用のM.A.C.S.をトーラス部へ搬入することはない。
そのため、レンタルM.A.C.S.屋は、その外観をホログラムでディスプレイしていたのだった。
「ええと、ハンガー番号B-47番…、ここか」
ビッグフットの場合、球体部に格納できるM.A.C.S.は、A~Cまで分けられていて、それぞれ100台停められる。
自前のM.A.C.S.はもちろん、レンタルM.A.C.S.、HoME管理のM.A.C.S.など格納理由は様々だ。
報酬のM.A.C.S.は、まだHoME管理下ではあるが、一度受け取ると自前のM.A.C.S.となり、ハンガー使用料金がかかる。中には自前のハウスを持っている探索者もいるが、点々とする事が多い探索者の多くはハンガーをレンタルして使用している。
「これが俺のM.A.C.S.…」
ネイトは遂に、自分のM.A.C.S.を手に入れたのである。
読んでいただき、ありがとうございます!
拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。
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