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恐怖  作者: 仲島香保里
9/18

悪夢を忘れたくて

 せっかくの週休二日のうち一日は夢ごときに悩まされた。最後の一日くらいは悩まされることなく休日を楽しみたいものだ。

 日曜日だからどこも混んでいるかもしれないが、家でぼうっとしているよりはいい。

 一人で有名な観光地を訪れようとは思わず、電車に乗って数十分で行ける繁華街に行った。そこまで出たらアパレルショップはあるし、映画館もあるし、カラオケも雑貨店もCDショップもある。至るところに喫茶店もあるから、お腹が空いても困ることはない。歩いて行ける範囲にある程度なんでもある。高校生や大学生に向いている地区だろう。

 セールしているアパレルショップに入って、襟の形が気に入ったブラウスと、真冬以外は着れそうなカットソーを買う。初めて入った店だが、店が醸し出す高級感の割りに買いやすい値段に、一気にファンになった。

 意外とセール中と謳っている店が多かった。その中から自分の好みに合う店に入って、流行りの動向を自己分析する。中に入っただけで買わない店ももちろんあったが、今日一日、服だけで二万円弱使ってしまった。ブラウス一枚にカットソー二枚、スカートとパンツを一着ずつ。

 別々の店での買い物袋を、最後に立ち寄ったアパレルショップで一つにまとめてもらった。大きく膨らんだ紙袋を持って、セルフサービスの喫茶店で昼食を摂る。ナポリタンスパゲッティとアイスコーヒーのセットを頼む。サラダを追加しようかとも思ったが、節約しようと決めた。

 スパゲッティが来るまでの間に手帳を取り出して、今日の今のところの出費額を書いておく。服だけで合計19060円。この喫茶店で820円。しめて19880円。

 さすが日曜日。出来上がりにも時間がかかるようだ。携帯でゲームをして時間つぶしをするのはあまり好きではないという理由で、常に薄い本を持ち歩いている。読書家ではないから、どんなに薄い本でも読破するのにはかなりの時間がかかる。これを読んでいるとどんなに長い待ち時間でも一瞬のように思えるから不思議だ。それに、夜眠れないときにも本読む。すると、それまで眠れなかったのが嘘のように、瞬間に睡魔に襲われるのだ。あきらに言うと、なんとも安上がりな睡眠薬だと笑っていた。

 ナポリタン到来。トマトの酸味を纏った湯気が鼻腔をくすぐる。野菜の他に、少量ではあるが魚介類も入っている。これはメニューを見たときには気が付かなかった。なにやら得した気分。

 アイスコーヒーも久しぶりに飲んだ。インスタントコーヒーも飲むし、あきらとカフェに入って飲むが、飲んだとしてもホットコーヒーしか飲まなかった。この店のアイスコーヒーは、結構味がしっかりしていて、氷やガムシロップやミルクを入れてもちゃんと苦味が残っている。普段飲まないくせに、いざ飲むとなると、しっかりとした味を好むのだ。

 パスタによく絡まったトマトソースの旨みと酸味を味わい、一本も残さずに完食した。

 温かいスパゲッティを食べて体温が上がった。空調が効いているはずの店内でも汗が出てくる。アイスコーヒーで汗を引かせ、ほっと一息つく。

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