# 12. エ・ギン異形種
ダンジョンの中は暗く、M.A.C.S.のライトがないと先が見えない。
もっとも、キャシーのバイノクスは、サーマルセンサーやナイトアイが付いているので、それほど困ってはいないようだ。
途中、何体かのベルノイドと遭遇したが、ライノベーターの副砲や、キャシーのジェットハンマーで難なく撃破。
マッピングはパーソナルハンドヘルドコンピューターが自動的にやってくれる。
通路のほとんどの探索が終わり、残すはネームドモンスターがいると思われる場所だけとなった。
「奥へ進もう」
「うん…」
いつになくキャシーは緊張しているようだった。
慎重に奥へ進む二人。
奥から、ギャーとシャーの間くらいの鳴き声らしい音が聞こえてきた。
エ・ギン異形種に違いない。
「サーマルセンサーに反応があるよ!この奥!」
「遂にご登場か」
大きな空間に出た。
咆哮はより一層大きくなり、それは二人の肌で感じれるほどだった。
パーソナルハンドヘルドコンピューターにエ・ギン異形種と緊急クエストの情報が表示された。
【アイアンランク緊急クエスト】
ネームドモンスター:ヴィシャス・ワイルドホーン(Vicious Wildhorn)
タイプ:エ・ギン異形種
討伐推奨ランク:アイアン+(プラス)
討伐賞金:なし
他報酬:M.A.C.S.ランドクロウラー(Land Crawler)
その面影は、巨大なトナカイのようだった。5メートル以上はあるかと思われるその巨体に、頭部から生えている2本の巨大な角。おそらくはそれで攻撃してくるのだろう。
敵に不足はなし。報酬も十分だ。
あとは倒すだけだ。
「まずは俺が行く。怯んだところをキャシー、頼む!」
「わかったよー!」
ネイトのライノベーターから主砲を発射。
ジャミングが無いので、一度エイミングしたターゲットを狙い続け、正確に撃ち抜けることができる。
グフォという悲鳴のような声を発し、ヴィシャス・ワイルドホーンは怯んだ。
「キャシー!行くんだ!」
「オッケー!」
キャシーのインフェルノキャノンが火を吹く。
ヴィシャス・ワイルドホーンに命中し、瞬く間に炎に包まれた。
引き続き、ライノベーターの主砲が炸裂する。
その音が洞窟内に響き渡る。
再度、キャシーのインフェルノキャノンで追い打ちをかける。
炎に弱いというのは本当のようだ。
キャシーが遠隔装備を持っていて良かった。
ジェットハンマーでは、キャシーにも被害が及んでいただろう。
ダメージを負いながらも、ヴィシャス・ワイルドホーンは反撃に出る。
M.A.C.S.の装甲に少し傷がついたが、許容内である。
ふと、M.A.C.S.のディスプレイに見慣れない文字列が表示されている。
「Charge attack enabled」
チャージアタック?
これは、戦闘が長引くと有効になる特殊攻撃のひとつで、
主に排熱などのエネルギーを最大限利用することによって使用できるもののようだ。
「チャージアタックする。キャシーは一旦後退してくれ!」
「オッケー!」
ドッゴッ…という発射音と同時に、ライノベーターからチャージ弾が発射される。
主砲の一種だが、明らかに威力が違うことは、命中せずともわかった。
グフォ…。
と、ヴィシャス・ワイルドホーンはまた不気味な悲鳴を上げる。
駆け出しにしては壮絶とも言える戦闘が、20分ほど経過しただろうか、
ヴィシャス・ワイルドホーンは倒れて動かなくなった。
「やった…、のか…?」
「ピピッ…エ・ギン イギョウシュ 1タイ トウバツ シマシタ」
パーソナルハンドヘルドコンピューターから討伐の記録が出た。
「やった!」
「倒せたな!」
受注期間4日を残し、緊急クエストを完了することができた。




